外国人にも希望する物件の入居を。自分も同じ立場だからこそ奔走し、努力を重ねる

エヌアセットの外国人社員1号として2017年4月に新卒入社した林同財(りん・どうざい)。 彼は、この2年半で65件の契約を成立させました。その営業力を支えているのは、高い語学力に加え、類まれなる努力とホスピタリティです。そんな彼が“外国人向け賃貸仲介の顔”に至るまでの経緯に迫ります。

日本留学にも就職活動にも生かされた「フロンティア精神」

▲株式会社エヌアセット 営業部法人営業チーム 林同財

2011年10月、故郷である中国・福建省から日本へ渡り、宇都宮大学に進学した林。その道のりは、決して平坦なものでありませんでした。

林 「実は父親から『 IT技術を勉強してほしい』と言われ、いったんは地元の大学に入学したんです。でも、どうしても日本に留学したいという想いが捨てきれず、 1年で中退してしまって」

福建省は、昔から日本へ留学する学生が多く、林の姉もかつて横浜で学生生活を送っていました。こうした“日本が身近に感じられる環境”は、林に大きな影響を与えました。高品質な電化製品やアニメ放映などを通じて知る高い技術力、経済力、暮らしやすさ……日本について知れば知るほど、林の日本に対する憧れは日に日に高まっていったと言います。

日本に行きたいという気持ちをあきらめられず、林は家族に理解を求めます。そうして、ようやく日本への切符をつかみました。

林は栃木県宇都宮の宇都宮大学を新天地に選びました。そこで、林は初めて“外国人”として住まい探しをするにあたっての、苦労をすることに。

林 「全国にチェーンを持つ大手不動産になればなるほど、『日本人の保証人』や『保証会社との契約』などといった厳しい条件を挙げられました。しかし、当時は日本に来たばかりで知り合いもいない。なので、希望していた物件はあきらめざるを得ませんでした。
そんなときに力となってくれたのが、地場の不動産会社でした。とくに保証に対して厳しいことを言われることもなく、『賃料さえ払ってくれれば大丈夫ですよ』と言ってくれ、入居することができたんです」

入居したアパートの隣には大家さんが住んでおり、毎月家賃を持参する度に対面。時におすそ分けをもらったりもしました。こうして常に気にかけてもらっていたことが、住み慣れない土地に暮らす林にとって大きな心の支えになりました。

大学3年の3月より、林は日本企業への就職活動を始めます。母国語である中国語に加え、日本語、英語を巧みに操る高い語学力を武器に希望したのは大手商社。しかし、すべて書類選考で落ちてしまいます。そこで“中小企業でありながらグローバル” “自分が外国人社員第1号として入社できる”会社に絞り、活動を再開。

──そうして出会ったのが川崎市の不動産管理会社・エヌアセットでした。

外国人客には絶対に、相手の国籍を聞かない

▲会議風景の1コマ。どんな場面でも臆することなく、自分の意見を伝えるのが林のスタンスです

就職活動で3社からの内定を勝ち取った林。エヌアセットに入社を決めた動機となったのは、会社説明会で代表の宮川から聞いた“グローバル化への想い”でした。

林 「地域密着型の不動産企業でありながら、ベトナムにもグループ拠点を持ち、グローバル企業としての道筋を築き始めている。『考え方が進んでいる』と感激しました。
ここでひとり目の外国人社員となり、ともにグローバル化を進めたい。そう強く思ったんです」

入社後、外国人賃貸仲介のメイン担当となった林は、めきめきと頭角を表していきます。

それまでお断りするケースが多かった対外国人客の窓口となり、きめ細やかに対応。「日本人と変わらない条件で希望の部屋に住める」ことを目指し、一つひとつの案件に尽力しました。

林 「外国人のお客様に接客するにあたって、決めているのは『相手の国籍を聞かない』こと。それを差別としてとらえてしまう人が多いようなんです。私自身は聞かれても気にしないタイプなので、そのことを知り、驚きました。
国籍を聞かなかったことによるトラブルは今のところないですね。ただ、日本語の語学力については念のためお伺いしています。それこそ入居後のオーナーさんとのコミュニケーションにも関わってくるので」

外国人同士でなければわからない胸のうち。それをつぶさにキャッチし、より良い接客へとつなげていく。たとえば、海外の賃貸物件にはない敷金や礼金、逆に日本には少ない家具つき物件についても根気良く説明を行います。すべてにおいて抜かりがありません。

林 「入居後の問い合わせにも随時対応しています。家具や家電を安く買えるお店、電気やガス、水道の契約方法、市役所や区役所での手続き、ごみの出し方……内容は多岐にわたりますが、どれも生活するために必要なこと。できる限り、力を尽くしています」

