先生と保護者が、生徒を見守れるアプリを──「Classiホーム」に込めた想い

2019年3月に発表した「Classiホーム」は、先生の学校にまつわる負担を減らし、保護者とのコミュニケーションを円滑にするアプリです。教育現場でのテクノロジー活用は学校内外での「コミュニケーション」でも貢献できるものです。ディレクターの小坂井聖也の原体験とアプリに込めた想いをご紹介します。

可能性のある中高生の時間を無駄にしたくない

▲Classi FAN MEETING 2019にて

小坂井は2014年にベネッセコーポレーションに新卒で入社し、2017年にClassiに入社しました。彼が学校教育の道に進むことになったのは、学校の授業に対する課題意識と、学校という場が持つ可能性の2面に興味を持ったからでした。

小坂井 「自分の高校時代は、学校の授業が今後につながるものになっていなかったと思いました。卒業後もそうですが、受験に対しても、授業をちゃんと聞いている人が大学受験に失敗する一方で、授業中に内職をしたり、学校を休んでガリガリ受験勉強をやっていた人が受かったり。
そういう現実を目の当たりにして学校で過ごす時間が圧倒的に多い高校生の大事な時間の価値を、上げていきたいなと思っていました」

そんな小坂井は、中学生のときに先生にかけられた一言から、学校に対して、「勉強をする場」というだけでなく「生徒の成長を見守れる場」としての可能性を感じていました。

小坂井 「中学のときに、文化祭でソーラン節を踊る機会があったんですが、不器用でなかなかうまく踊れなかったんです。それでも一生懸命練習していたら、その姿を見て『聖也すごいよ』と言ってくれた先生がいました。そうやって結果じゃなくて、姿勢を見て声をかけてくれたことがすごく嬉しくて、もっと頑張ろうと思えたんです。
学校の中には課題もあるけれど、そういった出会いや経験ができる可能性があります。生徒自身も可能性がある年代ですし、そこで今以上に価値のある体験ができるといいなと思っています」

このような想いで教育に興味を持ち、ベネッセに入社した小坂井は、家庭での単語学習を目的としたスマホ学習アプリの立ち上げに関わりました。しかし、そのアプリは短期間でクローズ。さまざまなスマホアプリがある中で、ユーザーに自社のアプリを選んでもらい、継続的に使ってもらう難しさを感じていました。

小坂井 「立ち上げたアプリのログを見ていると、どんどん活用率が下がっていくんです。サービスの提供価値が明確でなければ、ユーザー獲得に力を入れても使われない。そう思ったときに、『 Classi』 のように学校の中で使ってもらうサービスにこそ突破口があるんじゃないかと思いました」

こうしてClassiに入社した小坂井は2018年6月から、当時構想段階だった「Classiホーム」のプロジェクトに参画。チームとしての開発をスタートしました。

先生・生徒・保護者をつなぐ「コミュニケーション」のために

▲会議の様子

学校現場にはさまざまな課題があります。たとえば、多岐にわたる業務が先生に大きな負担をかけている、保護者への情報伝達効率が悪い、生徒に関する情報が散在している、など。

コミュニケーションチームのディレクターである小坂井は、とくにサービス改善できる余地が大きいのは、「先生と保護者」に関する部分だと考えます。

小坂井 「保護者が子どもの様子を確認するために、パソコンの前に座って、ブラウザを立ち上げて、 IDとパスワードを入れてログインしなきゃいけない、というのはかなり身構える作業です。それがスマホでちょっとした時間に見られるとなれば、すごく気軽です。
先生も、授業や部活動の指導など、机で作業するだけではない時間が多くあります。必要に応じて少し空いた時間を使ってスマホでお知らせの確認や生徒の反応に対応できるようになると、生徒と向き合う時間は増えます。
『 Classi』のサービスは、まずは、生徒がスマホやタブレットで利用できるようにすることを優先的に開発してきました。しかし先生や保護者からも次第に、『スマホやタブレットなどに通知が来て、その都度見られるものがいい』という声が出始めました」

そういった声に応える形で、小坂井たちは2019年3月5日、新たに「Classiホーム」という、学校と保護者が利用可能なアプリをリリースしました。これは「Classi」が掲げる「コミュニケーション」「ポートフォリオ」「アダプティブラーニング」「アクティブ・ラーニング」の4つの視点のうち、「コミュニケーション」の部分に特化したアプリです。

