薬剤師の働き方が変わる!?これから求められるスキルや考え方とは

「調剤業務のあり方について」と題した通知(通称:0402通知)が、平成31年4月2日付で厚生労働省より発出されました。これは薬局業界の今後を左右するものとして注目を集めています。今回この通知に関して、現場の経営者はどう受け止めているか、プライマリーファーマシーの山村真一先生をゲストに迎え、考えていきます。

国が本気で薬剤師の活躍を後押ししている

平成31年4月2日、厚生労働省より発出された0402通知。この通知によって非薬剤師でも一部の薬剤師業務が可能になりました。この変化をプライマリーファーマシーの山村先生は、「業界にとって大きなターニングポイントになる」と受け止めています。

山村 「このタイミングで通知があったというのは、薬剤師が飛躍するための舞台を国が本気で整えようとしている証拠です。今までの足かせが外されたことによって薬剤師の活躍の場は大きく広がっていく、いや広げていかなければならないでしょう。
具体的な影響として、数年のうちに、調剤室に調剤補助員がいるのは当たり前の景色になると考えています。また民間資格の取れる専門学校やスクールができる可能性もある。その結果、薬剤師の必要数そのものが適正化され、今までの売り手市場が買い手市場に変わる時が来て、やっと薬局が薬剤師を選択できる環境が整うことになれば良いと思います。
そうすれば薬局の質の向上につながり、薬局のサービスメニューも増え、服薬指導や患者対応のクオリティが上がることによって、薬局利用者の評価も上がることになるでしょう」

一方で薬剤師の動向として、山村先生は今回の通知が“単純に人件費削減に使われるネタ”で終わってしまわないように、早急に今回の通知の本質である調剤室内の業務から解放された薬剤師が、今後どのような仕事に注力していくのかという議論に集中していくべきだと語ります。

山村 「今回の通知を受けて、薬剤師スタッフには今後、今まで以上に一人ひとりの患者さんにより深く関わってもらい、その結果として投薬のフォローだけでなく、処方箋以外への業務シフトにも力を注いでもらいたいと思っています。
そもそも今まで自分たちが良かれと思って提供していたサービスのピントが外れていたから国民から医薬分業は役にたっていないと言われてしまった訳ですから、薬局のサービスメニューをゼロから見直し、薬局利用者が実感できる薬局ならではのメニュー、たとえば健康相談機能、健康チェック、検体測定といった、ヘルスケア領域に関係する薬局機能の拡大と充実を急がなければならないと思うのです」

大きな転換期を迎える薬局業界 。これから求められるスキルは「行動変容」

薬機法の改定により、薬剤師さんの働き方自体が変わっていくことが予想されます。そんな中、これからの薬剤師さんに求められるスキルや考え方には、どういったものがあるのでしょう?

山村 「今まで薬局窓口ではお薬の適正使用に重点を置いた指導を行ってきましたが、これからは一歩踏み込んで、患者さんの気持ちにもっと寄り添った形で、そして患者さんの辛い状況を改善できるように行動していくことが必要になると思っています」

そのために必要なスキルとして、山村先生が重要視しているのは患者さんの「行動変容」です。

山村 「たとえば、生活習慣病は患者さんの生活スタイルに問題があることが多い訳です。そのような場合、薬剤師が問題があると思われる生活改善指導を行い、よくない行動パターンに気づかせて改善させることができれば、薬が減ったり症状が改善されたりすることが期待されます。
そのように、これからは薬局業界全体として薬物治療だけではなく、患者さんの行動変容を促すことによって状態を改善させていくというエビデンスを収集し、アウトカムを出していくということが求められてくると思います。
今まではそのような気持ちで業務を行ってこなかったと思いますので簡単ではありませんが、薬剤師業務の新しい行動目標として取り入れていくべきだと思います」

患者さんに対して行う行動変容は、処方医による指導領域とも重なりそうなところ。しかし山村先生は、そのような懸念は無いと考えています。

山村 「医師は診断と治療方針を確定して、適切な処置並びに指導、そして薬剤を処方するのですが、患者さんの状況を良くしてあげるサポートをほかのプレイヤーが行うことに問題があろうはずはなく、重要な指導や注意は重複してでも行うべきことです」

医師の過重労働が問題になっている今、薬剤師の裁量拡大が期待されています。そうした状況の中で、これまで医師が担っていた部分を薬剤師がカバーしていけば、新たな活動領域が生まれていくと山村先生は考えています。

肝心なのは薬剤師自身が動くかどうか

今回の0402通知や薬機法改定の論議など、大きな転換期を迎えている薬局業界に対して、山村先生はどのように考えているのでしょう?

