いつか、この手で世界初の「ものづくり」を。目標を描き飛び込んだ最先端フィールド

坂下拓弥は、NTTデータの中でもとくに最先端の知見が求められる事業部で、開発チームのリーダーとして活躍するエンジニアです。意外にも学生時代は建築学専攻で、プログラムの経験は一切なし。ところが、ある体験をきっかけにエンジニアとしての道を強く意識するようになりました。そんな坂下の仕事観をご紹介します。

建築の世界で描いた「ものづくり」の夢。データの可能性に触れITの道へ

▲NTTデータ ビジネスソリューション事業本部 坂下拓弥

坂下には、少年時代のある忘れられない記憶があります。それは、土木技術者だった父に連れられ、父が建設に携わった完成したばかりの橋を見に行ったときのこと。それまで自由に行き来することができなかった場所が橋によって結ばれ、新たな人の往来が生まれる――。

その光景が、幼かった坂下の心に「人の役に立つ『大きなものづくり』がしたい」という想いを植えつけることになりました。

大学時代は建築学科に進み、都市計画・環境学を専攻。「大きなものづくり」を仕事にするための選択でした。しかしここで、「建築」とは別のアプローチから自らの夢に近づくことの可能性に思い至ります。

坂下 「大学院生の時に、 iPhoneが日本でも普及し始めて、 Google Mapを使うようになりました。また、研究の一貫で、 GIS(Geographic Information System:地理情報システム)を使った空間情報分析を行ったりもしていて。そういった技術に触れる中で、建築物が人々に与える価値は間違いなく素晴らしいが、『データ』や『システム』を使って、人々に感じたことのない価値や経験を与えるものづくりも、チャレンジングで楽しそうだと考えるようになりました」

そして、ITの世界での「大きなものづくり」をこころざし、2011年にNTTデータに入社。この時点で職種については漠然と、ものづくりの上流に位置するコンサルタントを思い描いていたという坂下ですが、最初の配属は、エネルギー業界向けの基幹システムの開発プロジェクトでした。ここで、開発担当としての第一歩を踏み出すことになります。

当初は要件定義から設計工程に携わっていましたが、2年目からは、設計書を基にソースコードの自動生成を行うツールの開発チームに参画。

ここでの坂下の主な役割は、ツールの仕様策定。それ以外の“手を動かす”ところについては、ほかのメンバーに委ねることが多かったといいます。

ところが、技術的難易度が高い仕様策定や、トラブルが発生した際に問題を切り分けユーザーに説明を行わなければならない場面で、技術を理解できていないためにクイックな反応ができず、悔しい想いをすることが何度か重なってしまったのです。

坂下 「やっぱり肝心なところで話ができないと、周囲からは信頼してもらえないんですよね。原因が自分の理解不足にあることも自覚していたので、なおさら悔しかった。だからこそ、一念発起してそれまでのスタンスを改め、自らソースコードに向き合うようにしたんです。
また、周囲の技術者とも積極的にコミュニケーションをとって、わからないことがあれば教えを請うようにしました。そのうち、徐々にチーム内での信頼関係が形成されていきました」

その後、システムは無事にリリースされました。そんな中でトラブルが発生したのは、坂下がひとりで監視対応をしていたある晩のこと。しかし、ここでソースコードの自動生成ツールの開発で培った知識が生きます。

不具合解析のための自動探査ツールを一晩で完成させ、不具合の原因特定に成功したのです。このファインプレーは、自チームのみならずほかのチームのメンバーからも感謝をされます。そしてこの経験が、その後の坂下の方向性を決定づけました。

坂下 「自分で手を動かしてつくったもので、誰かの役に立ったり喜んでもらえたりすることの嬉しさを、このときに強烈に実感しました。そして、初めて明確に『エンジニア』としてこの世界でやっていきたい、という想いが自分の中で芽生えたんです」

「もっとコードを書きたい」。自ら志願した2度の異動

入社4年目を迎え、坂下は「より技術力を身につけたい」という想いから、それまで所属していた組織よりも新技術へのチャレンジができる、社内で新たに立ち上がった現事業部の公募に自ら名乗りを上げ、異動を果たしたのです。

