リースを超えて行く ~暗闇に飛び込むと新しい何かと出会える~

新生銀行グループ・法人ビジネスユニットの一翼を担う昭和リースは、今年2019年、創立50周年を迎えました。リース会社として老舗の昭和リースですが、今、リースの枠を超えた新たな取り組みを始めています。今回は従来の枠にとらわれず新事業にチャレンジする、とある社員のストーリーをご紹介します。

言うことを聞かなかった若手時代

企業の頼れるパートナー、昭和リース。コピー機・パソコンなどの身近な事務機器リースから、船舶・航空機ファイナンスといったビッグプロジェクトまで、お客様のさまざまな問題解決のために、モノを通した多彩な金融ソリューションを提供しています。

現在、昭和リース株式会社 営業本部新事業・プロジェクトチームに所属する國井洋平は、「産業発展の担い手」というリース業界に惹かれて入社しました。

國井 「もともとは物流業界かメーカーを志望していました。物流とメーカーを志望した理由にこれといったものがあったわけでなく、物流は “ワールドワイド ”、メーカーは “ザ・ニッポン ”のような、感覚的なイメージです。
昭和リースに入社したのは、たまたま合同会社説明会でブースを覗いたのがきっかけです。人事の担当者に『迷っているの?』と聞かれて、『物流かメーカーで迷っています』と答えたところ、『昭和リースなら、両方と深く付き合えるよ』と。
『物流とメーカーの両方いけるの?いいとこ取りなのか?』『金融ならどんな業界にも関われる!』という気持ちで入社を決めました」

國井は入社してまず大阪地区の配属になり、すぐに大手家電メーカーを担当しました。そして入社5年目までは、主に産業機械などを取り扱うリースのエリア営業を経験します。ルートセールスのほか、新規取引先の開拓に従事していましたが、少し慣れてくると疑問に感じることがいろいろ出てきました。

國井 「営業ですから当然数値目標があって、利益にどれだけ貢献したかが重要になります。そのため小さな案件や金利が極端に低い案件だと、『儲からないのになぜこれをするのか』がわからなくなってきました」

そこで國井は「小さいもの、儲からないものはやらない」という自分ルールを策定したのです。

國井 「勝手にそういうルールをつくって、上司には『小さい案件もやりなさい、取引先との関係も大事にしなさい』とよく注意されました。でも、儲けさせてもらえない案件にどうしてエネルギーを使うのかが、僕にはわかりませんでした。
よく『案件が人を選ぶ』という都市伝説めいたことが言われているのですが、おもしろいことに、小さなものはやらないと決めた途端に大型案件が入ってくるようになりました」

産業発展の担い手になるには? 仕事のなかで抱えた葛藤

「小さいもの、儲からないものはやらない」という自分ルールを決めてから、仕事が軌道に乗り出した國井。しかし、この時期はつらいこともあったと言います。

國井 「当たり前のことですが、お客様が新しい事業を始めるときには、必ず資金が必要になります。その資金のご相談をいただくにあたって、どうしても厳しい条件を提示しなければならないことがたびたびありました。
今ここでもっといい条件を出すことができたらいいのに、それができないことに対して悶々としましたね。実際にお客様に嫌な思いをさせてしまったこともありました」

自分たち(会社)の論理だけで、お客様にとって一方的な話をしているのではないか。そんな考えが頭をよぎり、國井は「これでは産業発展の担い手になっていない」と思ったのです。

國井 「本当に成長したいと思っている会社、資金が必要な会社にもっと目を向けるべきではないのか。事業性を評価するといったことに目線を変えていくべきではないのか。このころは、そんな偉そうなことを言ったりしていました」

そんな葛藤を抱えつつ、やがてエリア営業を5年間経験した國井は、6年目に海上輸送機械業界の専任となります。國井はそこで主に作業船のファイナンスを担当することになり、それまでに経験したものとは違う世界を見ることになりました。

國井 「まず、これまでとは案件の規模が違いました。エリア営業時代は、ひとつの案件は大きくても数千万円単位でしたが、それがいきなり 10億円クラスになったんです。規模だけではなく、高い収益性も見込めるようになりました」

一方で、収益性の高い案件は事業リスクも高いため、より大きなリターンを目指すにはさまざまなファイナンスの知識も必要になり、案件分析の難易度も高くなります。

國井 「あれほど大きな案件、儲かる案件しかやりたくないと言っていたのですが、大きな案件を前にして、経験のない暗闇の中を手探りで進んでいくことに怖くなりました。さらに、ファンドの投資スキームをつくったりと、勉強することが山のようにありました」

そんな中、國井にとって印象深いことがありました。半年くらいかけてお話してきたお客様の財務諸表を見る機会があったときに、リース勘定に少額の事務機器リースらしい項目があったのです。

國井 「そのお客様は事務機器リースのことを私には一切相談されませんでした。逆に、事務機器リースを取り扱っている他社には作業船のことをお話されていないんですね。
『案件が人を選ぶ』という都市伝説は、こういうことなのかと思いました。ポリシーを持って取り組むことの重要性に気づいた瞬間でした」

カプセルホテルとの出会いから始まった、新たなチャレンジ

暗闇に不安を感じていた國井ですが、やがてその暗闇を進んだ経験が役に立つときがきます。2017年に新事業プロジェクトチームが立ち上がり、國井もその新チームに加わることになったのです。