山村 「業界が大きな音を立てて変わっていこうとしていますので、中小の個人経営の薬局に関しては単独で個々に動くのではなく、改めてネットワークづくりを考えなければならないと思うのです。
それは経営的につながろうとするものではなく、サービスのクオリティを一緒に上げ、理念を共有できるようなネットワークの構築です。私はそれを非競争領域の連携と考えておりますが、まずは薬局の社会的存在意義を固めていかければと思っています。
大手調剤チェーンは企業としてガバナンスが効いており、業界の変容への対応が早い。そのため、個店にとっては脅威に感じられますが、大手調剤チェーンといっても全国的に知名度が高いわけでもなく、一店舗で見ると普通の地域薬局ですから、地域では『一対一』でどちらの薬局サービスの評価が高いかという競争になります。
ドラッグストアは正に究極の薄利多売ビジネスが根本にありますので、無人レジの導入などの合理化が進む一方で、今後利益が圧縮されていく調剤部門をどのように捉えていくのかが注目されます。
とはいえ、ワンストップで処方箋調剤だけでなく生活用品、食料品まで提供できる強みは圧倒的であることに変わりはありませんので、個店は顧客領域を分けた戦いを強いられることになるでしょう」

ただし、0402通知で舞台が用意されたとしても肝心の薬剤師が動かないことには何にもならなりません。目指すべき頂を頭の中に描いてアクティブに動いている人はまだまだ少ないからです。

山村 「新コアカリキュラムの成果かどうかわかりませんが、優秀な次世代の薬学生が増えてきたように感じます。こういった学生たちが現場で働くようになったら、変わっていくでしょうね。それこそ『 GooCo』のようなシステムを使いこなせるのは当たり前。厳しいですが、そういったソフトの変化についていけなくなる薬剤師さんとの新陳代謝が始まると思います」

薬剤師の働き方は、対物から対人へ

薬剤師の働き方の変化が予想される中、山村先生は薬剤師として、薬局を支えるシステムに「製品やサービスの提供を行っている会社と一緒につくっていける自由さ」を望んでいます。

山村 「近年ハードも機能が上がり、価格も安くなってきたので、いろんな可能性が出てきましたね。今までは薬局のレセコンがシステムの中心であり、そこにさまざまな機能が付随しているというイメージでしたが、今後薬剤師の働き方が変化していくのなら、それを支えるべきシステムもさらに自由度の高いものになってほしいと思います。
とくに電子薬歴に対しては、今まで算定要件に振り回されてしまい本来のあるべき姿とは違ってきているのではないかと思える面も出てまいりましたので、ここらでもう一度その在り方を見直し、これから業界のスタンダードが変わる瞬間が訪れるのではないかと思います」

薬剤師本来の業務を示すことになった0402通知。今回の通知により、薬剤師の調剤業務に対する負担が正式に大きく軽減されることになり、薬剤師の働き方を考えなおす良い機会になるのではないでしょうか。

そして対物から対人への業務の変換が大きく進められるのは間違いないでしょう。

山村先生が経営されるプライマリーファーマシーでも、「非薬剤師となる補助員の育成をはじめ、薬剤師が今までの業務に加えてより患者との関係性を深め、服薬後もフォローできるようなコミュニケーション実現を図り、これから広がっていくであろう新たな薬剤師の活動領域に向けたアクションを次々と起こしていきたい」と話してくださいました。

業界の転換点となりそうな今回の通知。グッドサイクルシステムとしても改めてその意義を考え、薬局業界のために尽力していきたいと考えています。

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