異動後はデータ活用基盤のインフラ開発の経験を積みながらも、お客様のビジネスに直接貢献するソフトウェアを “自らの手を動かして開発する ”機会の多い別のチームへの異動を上司に願い出ます。これが受け入れられ、2度目の異動を果たしました。

坂下 「今のチームに異動を希望した理由はふたつあります。ひとつは、自ら手を動かしてコードを書きたかったこと。もうひとつは、そのチームでなら、データを活用した新しいチャレンジができるはず、と考えたことです」

2度の異動を通して坂下が感じたのは、NTTデータで実現できる働き方の多様さ。

坂下 「当社は、『開発』職というと、自らの手でコーディングするような立場よりは、 PMとしての経験を積んでいくような立場にいる方が多いと思います。ただ、自分自身が『技術に深く関わりたい』と願うのであれば、それをかなえる道筋もありますし、社内にサポート体制もあります。もちろん『開発』職に限った話ではなく、『コンサル』や『営業』といった他職種へのパスも描くことができる。フィールドの幅広さは、この会社の大きな魅力だと感じています」

坂下が所属するチームの最大のミッションは、Industry4.0を具現化するプラットフォーム「iQuattro®」の開発と、製造業系のお客様への拡販。坂下は、企画段階から関わってきました。

アプリケーション基盤の開発チームリーダーとして、坂下が意識し続けてきたことがあります。

坂下 「クイックにプロトタイプをつくって、お客様に早い段階で動く “モノ ”を示すようにすることを第一に心がけています。そうすることで、ふわっとしたイメージしかなかったお客様に、 “これならやれそう ”という手応えを感じてもらえ、前向きにアイデアを出してもらえるようになります。そのような “やれる感 ”を持っていただいた上で、コンサルタントとも連携しながら、お客様と一緒にアイデアを練り上げていくスタンスを大切にしています」

デジタル案件の多くは、お客様に細かい要件がない段階からスタートし、かつスピード感のある対応が求められます。お客様にパートナーとして選んでいただくためには、素早くアイデアを形にできる力が重要なポイントになると坂下は考えています。

また、技術の新規性へのキャッチアップという意味では、「NTTデータよりもベンチャーの方に分がある」とした上で、それでもデジタル案件の領域でNTTデータが発揮できる価値を見出しています。

坂下 「たとえデジタル案件でも、商用利用されるのであれば必ずシステムの『信頼性』『拡張性』『セキュリティ』など非機能面で高い品質が求められます。つまり、『新規性+非機能品質』の両方が担保されていなくてはいけない。特に後者の部分で、ミッションクリティカルな基幹システムを数多く手がけてきた NTTデータならではの知見は極めて有用だと、実感しています」

最先端の技術領域で「価値」を生み出すために東奔西走

現在坂下は、iQuattro®の開発において、お客様の各拠点(工場)からプラットフォームに連携されてくる膨大なデータを出し入れするデータパイプラインの開発にメインであたっています。通常なら、 API(データの入口)、データベース上のテーブル、並列処理数などをすべて手でコーディングし、試験を実施する必要があります。これをひとつの設定ファイルを書き換えるだけで、何日もかかっていたこれらの作業を1時間も関わらず自動で完了させるというもの。

坂下 「わずかな記述だけで、信頼性の高いデータフローを構築できるので、作業の効率化においても、また人的ミスの回避という点においても、あらゆるお客様にとって大きなメリットになるはずです」

また、現事業部に異動してから、海外を訪れる機会も頻繁にあると言います。最先端の技術を保有する海外の協業先や、お客様の海外拠点に坂下が自ら赴く場面が増えているからです。

「iQuattro® 2.0」の開発時には、ブロックチェーンの技術を持つアメリカのベンチャーSkuchain社に単身で乗り込み、同社のエンジニアと議論し、iQuattro®と連携するためのアーキテクチャの設計と構築を行いました。

坂下 「やはり、国ごとにソフトウェア開発文化のギャップはあると感じていて、深いコミュニケーションが必要なことも多く、 Face to Faceのコミュニケーションは欠かせません。
たとえば日本のお客様は、 PoC( Proof of Concept:アイデアに基づく試作品開発を行い、トライアルとして実証実験などを行う事でサービスの実用化目途を推し測ること)とは言いながら、将来の商用利用を見据えたつくり込んだものを期待されるケースが多いのですが、北米のベンチャーは『とりあえず動くものを』という認識でいることが多く、双方の「 PoC」の認識のギャップを埋めるための働きかけが必要です」

