プロCIO・岡田章二氏が語る、大企業の業務改革に必要なパートナー企業の条件

ファーストリテイリングやRIZAPといった大手企業のCIOを歴任してきた岡田章二氏。ドリーム・アーツと20年来の付き合いのある岡田氏が、2019年8月より当社のExecutive Adviserに就任しました。岡田氏がドリーム・アーツにかける想いや、大企業のDX推進について語ります。

20年前は顧客として、今はExecutive Adviserとして

▲ファーストリテイリングのシステム責任者時代の岡田氏

ドリーム・アーツとなら一緒にやっていけそう。それが、第一印象でした。

出会いは今から20年前。ファーストリテイリングのシステム責任者を務めていた当時は、まだ東京にユニクロが進出しておらず、国内でのチェーンストア展開を軌道に乗せ始めていたころでした。

本部から店舗への指示通達は紙で行っており、店舗から情報収集するのも苦労していたことから、コミュニケーションの問題を解決するシステムを開発しようということになったんです。そして、いろいろなパートナー企業と会ったのですが、どこもしっくりこず……。そんなときに紹介を受けたのが、ドリーム・アーツの山本代表取締役でした。

当時はドリーム・アーツを立ち上げたばかりで、マンションの一室をオフィスとされているところに会いに行きました。ちょうど前日、山本代表が「ITバブル崩壊後に生き残った経営者」という特集のニュース番組に出演されていて、この人に会うんだという運命的なものを感じたことをよく覚えていますね。

山本さんは良い意味でITベンチャーの社長らしくなく、しっかりした考えを持っていて、頭が切れる方だと思いました。スタッフ一人ひとりも大変優秀で、会社としての考え方に共感し、フィーリングも合致。「この人たちとならチームになれる」と直感して、すぐに取引を始めました。

ファーストリテイリングからRIZAPのCIOに転身後、ISENSE株式会社を立ち上げました。山本さんとはいつもいろいろと相談する仲で、独立起業するという話をした際に、ドリーム・アーツのExecutive Adviser就任のお声がけをいただいたんです。山本さんやドリーム・アーツのことは信頼していますし、何よりも私の会社、そして私自身を応援したいという想いが強く伝わってきたことから、何かお役に立ちたいと就任させていただいた次第です。

経営のメカニズムまで理解する、徹底した現場主義

▲現場主義の重要性を共有しながら、ドリーム・アーツと情報共有システム「UMIX」を創り上げた

ドリーム・アーツと初めて取引した90年代は、ちょうどWindows95やExcelが普及し始めたような時代で、インターネットも黎明期でした。もちろんSNSのようなコミュニケーションツールはなく、インターネット上でコミュニケーションを取るということが一般的でなかった当時。荒れ地を耕すように、ゼロからサービスを協創していきました。

今でも受け継がれている精神ですが、ドリーム・アーツは「現場主義」を徹底している。ユニクロのコミュニケーションツールを開発するためのエッセンスが得られるのではということで、現CTOの石田健亮ら3人の社員が、当時出店したばかりのユニクロ原宿店の販売現場を体験してくれたんです。

オープンセールの2日間とも入場制限がかかるほどの伝説的な大盛況ぶりの中、目が回るほど大量にモノが売れる倉庫作業を経験してくれました。そこで現場の大変さを痛感してくれたのが、後々のシステムづくりにも大きく生かされたと感じています。

「現場主義」は私自身も大切にしている価値観です。もともと私がITの仕事をやろうと考えたのは、人の役に立ちたいという想いがあったからです。企業を支える人の仕事を楽にする、それが経営のベースになります。IT化にはさまざまな側面がありますが、人々が働く現場を改善できるITシステム開発は、まさに私の理想とする仕事でした。

そして、現場を良くするためには、現場を通して企業のメカニズムを徹底して理解しなければなりません。現場が良くなるためには本部が良くならないといけませんし、商品を良くするためには生産現場が良くならなければなりません。

そのほかにも、販売計画や予算、人材採用などさまざまな要素が絡み合って現場は出来上がっています。原点はすべて現場にありますが、ITシステムは現場を効率化し、便利にするだけのものではありません。企業のメカニズムをシステムが具現化し、企業全体を改善していくものだと考えています。

この考えをドリーム・アーツと共有できたからこそ、情報共有システム―UMIX(Uniqlo Merchandise and Marketing Information Complex ※現「Shopらん」)を一緒に形にしていくことができました。共に仕事をする中で感じたのが、ドリーム・アーツは考える組織であるということ。そして、社員一人ひとりが自分の意見を持っているということです。

