ゲームチェンジのときは今!サービスデザインで価値を爆発させる

2019年4月、ソフトウェア開発の富士ソフトにサービスデザインの専門部署が立ち上げられた。課長の佐藤摩耶は、富士ソフトの技術力にサービスデザインが結び付けば、お客様と一緒にさまざまな未来を描いていけると夢を膨らませる。

「たかきデザインオフィス」の名に秘められた想い──時代はモノの向こう側へ

▲たかきデザインオフィス サービスデザイングループ・課長 佐藤摩耶

ソフトウェア開発を手掛ける富士ソフトには、ひとつだけデザインを専門とする部署がある。「たかきデザインオフィス」だ。およそ部署名らしからぬデザインオフィスという名前には、「システム開発のチームから独立した存在になってほしい」という想いが込められている。この部署の成長に大きく貢献したひとりが、円熟したデザイナーの佐藤摩耶だ。

佐藤 「富士ソフトにはもともとシステム開発と合わせてマニュアルを制作したり、書籍としてマニュアル本を制作したりする、開発とデザインの両方に関わる部署がありました。しかし、モノから体験へ価値がシフトしていく中でシステム開発におけるデザインの重要性が高まっていくにつれ、社内においても UIや UXに力を入れる機運が高まったのです。そうして、たかきデザインオフィスとして、独立したデザインの部署ができたんです」

たかきデザインオフィスは富士ソフトの中で、大きな存在感を放っている。システム開発の現場では、営業担当がお客様の課題や要望を伺い、技術者とともに解決していく方法を検討し、実現していく。しかし、ときには品質や納期、費用や技術に重心が偏ってしまい、使いやすさやデザインが犠牲になってしまうこともある。

そこに、柔軟な発想で感覚的にアイデアをカタチにできるデザイナーが加わることで、人に優しいシステムに変えていくことができるのだ。開発部門と密に連携しながらも、客観的な視座からデザインの力を生かし、付加価値を上げる──これが「たかきデザインオフィス」のミッションだ。

佐藤 「 “たかき ”というのは、 “たのしく・かんたん・きれい ”の略で、富士ソフトが、 “ひのき(品質・納期・機密保持) ”と合わせて掲げてきた理念です。このふたつは富士ソフトの共通言語。私たちのフィロソフィーです」


経験と、先見性。優秀なデザイナーの目前にひらけた道すじ

▲無人受付システム“moreReception”でグッドデザイン賞を受賞

佐藤は大手メーカーのデザイン部門で10年以上の経験を積んだ優秀なデザイナーだ。彼女が入社し、たかきデザインオフィスに配属されたのは2016年のことだった。

佐藤 「前職ではインハウスのデザイナーとして、ダムやビルなどの社会インフラシステムの開発に携わっていました。とてもやりがいのある仕事で、デザイナーとして成長させていただいたなあと思います。しかし、あらゆる業種業界のお客様のビジネスに関われる、ひとつの会社の商品開発とは比べ物にならない無限の可能性に惹かれ、富士ソフトへの入社を決めました」

しかし、富士ソフトに入社した佐藤は驚愕する。自社製品ではなく、お客様の要望を受けてソフトウェアを開発する仕事をメインにしてきた富士ソフト。そのため、メーカー業界ではすでに浸透していたサービスデザインやUXを開発に取り入れるという考え方がほとんどなかったのだ。

佐藤 「デザイナーというと、グラフィックデザイナーや Webデザイナー、プロダクトデザイナーといったカタチあるモノのデザインを考案する仕事を思い浮かべるかもしれません。


しかし、より便利で品質の良いモノを求める成長社会から、モノが溢れる成熟社会となった今、デザインも多様化してきています。現在の社会が求めているのは、モノを使うことによって得られる体験や、ユーザーの課題を解決すること。つまり、ユーザー体験を最大化したサービスの部分なのです。


サービスデザインは、サービスを提供する仕組みやそれらを運用する組織、そのサービスを体感できるプロダクト(モノ)のデザイン、さらにビジネス全体までをもデザインすることです。プロダクト自体の質の、その先を見据える──それがデザイナーの仕事です」


ICTがビジネスの進化をけん引する時代に、あらゆる分野におけるICTのノウハウを持つ富士ソフトが、サービスデザインでビジネスに取り組んだらどれほどお客様のビジネスに付加価値を提供できるだろう。

佐藤 「本当にもったいないです。でも、サービスデザインさえ浸透させることができれば、この会社にゲームチェンジ(技術的変革)が起きるはず。その伸びしろを考えると、同時に胸が高鳴りました」