お客様の海外拠点を自ら訪れるのも、この“ギャップ”を解消に導くため。ソリューションを使用している現地の担当者に直接ヒアリングを行い、利用シーンを写真や動画に記録してソフト開発元にフィードバックします。そこまで踏み込んだアプローチができるのは、お客様との日頃の信頼関係があればこそ。そうして実地に集めた情報を示しながら協業先と対話を試みると、理解を得られやすくなるのです。

また、近頃は、NTT DATA Services(米テキサス州)が進めているスマートシティプロジェクトに連なるデータ活用基盤との連携のために訪米する機会もあります。

坂下 「スマートシティプロジェクトは、監視カメラの映像や音などのデータをデータセンターに集めてAIで分析し、街の保安に活用することをメインに、ラスベガス市内で進められています。

学生時代に専攻していた『都市計画』と、この業界に入るきっかけになった『データ』というキーワードが、入社9年目にして結びつきました」

この巡り合わせは、決して偶然ではなく、「自ら意図して動いてきたから」──。

坂下は断言します。

描きたい未来を想い、「ありたい姿」と「あるべき姿」を体現し続ける

▲iQuattro®開発チーム。最先端の技術領域で「価値」を生み出す。

そんな坂下の、ありたい姿は「闘う技術者」というもの。

坂下 「入社 2年目で『エンジニア』として働くことのおもしろさに気がついてからは、武器となる技術をいかに磨き続けるか、ということを常に意識しています。自分で手を動かすにしても、協業先と連携するにしても、デジタル案件をやり抜くためには、アンテナを高く最新のトレンドにキャッチアップしていく姿勢が不可欠です」

社外の勉強会や研修へも楽しみながら参加し、エンジニアとしての情報収集や英語の習得に努めていると言います。

坂下 「今後も、技術の面でほかの誰にも負けないような人財であり続けたいんです。新技術を使いこなすためには、他の人が経験したことがないトラブルやバグと闘わなければなりません。闘うためには技術的に高い問題解決能力や専門性が求められることもあります。自分の技術力で複雑な課題を解決し、お客様の期待に応えられたときのうれしさは他では味わえないものだと思っています」

「技術」への強いこだわり。それは、自らの職種へのプライドというだけでなく、デジタル案件で成果を上げ続けるための戦略上も、技術力が要になるという確信が根本にあります。

「要件」がない段階から、お客様と一緒にアイデアを練り上げ、 PoCに必要なプロトタイプをつくり上げ、企画をブラッシュアップしていく――。デジタル案件においては、このプロセスを2~3人の少数メンバーで進めていくケースがほとんどです。

最前線に立って“ものづくり”をして、お客様に納得していただくことができて、初めて仕事になる。そのことを体感しているからこその、強い決意でもあるのです。

同時に、坂下は、プロジェクトに関わる各人が自らのスキルの幅を広げていくことの重要性についても言及します。

坂下 「私自身の軸足は『技術』にありますが、お客様のビジネスまで踏み込んで考えるようなコンサルタント的な思考も身につけていれば、お客様とのコミュニケーションにも幅が出ると思っています。逆もまた然りで、コンサルタントであったとしても、技術周りのこともある程度わかっていないと、少人数のチームでお客様に響く提案やプロダクトを提供していくのは難しいはず。
これからの時代は、各人が強みとなる軸を持ちつつも、『自分の仕事はここまで』という線を設けることなく、『自分ひとりで案件をやってやるぞ』というくらいの気概で、スキルを広げていく努力が求められるのだと感じています」

坂下の、今後の目標はふたつ。ひとつはiQuattro®をグローバルに展開していくこと。もうひとつは、自らの技術で「世界初のものづくり」を成し遂げること。

坂下 「自分の手でつくったものが、人の役に立って、喜んでもらうことができたときのうれしさ。その原体験があるからこそ、『これは俺がつくったんだぞ』と人に言えるような仕事をしたいです」

穏やかな語り口ながら、その胸に熱いものを燃やす「闘うエンジニア」。これから世界のあちこちに、多くの人を笑顔にする“橋”を架けてくれることでしょう。

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