現在、金融業界は厳しい環境下に置かれています。リース会社も例外ではありません。しかし、そのような中でも新しいビジネスを開拓しなければいけない――。國井はどこから手を付ければ良いのかまったくわかりませんでした。

そんな中、試行錯誤を繰り返し、國井はとある事業に着目します。きっかけは、あるカプセルホテルに泊まったことでした。ちょうど日本国内の宿泊施設は、東京オリンピックを控え、今後海外からのインバウンド需要がますます高まると予測されていました。

國井 「昭和リースを選んだときと同じで、これも感覚的なものがきっかけです。『ここいいね、おもろいやん』と。従来のカプセルホテルとは違うというか『ここ絶対に流行るな、またここに泊まりたい』という感覚がありました。
どんなビジネスでも、その仕組みの説明はわりと簡単です。ビジネスの仕組みが優れていれば事業として成功することはあるかもしれない。でも、それだけではなくて、“そのビジネスに共感できるか ”。僕の軸はここです」

こうして自分のゴールを、このカプセルホテルにファイナンスで関わることと定めた國井。関わり方はいろいろあるはずだと、まずは事業者の要望を聞いて、一番のニーズは何かを明確にしていきました。

やがて見えてきたのは、カプセルホテル側は継続的に建物を開発してくれるパートナーを探しているということでした。このニーズを実現するためにファイナンスで何ができるか。國井の奮闘が始まりました。

國井 「またもや暗闇です。それも真っ暗闇。次に何があるのか、次は何をすれば良いのか分からず模索が続きました。『どうする?どうする?』状態です。
スタート時点では昭和リースだけでできると思っていたのですが、アセットマネジメント(資産管理)が必要とか、いろいろなことがわかってきて、ずいぶん外部のプロフェッショナルにも相談にいきました」

そして、紆余曲折を経てできあがったのが、不動産ファンド(合同会社)への匿名組合出資というスキームでした。

國井 「スキーム検証資料をいま見返すとものすごい量です。最初、ペラっと書いた紙切れ一枚のメモ書きから始まったのですが、自分の思い描いた絵がだんだん形になっていき、実際に完成した建物を見たときはこんなに感動するのかと思いました。
未知の領域のほうが、誰もが知っているビジネスよりも可能性があると思います。暗闇を進んでいくと、絶対に新しいものが待っている。
ふと気づくと、以前は怖かった暗闇が楽しくなっていました。次はどうしようとか、このあとはどうなるだろうとか考えるのが楽しくて仕方がなくなっていました」

発明家ではなく、プロデューサーになりたい

カプセルホテルのあと、國井は民泊・簡易宿泊施設開発のプロジェクトも推進しました。

國井 「この案件への取り組みも、自分の感覚です。家族で旅行するとき、ツインやシングルの部屋を複数取ることがあると思います。たとえば、それが一軒家で、ホテルよりも安くて、別荘にいるように家族が過ごせるとしたらそれは『アリ』だと思うんです。
自分が『あ、ここ泊まりたい』と感じるか。この感覚を信じて肉付けしていきました」

國井には大切にしていることがあります。

國井 「いま僕がやっているのは B to Bのビジネス。“会社 ”対 “会社 ”の取引です。でも根底にあるのは “人 ”と “人 ”だと思うんです。目の前で話をしている相手がどう思うか、どう感じるか、ここが大切で、いつも気にかけています。昭和リースの論理だけで話を進めたくありません」

今でも勉強することがたくさんある、と話す國井ですが、その一方で相手に飛び込んでいく姿勢も大事にしています。

國井 「飛び込んで、お互いの合理性を検証し、双方にとって Win-Winの関係をつくるために対話を繰り返していく。つまりバランスです。関係する当事者の限られた誰かが良い思いをしちゃいけない」

バランスが崩れるとひずみが生まれます。でも、ひずみが生まれると、そのひずみから何か新しいものが生まれる可能性もあります。

國井 「僕は発明家ではありません。まったく新しいコンセプトの “なにか ”をつくることは多分できない。でも、新しい “なにか ”に、ファイナンスの仕組みを付けていくことは得意です。
自分で事業アイデアは出せないかもしれないけれど、新しいアイデアに乗って、金融を通してそのアイデアを成長させていくことはできる。発明家ではなくて、格好つけて言うと、プロデューサーでしょうか」

関わり方はなんでもいいと國井は言います。お客様が何を求めているのかに合わせて、それがファンド組成なのか、融資なのか、リースなのか。資金が必要なところにいちばんマッチするやり方で出していく。「どういう出し方をするかは僕に任せてください」と言える國井は、“アレンジャー ”なのかもしれません。

自分がやりたいものをやる。100%いけると確信したものをやる。絶対に当たると信じてやりつつ、リスクはしっかり押さえて常にブラッシュアップしていく。そしてちょっと臆病でわがまま。それが國井のスタイルなのです。

國井「実は、これまでの経験を通じて、気軽に情報交換ができる社外の仲間がずいぶん増えました。いろんな情報を持ち寄って、『これ、おもしろいよね』とそんな話をしています。いろんな業界に知り合いができて、何が来てもアドバイスをもらえるし、どんなビジネスでもできる。今はそんな気がしています」

國井は今、次の新事業を探っています。

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