個人で価値を生み出す経験が本業に生き、社会的価値向上につながる──複業解禁への想い

終身雇用が当たり前ではなくなり、個人の価値が見直されている昨今。複業の解禁や推奨をする企業が増える中、エスプールも2018年に複業制度を解禁しました。自身の社会的価値を高めるとともに、会社に頼らず生活基盤をつくる“新しい働き方”ができる人材を増やしたい──その想いが込められた複業解禁の背景をお伝えします。

社員のキャリア形成をサポートし、成長できる社内環境にするための一手

▲ネクストキャリア支援制度のひとつとして静かにスタートした、複業支援

社員が高いパフォーマンスを発揮できる人材に育つためには、社内にキャリアステップを用意することが重要。しかし、さらなるパフォーマンスの向上や社会的価値を高めるためには、それ以外の選択肢も必要ではないか──。

そんな想いから、エスプールでは2018年、複業制度を策定しました。社内申請が通れば、誰でも複業ができる許可制となっています。

策定の責任者である人事部長の米川幸次は、複業制度の活用による社員の変化を期待しています。

米川 「複業制度の策定は、人材育成が一番の目的です。以前から社員自身のキャリアプランに関して相談の声があがっていたことに加え、新しい働き方への積極的な取り組みが会社として必要だと感じていたタイミングでもありました。そこで、既存の社員のキャリア形成を手助けするとともに、会社全体を成長できる風土に育てていくために、複業制度の検討を始めたんです」

検討する上で、まずはトライアルを実施。社員3名を他企業のプロジェクトに派遣し、リアルな業務経験を積んでもらいました。そのうち1名は、他社の人事制度の改定プロジェクトにジョイン。

米川 「われわれの立場からすれば、自社では経験できないケーススタディや事象に触れることでノウハウの充足になり、社員自身の成長にもつながることが大きなメリットです。一方で複業先の企業にとっては、いわゆるオープンイノベーションですね。外部の人間をブレーンとして加えることで、自社のこれまでの考え方や固定概念からの脱却を図れるというメリットがあったと思います」

トライアルを経て、自社に所属しながら他社の実務を担う経験が社員のスキルアップや意欲向上、教育などに非常に効果的であることを実感。制度の実現に至りました。

自社業務にも、他社業務にも、安心してチャレンジを続けて成長してほしい

▲内定者研修の一幕

社員に気兼ねなく複業してもらえるよう、制度設計には細やかな工夫が盛り込まれました。

米川 「社員自身が複業をやってみたいと感じたら挑戦してみてほしいですし、複業を会社に隠す必要もありません。許可制にしたのは、社員を取り締まるためではなく、複業をオープンにした方がお互いに気持ちよく働けるのではないかと思ったからなんです。
許可するか否かの判断基準はあくまで法令の範囲内かどうかと、コンプライアンス上の問題がないか。競合他社の支援につながる活動をしない、当社で貸与しているパソコンや携帯電話、事務所を使用しないなどのルールを守れば基本的に許可をする方針です」

また、複業による労働時間の増加の懸念にはこのように考えています。

米川 「本業にプラスして仕事をするわけですから、極端な長時間労働にならないよう気をつけていかなくてはなりません。複業を含めた時間を正確に把握するのは難しいことですが、健康を害してまでやるべきことではありません。そこは社員の人生を応援する会社として、必要な配慮だと思います」

一方、制度として課題はまだまだ残されています。そのひとつが、パフォーマンスの評価方法です。

米川 「人間の能力は厳密に測ることはできないので、ある程度あいまいにならざるを得ません。複業によってどの程度スキルアップできたかは測りにくいですし、逆にパフォーマンスが落ちていたとしても、それが複業のせいという捉え方も一概にはできません。
せっかくならチャレンジをした社員に対して、習得したスキルに合わせて報酬に反映させる方法を取りたいとは考えていますが、そういう指標は今、自社にも世の中にもないもの。まだ明確な指標がないのが課題ですが、社員の複業をもっと後押しできるよう、制度もブラッシュアップしていきます」

自らの複業経験による成長実感を、他の社員にも味わってもらいたい

▲JICAのプログラムでベトナムで研修する米川(中央)

キャリア形成やスキルアップに、複業が大いに役立つ──。実は米川自身も、複業の恩恵を実感していました。

米川 「制度をつくった後、自分でも複業として社外で研修講師をすることになりました。 JICAのプログラムのひとつで、ベトナムで現地のビジネスマン向けの定期的な講義を担当しています。複業をして感じたのは、個人の能力を買ってもらえるのはとにかく非常にいい経験になるということ。
実際に研修を行っているときだけではなく、その “準備期間 ”も大切な時間でしたね。最近新卒採用の現場などでも、『自分の社会的価値を高めたい』と話す学生が多い。私も大いに共感するところで、自分の名前で仕事をできることはひとつの社会的価値を発揮できている状態だと思います」

もちろん、複業ならではの難しい点もあります。先に述べた労働時間の問題は、ある程度自分で線引きをしなければならず、一人ひとりの判断に任されている部分が大きいものです。

しかしそれ以上に、複業を経験した社員が生き生きと仕事をするようになったという変化は、大きな手応えと今後への期待を抱かせるものでした。

複業経験によって自信がつき、仕事への姿勢も変わった姿を見て感じた手応え

▲失敗を恐れずチャレンジする、仕事を楽しむ

人事制度改定のひとつとして静かにスタートした複業制度は、2019年10月現在、10名ほどの社員が活用しています。「故郷に戻って地域貢献活動に参加する」「報酬をもらいながら家業を手伝う」など、それぞれの分野で経験を積んでいます。

「語学を生かして仕事をしたい」と語る社員は、エスプールでビジネス力を鍛えながら、複業で翻訳家として語学力を磨くことで、自己実現にむかって進んでいます。

また、音大出身の社員は、「音楽の夢が諦めきれない」と、休暇を取得しながら音楽活動をしていましたが、複業として認められたことで後ろめたさもなくなり、応援してくれる環境の中で本業にも音楽にも集中して取り組める、と話しています。この社員はこれまで派遣社員でしたが、複業制度をうまく活用したことで社員になりました。

米川 「複業をする理由はさまざまで、『キャリア形成が定まらないから』でも『夢が諦めない』でも、なんでもいいんです。エスプールだけでは発想できなかったことを社外で経験し、ひとりのビジネスパーソンとして社会的価値のある人に成長してくれればと思います」

複業経験者が変化・成長していく姿を見たり、話を聞いたりする中で、多くの社員が自分のキャリアについて真剣に考えられるよう、会社として制度を改善、浸透させていきます。

米川 「今後はもっと活用する人材が増えて、会社として効果を感じられるようにしていきたいと思います。複業は会社がとやかく指図するものではないので、社員がそれぞれに意欲を持ち、積極的に活用していく状態が理想です。
そのための社内風土や組織づくりを率先して行い、新しい仲間を迎え入れやすい環境を整えたいと考えています。失敗を恐れずチャレンジする。仕事を楽しむ ──そのバリューを持つ当社だからこそ、本業でも、複業でも大いにチャレンジし、ビジネスパーソンとして飛躍する社員がたくさん出てくると嬉しいですね。
キャリアに思い悩んで身動きが取れなくなり、一方を諦めてしまうことがあるとしたらもったいない。やってみたいと思ったら、申請してチャレンジするべきなんです。当社に勤めながら、複業で会社を経営する。そんな人材を応援できる会社でありたいですね」

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