正しいことをする。弱みを見せる。どんどん失敗する。だから企業は健全に成長できる

ライフサイエンス・製薬業界に特化した、クラウドベースのソリューションを提供するVeeva Japan。信頼をベースにしたマネジメントスタイルと社員の自主性を重んじるカルチャーで、健全な成長を続けています。当たり前を当たり前に実践し、成長するために必要なこととは?日本のGMである岡村崇が語ります。

それは、自分の母親に聞いても“正しい”と答える判断か

▲Veevaの創業者でCEOのピーター・ガスナー

Veevaには、グローバル共通のバリューがあります。「Do the right thing(正しいことをする)」「Customer success(顧客の成功)」「Employee success(従業員の成功)」「Speed(スピード)」の4つです。これらのバリューを軸にVeevaはビジネスを推進しています。私はこれを“Veeva Way”と呼んでいます。

4つのバリューの中で基本となるのが「Do the right thing(正しいことをする)」です。でも“正しいこと”とはなんでしょうか。グローバルCEOのPeter Gassnerは、たとえとして「自分の母親に自分の判断を話したときに、『それは正しい』と言ってもらえるかどうか」だと説明します。

実はこれは当たり前のようで、ビジネスの世界では、なかなか難しいことかもしれません。たとえば売上や利益、社内外の目先の関係性を優先して判断してしまうケースはよくあることかもしれません。でも、私たちはそのような判断をよしとはしません。企業の論理で判断はせず、全社員が同じ視点で「正しいことをする」という判断軸を持っているので、仕事は非常にやりやすくなります。

また、なんでも言い合えるオープンなカルチャーもVeevaの特徴です。当社では、相手を見下すことも見上げることも絶対にありません。常に同じ目線、同じ立場で意見を言い合います。新入社員でもCEOに対して普通に意見を言える。それはお客様であっても同様です。それは同じ目標に向かい、お互いにリスペクトがあるからこそできるのだと思います。

「Do the right thing」というバリューを大事にする一番の理由はシンプルで、純粋に企業として成功するためです。実際のところ、今競争が激化するシリコンバレーで急速かつ健全な成長を遂げている企業は、Veevaはもちろん、みな近しい価値観を持っているように感じます。

企業が成長するためには、“正しいマーケット”を選択することも重要です。Veevaは、健全な成長を続けることができるマーケットとして、ライフサイエンス業界・製薬業界を選んでいます。無謀な業務展開をするのはもちろんですが、ビジネスとして拡張する可能性があるのにひとつのことに固執してしまうのも正しい判断とは言えませんね。

むしろ失敗するほうがいい。失敗は、チャレンジの証だから

▲年に一度開催するVeeva Commercial Summitでは、自社製品が現場でどのように利用されているのか社員が演技をしながら紹介する

2025年、Veevaではグローバルで1万人採用という成長目標を掲げています。日本の私たちも、今のカルチャーを維持したまま規模を3倍にしたいと考えています。この目標達成に欠かせないポイントは「自主性」「実行力」「継続性」だと考えています。

とくに、自主性は非常に重要だと捉えています。私たちはよく「Be a captain your own ship」、つまり「自分の船の船長になれ」という話をします。船長は、乗組員をはじめ船のすべてに責任を持ちます。それぐらいの覚悟で、ビジネスに向き合ってほしいんです。

従業員はもちろん、私を含む管理職も全員が毎年「Hill to climb」と呼ぶ目標を設定しています。ただし、この目標は、企業としての評価、査定には結びついていません。単純に自分自身にフォーカスして、今年チャレンジしたいことをいくつか挙げるのです。

ポイントは、登るべきは「山」でなくて「丘」であること。「山」のように頂上が見えづらい目標ではありません。かといって「丘」といっても簡単に登れるような「丘」ではいけません。そこにチャレンジがあるかどうかが一番大事なことです。

仮に結果として目標を達成できず、失敗してしまったとしても、“チャレンジした証”だと私たちは理解するんですね。Veevaには失敗を責める文化はまったくないので、失敗したっていいんです。ただ失敗した“事実”を本人が認められるかどうかのほうが重要ですね。

また、間違いを認めて謝ることができるかも重要です。管理職はとくにそう。たとえ相手が部下であっても、間違いを素直に認め、謝れるか。自ら批判される状況を受け入れられるか。

自分の弱さをオープンにできないと「助け合い」が生まれにくいという考えなんです。そのような弱さを見せ合える人間関係を築いていれば、チームメンバーはお互いを補完し合うことができ、結果として自分のすべきことに集中できるのです。

したがって、仕事はチームで取り組む以上、個人ではなく集合体としての結果が評価されます。チーム内で何か問題があれば、問題を隠すのではなく共有して、みんなで議論して解決するのがVeevaのカルチャーです。

こうしたチームで業務を進めていく上でベースになるのは、信頼関係です。先ほどの弱さを見せるということもひとつですが、まず自分から相手を信頼する、それがあるからこそ相手にも信頼してもらえるわけです。上司部下の間でも、会社と従業員の間でもそれは変わりません。

Veevaが信頼の上に成り立っている証拠として、社内のルールは最小限にとどめている、ということがあります。たとえば休暇の取得日数や、経費清算に関しても上限は設けていません。もちろん上司の承認は必要ですが、基本的には個人の裁量に任せているんです。一人ひとりが「正しいことをしている」と信頼しているからこそなんです。