この「Classiホーム」によって、先生には学校内のお知らせや生徒の反応などが、保護者にはクラスへの連絡事項や学年としての取り組みなどが通知されるようになりました。実際に利用した先生から、これまでよりもさらに早く気軽に見ることができるようになったと嬉しいお言葉をいただいています。

そしてこのアプリのリリースまでには、ディレクターの小坂井をはじめ、チーム一人ひとりが想いをぶつけ、共有し合いながら歩んだ道のりがありました。

価値のあるアプリをつくるために、学校でチーム合宿を実施

▲合宿の様子

アプリ開発で浮上していた課題はふたつありました。ひとつは、どこに価値を置くのか。もうひとつは、リリースまでのスピード感です。

小坂井 「コミュニケーションのアプリは世の中にあふれているので、わざわざ新しくつくるからには、何にフォーカスするのかが重要になります。そこを失敗すると全然使ってもらえない」

プロジェクトチームは小坂井のほか、フロントエンジニア2名、サーバーエンジニア2名、デザイナー1名。さらに、当時研修の一貫としてClassiに勤務していた高校の先生1名を加えた、7名体制で進行されました。

時にはアプリで提供する価値の再定義をするために、元中学校だった都内の施設を使って合宿も行いました。

小坂井 「今後数年におけるアプリの価値の方向性を決めたいと思っていました。みんなで先生・保護者・生徒の立場に分かれて、それぞれに起きている課題を出していき、ユーザーへの理解を深めていきました。
実際の学校の先生から現場の視点を伝えていただけたのは、他企業にはなかなかできない Classiの強みだと思います。一方で、実際にユーザーとなる保護者や先生は、少しでも早くアプリがほしいので、通知に特化したミニマムの機能で、開発期間を短縮してリリースする必要がありました」

ブラウザ版とアプリ版の大きな違いは、「スピード」と「通知」。開発してできたベータ版を全国の先生方に試してもらい、さまざまな意見をいただきながら改善を進めていきました。

小坂井 「課題もありましたが、先生方からアプリに対する好評価をいただけたのはすごく嬉しかったです。開発を進めつつ、今はどう育てていくかも並行して検討していくフェーズに入っています。常に半歩現実、半歩未来という意識で取り組んでいます」

リリースは通過点。もっと「生徒を見守れるアプリ」に成長させる

▲コミュニケーションチームのメンバー

アプリを「Classiホーム」と名づけたのにも、Classiのコミュニケーションを通して大切にしたい価値が込められています。

小坂井 「『生徒を見守れる』ということを、このアプリの最上位の価値としています。『見守れる』というところから、温かみのある言葉をブレストしていって、『ホーム』に行きつきました。『ホーム』には『家』という意味もありますが、子どもが育っていくときに保護者の方や周りにいる大人たちが見守っている場所、というイメージが浮かぶ言葉だと思います」

開発開始からおよそ1年。ようやくプロダクトとして世に出すことのできた「Classiホーム」は、子どもたちを見守る価値をより高めていけるよう、改善プランを常に検討しています。

リリースをゴールではなく、本当の意味で学校内コミュニケーションを深めるためのスタート地点と考えているのです。

小坂井 「まずはポートフォリオや学習記録といった生徒の日々の学びや気づきを、先生がいかに手間なく簡単に見られるようにするか。もうひとつは、たとえ多忙な先生方が全部見切れなかったときでも、本当に必要な生徒の変化を知らせられるといいと考えています。
そういう改善ができれば、先生が生徒へ声かけをするきっかけにもなります。また、私が中学生のときに、成果が出ていなくても先生に肯定してもらえたような体験を増やせると思うので、具現化していきたいです。
今回のリリースには『やっと出せたな』という想いもありますが、これからもっと便利で、生徒の成長を見守るという価値を体現していくための通過点と思っています。必要とされているものを、ユーザーの使いやすい形で提供するのは決して簡単ではないですが、『こうしたい』という強い想いがあれば、メンバーそれぞれが持つ力を合わせて実現していくことができる、それが Classiで働くおもしろさです」

タブレットの台数やWi-Fiの通信環境など、ハード面だけの整備では、学校現場が真にICT化できたとは言えません。

今後もClassiは、「Classiホーム」で生徒・先生・保護者のコミュニケーションを支援することをはじめ、現場に寄り添ったICTサービスを具現化していきます。

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