社内報で会社を変える!経営課題と向き合い、ファン拡大を目指した新人編集長の覚悟

存続の危機を乗り越え、2019年3月に再出発した社内報「b-ridge」。リニューアルから半年で“9割の社員に読まれる”優良メディアへと急成長を遂げました。その裏には、入社2年目の2代目編集長・奧田陽子の“社内報で会社を変える”という想い、そして経営課題に紐づき考え抜かれた運用方針がありました。

存在意義を問われて見いだした、“会社を変える”社内報の可能性

▲社内報「b-ridge」の2代目編集長・奧田陽子

2018年8月に誕生した当社初の社内報「b-ridge」。準備期間に約4カ月を費やし、7名のボランティアスタッフを募るという大掛かりなスタートとなりましたが、旗振り役だった前編集長がメイン業務との調整が困難になり約3カ月で編集長を退任。2代目編集長として11月に就任したのが、当時新卒入社1年目だった奧田でした。

奧田 「インサイドセールスから広報部門に配属されたばかりで日も浅く、『社内報って?運用って??』という状態での見切り発車でした。周りの支えもあってなんとか業務はこなせましたが、日が経つにつれ、今度は “社内報を運用する目的 ”を見失ってしまうようになってしまって」

そもそもこの社内報には“具体性のある目的”が明確に示されてはいませんでした。「仕事の合間を縫って企画を出し、記事制作に励み、必死になって配信しているけれど、これが社内にどんな効果をもたらしているのだろう?」奧田をはじめとするメンバーのモチベーションは低下していき、次第に更新は滞っていきました。

編集長就任から3カ月が経った2019年2月。奧田はついに経営陣から“社内報継続の是非”について問われます。

奧田 「私なりに考え抜き、出した結論は『続ける』でした。 Webで展開される当社の社内報は、社員が好きなタイミングで読めるというアクセシビリティがあります。伝わりやすい記事形式であり、社員自身がつくり手のため、社員を巻き込める要素がぎゅっと詰まっています。運用さえしっかりと行えば、社内の有効なコミュニケーションツールになりうるし、会社の成長につながる可能性は大いにあると考えたんです」

奧田は、社内報グループのマネジメントを担う管掌役員・角田剛史に継続する覚悟を伝えつつ、あらためて「会社に必要とされる社内報」となるためのゴール設定について相談。丸2日にわたる議論を重ねたのち、「経営課題に紐づける」という運用方針を固めました。

経営課題の解決を、社内報のゴール設定に

▲経営企画部 管掌役員の角田剛史(右)と奧田

社内報のゴールと経営課題を結びつける判断をしたその背景について、角田はこう話します。

角田 「私は『差分を見逃さない企業文化をつくりたい』と常々言っているのですが、それにあたって当時抱えていた違和感が主にふたつありました。ひとつは経営陣のひとりとして、経営課題を把握し解決に当たっていながらも、解決しきれていない課題が残っていたこと。そしてもうひとつは、社内報のゴールを不明瞭なままにしていたことです。これらを結びつけることで、双方の差分が解消できると考えたんです」

社内報グループが示した方向性は、無事経営会議で承認。最終決定した社内報の方針は
・社内情報共有・・・制度や事業、人について理解が進むこと
・社内活性化・・・社内メンバーとのコミュニケーションのきっかけとなること
・社内行動規範強化・・・社内で掲げている行動規範が強化されていること
の3つに絞られました。

方針の策定のほか、着手したのは主にふたつ。ひとつめは“読者を増やすための基本”に立ち返ること。「記事作成を安定させるために型を固める」「アクセスデータを踏まえたベストな投稿時間」「徹底的にこだわり抜いた記事タイトル」「目を引くOGP画像の選定」を意識し、ウェブマーケティングメディア「ferret」を運営している企業として、“当たり前”を徹底することにしたのです。

ふたつめは、ボランティア制からオフィシャルな組織へと体制を変更すること。

どんなに仕組みを整えても、安定した更新を継続させなければ意味がありません。経営陣合意のもと、所属するメンバーの“5%の工数”を確保し、社内報をミッションのひとつとして数えることとなりました。

角田 「最も肝心な人選については、“できるだけ幅広い部署 ”から “規範意識の高い社員 ”という基準で声をかけました。人をつなぎ、多くのコミュニケーションを生み出す・行動規範の強化を打ち出すメディアなので、それにふさわしいメンバー構成は重要だと考えました」

こうして、人事部、SaaS事業部、メディア事業部から6名の新メンバーを迎え入れ、新生・社内報グループが誕生。1カ月間という急ピッチでの作業ながら、継続性を視野に入れた仕組み・体制が整えられたのです。