「Veevaでの仕事が、一番楽しかった」と思える会社に

▲Veeva Japanに訪れたグローバル社員と代表の岡村

不要なルールがなく、柔軟に自分で判断しながら仕事ができる環境は、Veevaの魅力のひとつです。これはバリューの中のひとつでもある「Employee success(従業員の成功)」を実現するためです。

そもそも「従業員の成功」とはなんでしょうか。企業によってその考え方はさまざまだと思いますが、Veevaの考えはシンプルです。

Veevaで定年退職を迎える人が多くいるのは嬉しいことですが、現代は転職が当たり前の社会なので、キャリアステップとして転職を考えることの方が一般的かもしれません。Veevaを離れて、違う場所に活躍の場所を移したとしても、人生を振り返ったときに「Veevaの仕事は楽しかったな。いい経験だったな」と感じてもらえることが、Veevaの目指す「従業員の成功」なんです。

実際、最近は転職した後、Veevaに戻ってきてくれる人もでてきているので、まだまだ100%ではありませんがバリューを体現できつつあるのかもしれません。

やはり人を引きつけるのは、会社のカルチャーであり、職場としての魅力。契約内容や条件ではないんですね。

ほかにも「従業員の成功」を実現するために、個人が自分の能力を発揮できるような制度をいくつか設けています。たとえば、他部署への異動を希望する場合は現配属先の上司の許可はいりません。異動を希望する先の部署のマネージャーに、自らコンタクトを取り、条件を満たし、承認を得られれば異動が可能です。引き止められるようなことはありません。

さらに、本人の固定給の2%の金額をキャリアや能力開発のために自由に使用できる制度もあります。使い方に制限はないので、仮に外国語の習得を選んだ場合、東京で学んでもいいし、上司の承認があればオーストラリアなど海外に短期留学をしてもいいんです。これも、自分の判断で正しいことを選択してもらえば良いと思っています。

このような考え方は、もちろん日本だけでなく、グローバル共通です。ユニークなのはVeevaの場合、世界各国どのオフィスにいっても同じ価値観で仕事ができることです。「Orgwiki」というグローバル共通の社内SNSがあり、コミュニケーションを取れる環境が整っているのも役立っているかもしれません。物理的に離れていても、世界中の社員が日々それぞれの国で起こった出来事を投稿しているので、知らないうちにVeevaらしさがインストールされているのかもしれません。

社員のパーソナルな出来事も自由に投稿されるので親近感を持つのか、海外拠点の社員が日本に観光で訪れたときに、東京オフィスに立ち寄っていくこともよくあるんです。普通の企業であればバカンス中に会社に立ち寄ろうとは思いませんよね(笑)。

Veevaで働けば、きっと仕事の価値観が変わる

▲Veeva Japan GMの岡村崇

Veeva Japanはまさに成長過程にありますが、目指す姿は「Leader & Liked」。業界のリーダーでありながらも、お客様から好まれる存在です。

業界をけん引する実力のあるリーダー企業がみんな、お客様から好まれるかといえばそうではないでしょう。「他に選択肢がなく仕方がないから、この企業から買っている」というケースは少なくないように思います。ただ私たちはそうはなりたくないんです。まずお客様に好意を持ってもらい、選ばれる。その結果として、業界のリーダーになる。これが理想です。

ライフサイエンス業界・製薬業界は、今後ますます拡大成長していくでしょう。そして将来、振り返ったときに「Veevaがいたからこそ、この業界はここまで大きく成長できた」と、そんな風に言われる企業でありたいです。

そういう意味では、私は「顧客の成功」というバリューは大好きですね。Veevaのメンバーは言葉だけでなく、本気で、真剣に「顧客の成功」のために日々取り組んでいます。お客様ができるだけ早く成功できるように、迅速な対応を心がけています。4つめのバリュー「スピード」は、変化の激しい業界やテクノロジーにスピーディーに対応し、それをいち早くお客様の成功のため還元することを意味しています。

もちろん、われわれだけでなく多くの企業も“お客様の成功のために”努力しています。でも、それはビジネスである以上“自社の成功のために”という考えが根底にあるのは当然です。しかし、それは自然にお客様にも漏れ伝わってしまうんですね。

Veevaも同じように、企業である以上ビジネスとして持続していくことが求められます。ただし、Veevaの成功は、「顧客の成功」「従業員の成功」があるからこそです。Veevaでは従業員が自分の働く環境や人間関係に満足し、成功していると感じているからこそ、「顧客の成功」に集中できるのだと考えています。

従業員の成功があって、お客様の成功がある。そして、その先にVeevaの成功がある。それを実現するためには、正しい判断で新しいことにチャレンジする──このVeeva wayがあれば、自ずと成功はついてくると考えています。

私たちは、目先の収益だけを考えたビジネスモデルを選びませんし、自社サービスのマーケティングのために過剰な予算はつぎ込みません。もちろん、より多くの課題を感じているライフサイエンス・製薬関連企業の皆さまに知っていただけるような努力は必要ですが、中心に考えているのはご満足いただいたお客様の声で拡がっていきたいということです。

Veevaはフラットな関係性で勤務形態も仕事の進め方も自由です。その分、責任感を持って業務に向き合っていただく必要はありますので、「事業を立ち上げたい」「成長著しい業界で新しいチャレンジがしたい」というような野心のある人は、楽しめる会社だと思います。だから多くの人にぜひ一度、Veevaで働くことを“試してほしい”ですね。この環境で一度仕事をしてみると、仕事に対する価値観はガラッと変わるんじゃないかと思うんです。それだけの環境をつくれているという自負はありますね。

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