ボタンひとつでカンタン発注。HR×テクノロジーの最先端

EC、物流業界のデジタル化にともない、HR業界にも押し寄せるテクノロジーの波。その最先端では今、どのようなサービスが生まれているのか。そして今後、どのようなことが可能になるのか。短期単発の人材派遣・紹介サービスを提供する株式会社バイトレの代表取締役社長、川村将臣が手掛ける事業と、その未来の展望とは。

ボタンひとつでカンタン発注できる時代へ。業界初の「シフティングサービス」

▲いつでも再発注できるダッシュボタンのイメージ

突然だが、Amazonのダッシュボタンをご存知だろうか。現在はバーチャルダッシュとして親しまれるそれは、日常的に購入する飲み物などお気に入りの商品を登録しておき、足りなくなったらいつでも再注文できるボタンである。

そんな画期的なシステムが、HRの現場でも開発されている。

開発元は、短期単発の人材派遣・紹介を専門に行うバイトレ。Amazonに代表されるネット通販業界が右肩上がりに成長しているが、それを水面下で支えている人材サービス会社である。

川村 「着想は Amazonのダッシュボタンそのものです。当社の取引企業は繁忙の波に合わせて必要な数のスタッフをご依頼いただくことが多いのですが、長らくお付き合いさせていただいていると、過去のデータからこの時期はこのくらいの業務量かなって予想が付くんです。
なので、あらかじめ条件設定をしておいて、時期が来たらボタンひとつ押せばいいだけにしてしまえば企業担当者も便利かなと」

もともと短期単発の人材派遣業界というのは、その特性から超が付くほどアナログな業界である。日々変わる派遣先、スタッフをマッチングさせていくという仕事。非常に複雑かつニッチなシステムということもあり、開発に名乗りを上げる企業が少ないのもデジタル化が進まなかった理由のひとつだと川村は言う。

いつ、何人、どこから採用すればいいかが一目でわかる。勤怠管理も簡単に

▲HR×テクノロジーの最先端であるサービスは、展示会でも話題に

シフティングサービスの強みは、ダッシュボタンだけではない。企業の繁閑に合わせた必要人員を可視化し、人材会社から派遣される派遣社員はもちろん、自社の契約社員やアルバイトの採用状況が一元管理できる。さらにはクラウド上でのタイムシート連動によって、リアルタイムでの勤怠管理も可能になると言う。

川村 「単純なシフト管理のように当社から派遣する人材状況が見られるのはもちろん、他社や企業様が自前で用意する人員まですべてを包括して見られるシステムにしています。
これによって、どの時期に何人必要で、その人材をどこから採用すればいいかが一目でわかります。当社としては、『他社や企業様での採用が進んでいないのであれば、当社からあと何人かご紹介しましょうか?』といった提案ができます」

現場担当者の手間を少しでも軽減すべく開発されたシフティングサービス。同様のサービスを提供できる会社は、2019年現在業界でバイトレだけだと川村は言う。

月間11万人以上のスタッフをAIで自動的にマッチング!

▲AIによるスピード就業で月間11万人以上が働いている

一方で、いくら便利なシステムがあっても、紹介できる人材を抱えていないとシフティングサービスは成り立たない。

川村 「働く側の利便性の向上には、実はシフティングサービス開発よりもずっと前から取り組んでいます。短期単発の仕事をお探しの方は、場所、時間、日給が、意思決定ファクターの優先上位を占めているんです」

今まで人の手を介して行っていた登録面談や就業フォローは、はたして本当に働く側の利便につながっているのか?もしかしたら、アナログで対応するよりも、スマホひとつで完了できた方が便利かもしれない。バイトレはそう考え、登録から就業、給与振込まで、希望の方にはすべてスマホひとつで簡単に完了できるシステムをつくった。

もちろんスタッフ向けのシステムも自社開発だ。手間を省いたシンプルなシステムの甲斐あってか、創業から10年目となるバイトレのスタッフ稼働は月間11万人を超え、前年比136%の成長率でスタッフ稼働を伸ばしている。展開エリアは東京・名古屋・大阪を中心に全国24エリアまで増えた。

バイトレが大きくスタッフ数を伸ばしている要因について深堀りすると、AIによる自動マッチングがある。今日の明日で人を欲している現場と求職者を結び付けることも少なくないバイトレに、スピードは不可欠だ。

川村 「登録スタッフ一人ひとりに一般的に割り当てられる IDナンバーを単なる番号にせず、桁ごとに意味を持たせているんです」

たとえば、単発バイトにおいては遅刻せずに出勤したかが非常に重要なので、欠勤や早退を何回したかといった内容がわかるようになっているとか。

川村「マッチングにおいて重要視される項目にフラグを立てて、優先的にマッチングさせているんです」

これによって企業の要望と働く側の条件をスピーディーにマッチングすることが可能となり、双方の利便性向上につながっている。

人材のことも外部に委託できる。そんな未来を目指して

▲プラスアルファの提案ができる会社であり続けたい、と言う川村

こうした利便性の高いシステムを提供できる背景には、自社開発ができる環境と、現場からの意見をあげやすい風通しの良さが挙げられる。

川村 「私たち綜合キャリアグループには自社開発できるシステム部隊がバックに構えているので、こんなシステムをつくりたいという構想をすぐに共有して、実現できる環境があります。さらにバイトレには、自分たちで決めて動く風土があるので、こうした方がいいと思った点は共有して改善につなげています」

変動する繁閑と人員状況。日ごとに入れ替わる人員を管理する煩雑なシステムを開発するためには、クライアントや業界の状況を熟知する営業担当と、高度な技術を持つシステム開発者の連携が不可欠である。社内で同じ温度感を持ちながらレスポンス良く進められることもスピード開発につながった。

今後バイトレでは、シフティングサービスの機能面充実を図るとともに社内ツールに留めずマネタイズ展開すること、またロジスティクス派遣における3PL(※)化など、既存領域に留まらず隣接ドメインへ果敢に挑んでいく。

川村 「企業様に対しては、シフティングサービスや勤怠管理の導入で担当者の手間が減る=単なる人の派遣だけではなくて、プラスアルファの提案をしてくれる会社でありたいです。物流で 3PLという言葉がありますが、人材における 3PL事業者化を目指したいですね。それが受注につながって、スタッフさんに還元できれば」

何事にもフェアでありたいと言う川村。これからも時代に合わせた最先端のテクノロジーを導入しながら、企業にもスタッフにも社内にも、プラスアルファをもたらす存在であり続ける。

(※)3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは……物流機能の全体もしくは一部を、第三の企業に委託することで実現するという、物流業務形態のひとつ

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