“9割の社員に読まれる”社内報として定着。社外への思わぬ波及効果も

▲月に2回行なっている社内報グループ全員が直接集まる定例ミーティング

2019年3月、新体制での社内報がリリース。「記事のテーマが決まらない」「定例会議にメンバーが集まらない」「締め切りが守られない」といったかつての課題は解消され、スムーズでストレスのない運用が実現しました。

改善した成果はすぐに顕著な数値として表れます。リニューアルしてから1カ月で、UU(ユニークユーザー)数は2.5倍以上に急増。その後も高水準を保ち、“9割の社員に読まれるメディア”として定着したのです。

加えて、新しく導入されたのが四半期に1度の全社員向けアンケートです。

奧田 「『経営課題を解決します』と宣言して始めた以上、継続に値する価値をデータでしっかりと示したかったんです。量の部分、つまり定量データは日々の UU数で、質の部分はこのアンケート結果で検証を始めました。会社の行動規範のひとつである『スピード × PDCA』を実現するためにも必要不可欠なものだったので」

アンケートでは主に「 3つの経営課題における改善度具合」について問い、成長スコアとして定点観測がなされました。その結果、実施するごとに「社内情報共有」「社内活性化」「社内行動規範強化」すべてのスコアが上昇するという快進撃を続けています。

奧田 「実はスコアのみならず、日々のやりとりの中でも社員の変化が見えてきたんです。以前よりも確実に社内情報を把握している人が増え、コミュニケーションがスムーズに運ぶようになりましたし、行動規範に定めている言葉が会話の中で自然に出てくるようになりました。これまで遠い存在だった規範の一つひとつがしっかりとインプットされ、アウトプットされるようになった証しかと」

思いがけない成果もありました。ある社員がSNS上でつぶやいたことがきっかけとなって“社内報での盛り上がり”が社外に波及し、外部WEBメディアに取り上げられたのです。

奧田 「運営方針を変えてから、複数の社員が『うちの会社の社内報おもしろい』『運営楽しい』というような内容を SNSに書き込むようになり、それを見たまた別の社員がリアクションするという現象が度々起こるようになって。外部の方からは、投稿内容はもちろんのこと、飾らない社員同士のやりとりにも好感を持っていただけるようになりました。メディアに取り上げられたのはその副産物ですね」

SNSでの波及効果は、社名の認知度向上にも貢献しています。「ferret」などのサービス名はある程度の認知は獲得できていたものの、知名度のなかったわが社が「SNSで話題のベーシック」と声をかけられるようになったのです。

必要とされながら「読む社員も書く社員もハッピーになる社内報」でありたい

▲念願のMVG(Most Valuable Group)賞を受賞した社内報グループ

リニューアルから半年以上が経ち、社内報の運用方針として掲げた3つの経営課題は、解決に向かって順調に歩みを進めています。編集長である奧田、そしてマネジメントにあたる角田は、社内報の今後をどう見据えているのでしょうか。

奧田 「このまましっかりと向き合っていけば、今掲げている経営課題はいつか解決できると思います。でもそれで終わりかというとそうではありません。常に会社の経営を援護する存在として、その時々の課題を素早くキャッチして解決につながる役目を果たしていきたい。そして本質的に求められる社内報であり続けたいです」
角田 「奧田が言うように、経営課題の変化に対応する柔軟さも必要だと思いますし、ニーズに合わせて方針を変えていくのにも賛成です。一方で、軸は絶対にぶらさずに進めていきたい。
たとえば、最近では『そんなに好評なら、オープンな社内報にしちゃえば?』と言われることも増えてきました。でもわれわれが目的にしているのはあくまで、現在の経営課題の解決です。オープンにすることは、より多くの方に知ってもらえる一方で、表現の仕方に配慮する必要が出てきます。
つまり社内に対して伝えたいメッセージが、伝わりにくい表現になってしまう可能性があるのです。本来の目的である経営課題の解決からは遠のいてしまうのであれば、本末転倒です。そのような事態は避けたいですね」

奧田が「社内報を続ける」と決意したときに、個人的に目標として掲げていたことがあります。それは「読む社員も書く社員もハッピーになる社内報」。アクセスデータを分析すると、社内報が最も読まれている時間帯は午後3時前後。社員が「ほっと一息入れたい」と思うタイミングです。

「経営課題をゴールに置いているからといって、トップダウン型になってしまってはメンバーのモチベーションが保たれない。話しながら楽しみながら進めていくというプロセスにこだわりたい」と話す奧田。毎期、最高UU数を更新し続け、9割の社員のハートをぐっとつかんで離さないのは、運営の根底に「楽しんでもらいたい」「ハッピーになってほしい」といった気持ちがあるからなのかもしれません。

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