語学力、そして林の土台となっているホスピタリティ精神が口コミサイトでの評判を呼び、外国人の来店客数は2019年9月現在、前年比218%にまで伸びました。

相手が動いてくれないのならば自分で動いて、その間口を広げていくほかない

▲法人営業部部長の上野、ベトナム人社員フェンと。外国籍スタッフの増員により、社内のインバウンド体制が強化されました

林の想いや行動に心が動かされたのは、お客様だけではありません。物件管理を担当する社員たちがオーナーに対し、外国人の入居が認められるよう積極的に働きかけるようになったのです。こうして管理物件全体の約7割を外国人入居可とすることができました。これは2割程度だった当社の3年前と比べても、業界全体としてもおそらくトップレベルの数値です。

林 「社内での受け入れ体制は徐々に整いつつありますが、一方で他社の管理会社に物件の問い合わせをすると、詳細を聞かずに『外国人は無理』という一点張りのケースも。そんなときは、さすがに心が折れますね」

相手が動いてくれないのならば、自分から動き、間口を広げるしかない。どんな労力もいとわない林は、自ら名乗り出て、不動産オーナーとの難しい交渉を引き受けることも。

林 「先日は『あまり日本語が話せない、でも就職はしている』アジア人女性の入居について交渉してきました。書類しか見ていないオーナーさんが NGを出してしまう気持ちもわかるので、そういうときは、入居希望者と一緒に出向き対面してもらいます。
なおかつ、入居後のアフターフォローについても説明させていただくことで、オーナーさんの不安はやわらぎ、入居が可能になるケースが多いんです」

エヌアセットでは、外国人専門の賃貸住宅保証や生活サポート事業を展開するグローバルトラストネットワークス社と契約。外国人が入居する際の各種保証や生活に関する相談窓口を提供することで、オーナー・入居者双方の安心・安全を目指しています。

外国人専用の国内不動産情報サイト『リアルエステートジャパン』の活用も再開しました。林は、サイトの上限である100件の自社管理物件を自らで投稿。公開からわずか1カ月の間に、30件の問い合わせを受け、そのうちの8件が成約しました。

林 「入居可能な物件を増やし、その物件とお客様との接点を増やすことが『理想のお部屋探し』につながります。ですから今は、多角的に動き、幅広い領域での足固めをひたすら行っている状態ですね」

難易度が高いとされる宅地建物取引士の試験を、母国語でない日本語で受け、見事合格した林。そのたゆまぬ努力と成果にこだわる姿勢は、周囲をけん引し続けています。

「どんな希望にも」「どんな言葉でも」対応できるチームを目指す

▲2018年12月に行われた外国人入居者パーティーの様子。約30人が参加し、大いに盛り上がりました

林の入社によって外国人客の受け入れ体制が急速に整えられ、仲介契約件数を伸ばし続けるエヌアセット。会社と入居者との間に築いた信頼関係をさらに強固にしたのが、2018年12月に開催した“外国人入居者パーティ”でした。

林 「約 40人の入居者に対し年賀状を送ったのですが、上司と『皆さんと定期的に対面できる場をつくりたいよね』という話になり、急遽パーティを開催することになったんです。中国、韓国をはじめ、台湾、アメリカ、インド、ベトナム、イタリア、フィリピン、インドネシア……実にさまざまな国の人に参加してもらい、非常に盛り上がりました。
こうして出会いの場を創出することで、もっと日本での生活を楽しんでもらいたいんです。このイベントは今年の 12月もぜひ実施したいですね」

かねてより当社の課題として挙がっているのが、「賃貸や売買の仲介をした後は、お客様との関係が途絶えてしまう」ということ。このパーティの開催は、会社としても入居者の近況を直に聞き、把握できる貴重な機会となりました。

近年、本店を構える溝の口、東急田園都市線沿線エリアは、大手グローバル企業やテンプル、居住する外国人が急増しています。当社にとってまさに追い風となる市況が見込まれますが、その領域のホープである林は、今後の体制をどのように描いているのでしょうか。

林 「まず、外国人入居可の管理物件を 7割から 9割に引き上げたいですね。加えて、最近ベトナム人や中国人のスタッフが入社してきたのですが、今後も韓国語、フランス語などが堪能な人にジョインしてもらい、お客様の『どんな希望もかなえられる』 『どんな言葉でも対応できる』チームを目指したいと思っています」

林の座右の銘は、「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」というエジソンの名言。そう話す彼自身が、すでにその言葉の体現者となっているのかもしれません。

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