正直、一般的なシステム会社は現場の要望を聞いて現場の課題を解決するケースがほとんどです。しかし、ドリーム・アーツは想定以上のシステムをつくりたいという熱意が強く、現場をヒアリングするだけでなく現場体験までコミットし、経営や企業のメカニズムまで深く理解してくれます。

知見を広げたプロジェクトメンバーで熱くディスカッションし、そこから新しいアイディアが生まれる。それが、想定以上のシステムになる。この意識やしくみが細部まで浸透しているのが印象的でしたね。

キャリアは真逆、価値観は一緒

▲ドリーム・アーツ代表の山本孝昭とは、キャリアは真逆ながら公私ともに「友人」「恩人」と呼び合う仲

私と山本さんは、これまでのキャリアが真逆なんです。私はシステム開発会社のSEとしてキャリアをスタートした後、事業会社のCIOに就任しました。つまり、ITを活用し経営やビジネスにどう融合させていくかというのが、私の長年のテーマであり続けてきました。

一方山本さんは、大企業向けソフトウェア製品の輸入商社のアシストからインテルジャパンと、サプライヤー側のキャリアを歩んでいます。おそらく、山本さんが知らない世界を私は経験していると思いますし、その逆もまたしかりです。同じキャリアとタレント性のある人だけで事業をやってもうまくいきません。いろいろな経験や視点を持った人が集まった方が、新たな視座が生まれる。そういった意味でも、Executive Adviserとして力になれるのではと考えています。

このように「活用する側とサプライヤー」という真逆のキャリアを歩んできたわれわれですが、価値観や志は驚くほど似ていて。ふたりとも、「人とは違うことをやろう」と考えているんです。近年、お客様の会社の利益のためではなく、お客様から気に入られて、お客様からお金をもらうことが主軸になってしまっている企業が増えているように感じています。だからこそ、ほかのIT企業やコンサルタント企業とは逆を行き、「らしくない会社」であろうという想いが強いです。

お客様は神様だと言われますが、私としてはお客様と仲間でありたいと思っていて。お客様のうまくいっている部分は具体的に褒めて、改善すべきところは切り込んでいく。こびることなくフラットに、より良いものをつくり上げるチームとなれるよう心がけています。

徹底した現場主義ももちろん、共通する価値観ですね。お客様の現場を知るだけでなく、自社の社員のこともよく知ろうとする姿勢は、山本さんと私の共通点だと思います。

私自身が大切にしているのは、「偉そう」にならないようにすること。お高くとまって威厳を持ってしまい、部下にも偉そうにすると、情報が入ってこなくなるんです。そもそも偉そうにすることが好きではないというのもありますが、昔から「なんで岡田さんは偉そうにしないんですか?」と言われるときは、いつも心の中でガッツポーズしてしまいます(笑)。

私たちの仕事は、現場にいかに価値を提供するかが大切なんです。現場の肌感覚を持つためにも生活スタイルは大きく変えず、飲み会から自宅に帰るときなどは、今でも基本的には電車を使うようにしています。そんなちょっとしたこだわりから、より良い価値を提供できるようになると信じていますから。

自分たちのプロダクトを、自分たちでカスタマイズできる強み

▲岡田氏は、2019年8月よりドリーム・アーツのExecutive Adviserに就任した

ドリーム・アーツの最大の強みは、メーカーという側面を持つことです。一般的なIT企業であれば、海外で開発されたシステム製品を、日本向けにカスタマイズして導入することがほとんどです。でも、ドリーム・アーツは自分たちでシステム製品を開発しているから、どのようにチューニングすればいいか、どう組み合わせればいいかというのを直感的にわかっているんですよ。

実はこれって本当にすごいことで、海外のエンジニアがつくったシステムの上に物を乗せていくのと、自分たちでつくったものを自分たちで最適にカスタマイズするのは、もはや次元の違う話なんです。

今はまだこの強みを十分にアピールできておらず、社員たちも当たり前のことと捉えてしまっている傾向にあります。ただ、外から見ると大変なアドバンテージを持っているんです。この点を、Executive Adviserとして多くの企業に伝えていきたいですね。また、ISENSE株式会社のサービスでもドリーム・アーツと協働し、大きなシナジーを生み出していきたいです。

ドリーム・アーツは今も変わり続けています。市場のニーズ、IT技術、メンバー。環境が変わり続ける中で、どう変化し続けるか。これは、今後も探し続けていくものだと思っています。時代の流れに沿って、世の中よりも半歩先を行く。そんなドリーム・アーツに、これからもご期待ください。

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