盤石の仕事に満足しない。伝統に、新たないぶきが吹きこまれる

▲メンバーと打合せをする佐藤

しかし、サービスデザインの浸透までの道のりは、平坦なものではなかった。従来のやり方を維持しても、お客様の期待を超える開発は可能である。そんな状況下で、“具体的にどんなメリットがあるのか” “それによって生まれる付加価値とは何か”を伝えることに、佐藤は四苦八苦した。

佐藤 「まず、私が注力したのは、サービスデザイン以前に、デザインの力が認められていないこの状況を打破することでした。デザインの力を理解してもらうために、“お客様や社内の開発チームがデザインで困っていれば、いつでも現場に行きます!”と上司から社内に周知していただきました。

また、プレゼンス向上のために、人間中心設計( HCD)専門家の資格を取得し、デザインには利用者視点でモノづくりをする仕組みがあることを発信していったのです。また、グッドデザイン賞を受賞できたことで、富士ソフトにデザインしていく力があることを世間にも知っていただきました」

地道な社内の働きかけを続けていった結果、周りの反応も大きく変わってきました。

佐藤 「さまざまな取り組みの結果、従来のバナー制作や web制作以外にも、たくさんの依頼をいただくようになり、実際にお客様に『使いやすくなった』『頼んでよかったよ』と喜んでいただくことが増え、そういった一つひとつの積み重ねで、デザインには見た目を綺麗にするだけではなくて、利用者の視点で課題を解決していく力がある、多分の可能性を含んでいることを理解していただくことができました。

そうして、ようやくデザインの重要性を社内に理解していただいたので、次はサービスデザインの周知に力を入れ始めました。ただ、こんなにも伝わらないものかと挫折しそうに。まずは、説明会を開催したり、社内のイベントに参加したり、草の根運動とでも言いますか……地道にサービスデザインを説明して回ります。

そんな中で、励まされることもあったのです。上司が経営層に何度も掛け合ってくれたんです。やはり富士ソフトは、やりたいことがあって行動する人にはチャンスをくれる会社だな、と実感した瞬間でしたね」

粘り強い説得が実を結び、さまざまな人たちの理解と協力を得て、2019年4月、たかきデザインオフィスにサービスデザイングループが立ち上げられた。

サービスデザイン、始動。たのしく、かんたん、きれいに進み続ける

▲ワークショップを開催

やっとスタートラインに立ったサービスデザイングループ。2019年現在、佐藤を含め、5人のメンバーが働いている。

佐藤 「メンバーはもともとデザイナーではなくエンジニアやテクニカルライター出身なので、イチからさまざまなことを学んで、試行錯誤しながら、頑張ってもらっています。サービスデザインをカタチにしていくのとともに、チームとしても成長しているところです」

佐藤は、「まずは実績をつくろう」と意気込み提案活動に力を入れている。

佐藤 「先日は、最新のセンサー技術を持つ企業に、どんな製品にしてユーザーに届けたらいいかを提案しました。基本的には、私たちはユーザーに直接サービスを届けるわけではありません。しかし、必ずお客様である企業の先にユーザーがいます。


提供側である企業とユーザー、さらにそれを包む社会の 3つにとって、良いサービスであることを心掛けています。誰かにとって良いモノでなかったら、そのサービスは長続きしないのです。


製造業のお客様に多いのは、新しい技術を開発したけれど、どのようなカタチでユーザーに届けたらいいかアイデアを考えてほしいというケース。情報通信業のお客様は、何か課題があって、それを解決するサービスはどんなモノか考えてほしいというケースが多いです。ほかには Fintechの流れの中で、金融業界のお客様からサービスデザインで新しいアイデアを創出したいというニーズが増えているのが特徴的ですね。


お客様の社内で、サービスデザインについてレクチャーしてほしいというご相談をいただくこともあります。先日は千葉工業大学の教授に協力していただいて、社会人と学生の混合チームでワークショップ (https://www.fsi.co.jp/takaki/events/) を行いました。アイデア創出の手法を勉強したいという声も多く、今後も開催していきたいと考えています」


佐藤は、富士ソフトのビジネスとサービスデザインの発想は親和性が高いと考えている。

佐藤 「サービスデザインの重要な考えのひとつに “共創 ”があります。そのサービスを提供するのに必要な知識、ノウハウを持つ人を集めて、共に創りあげることでより大きな価値を提供できるようになります。富士ソフトは独立系なので、お客様に最適な製品やサービスを選び、最善のパートナーと力を合わせてお客様のご要望を実現することができます。そういった意味でも、サービスデザインと親和性が高い会社だと思うんです」

富士ソフトは、ICTのプロ集団として業界をリードしお客様ビジネスに付加価値を創造することを経営方針として掲げている。佐藤はサービスデザインの力でそのミッションを強く推進していく。

佐藤 「より多くの “誰か ”の HAPPYをデザインし、富士ソフトの技術力で実現していくのが私の目標です」

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