見えないモノを、見ようとして──そうやって僕は走り続けてきた

── 見えないモノを見ようとして望遠鏡を覗き込んだ 静寂を切り裂いていくつも声が生まれたよ

BUMP OF CHICKENの楽曲『天体観測』のサビに登場するフレーズ。仁科はこの言葉を人生観として貫き続け、キャリアを積み重ねてきたと振り返ります。

自分が今、見えていないものを見てみたい。その想いは、学生時代の就職活動時でもブレることはありませんでした。

「とにかく一番になりたい」という想いが人一倍強かった仁科。ファーストキャリアは業界トップ企業に身を置き、そこから見える景色を体感したいと考えるようになりました。

そこで、通信業界トップの株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)をはじめ、外資系戦略コンサルティング業界や投資銀行業界など、あらゆるジャンルのトップ企業に焦点をあてた就職活動を実行し、エントリーした7社すべてから内定を獲得。

内定者懇親会に参加しながら自らのキャリア形成に最も適切な企業を見定めました。結論として、内定を得たトップ企業すべてが楽しそうな環境に映りましたが、仁科の心を射止めたのはドコモだったのです。

仁科 「ドコモは、僕にとって新キャラのような存在でした。先輩や入社予定の同期たちが、僕とは真逆の人種だったんです。

他の内定先の人たちは、僕と同じようによく自分のことを喋るし、なんとなく似ている。彼・彼女らと競って働くのは楽しそうだけど、これまでの人生で出会ってこなかった人と働けるなんて、もっと楽しいと感じたんです。『きっとドコモには僕が知らない世界が広がっている』と考え、入社を決めました」

2014年にドコモへ入社してからは、主にドコモショップ(店舗)のマネジメントを行うことになります。一般的な企業の新卒が扱う予算とは桁違いの数字をマネジメントし、大胆なプロモーションを実施しました。

仕事はダイナミックでおもしろかったものの、次第に手触り感のなさに満足できなくなった自分がいたと話します。

仁科 「まるで凍った生肉に手を突っ込むようで、感触や温度が直接手に伝わる感覚がなかったんです。ドコモは、個人がやりがいを保つにはやや大きすぎる組織だと感じ始めました。自分がなんのためにその仕事をしているのか、もう少し現場で感じたいと思いました」

どのようなキャリアを歩めば、やりがいを感じられるのだろうか。考え抜いた結果、仁科はお客様と相対する営業をしようと決めます。

さらに、物事には絶対に論理がある以上、営業に関してもロジックが欲しいと考え、科学的営業を実施していた株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)の門をたたきました。

2016年1月にセールスフォースへ入社した仁科は、まず中小企業向けの営業を担当することになります。1年から1年半ほどで十分な売上を出したら次の部署へ異動するという流れが基本でしたが、仁科は5カ月で3つの部署を渡り歩く異例のキャリアを積み重ねました。

それを実現できた理由は“守・破・離”の徹底でした。

仁科 「個人のパフォーマンスを上げるためには、その空間にいるトップの人たちのすべてを真似すればいい。そうして “守 ”を学んだ上で、自分を型にはめて成果を出し、はじめて “破 ”に至ります。その後さらに成果を出してトップになれたら、“離 ”に至って次のステージへ行く。シンプルですがそれが最短で成長するコツだと思います」

SaaSビジネスの勝ちパターンを学び、スタートアップ企業で体現

“守・破・離”のスタンスでトップセールスのトラックレコードをたたき出した仁科にとって、売上が自身の給与に反映される営業はまるで天国のようでした。しかし、売上を上げたいセールスとビジネスの成長を期待するお客様とのあいだに生じた歪みが、徐々に気になり始めました。

仁科 「 SaaSビジネスは、商品を売って終わりでなく、その後のサポートが重要です。当時の僕は売るまでが仕事だったので、売ってからのことは見えなかったんですね。売った後のサポートも SaaSビジネスの醍醐味だと感じたので、カスタマーサクセスを学びたいと考えました」

マーケティング、セールス、そしてカスタマーサクセスというSaaSビジネスの全工程に携わることで、今後どんな企業でも活躍できる人材になれるだろう。そんな予測もあり、未経験のカスタマーサクセスに挑戦しました。大きく異なるふたつの役割を経験したことで、仕事に関するひとつの思考が芽生えました。

仁科 「良い意味で学びになったのは、仕事はどれも一緒である、ということ。使うツールや手段が違っても、人のために何かするという目的は同じです。相手をどういう風に慮った上で、どんなビジョンを設定し、どれくらいのスパンでそれを実行するか。これが型として身についたのは、大きな収穫でした」

その後、セールスフォースで学んだSaaSビジネスの成功体験を、今後伸びていく企業に活かしたいと考えました。そして、今度は2017年11月に株式会社プレイドへ転職したのです。

セールスフォースにおけるSaaSビジネスモデルは、大企業で資金があり、プロダクトが確立しているからこそ成立するものです。日本のスタートアップ企業がそのまま真似しようと思っても、なかなかできるものではありません。

仁科は当時60名ほどの組織で、新しいSaaSビジネスモデルをつくることに貢献しました。その結果、2年ほどで売上が5〜6倍に成長。自分の人生を投資して、会社を成長させることにコミットできました。

負け続けた原体験があるからこそ、勝ち続けるビジネスパーソンになれた

▲幼少期の仁科(右)と兄(左)

一見勝ち続ける人生を送っているように見える仁科ですが、原体験となったのは意外にも負け続けた過去でした。ひとつ年上の兄が文武両道で優秀だったために、兄が高校を卒業するまでの17年間は、常に比較され続ける日々を送っていました。

仁科 「狭いコミュニティで学校の先生も兄と同じ。テストを返却されるたびに、『お兄ちゃんより○点低い』と言われました。家族や先輩、友人から常に兄と比較され続け、思考が染まってしまいました。自分は一体何者なんだろう、兄より低いなら存在する意味がないんじゃないか。そんな蔑まれた感覚を持ちながら過ごしていました」

そんな仁科も、兄の高校卒業を機に変わっていきます。兄と別々の生活を送るようになり、初めて比較されない生活を送ることができました。ようやく自由になり、自身の価値に気づき始めた仁科は、好きなことにどんどんのめり込んで挑戦するようになります。

学生時代は評価軸がペーパーテストしかなかったために、兄との比較を避けられませんでした。しかし、1歩ビジネスの世界に足を踏み入れると、評価軸は自分の実績になります。実績が評価されるビジネスは仁科に合っており、これまでずっと勝ち続けてきました。

学生時代にはどうあがいても変えられなかった評価軸が一転したことで、仁科はある考えに至ります。

仁科 「どんな人でも、きっとそれぞれの人生を最高に楽しいと思いたくて過ごしているはずなんです。だから、評価軸はどんなものでもいい。ペーパーテストでもビジネスでも家庭でも、自分がやりたい評価軸にどれくらいまい進していて、自分がどれだけハッピーなのか。それが大事だと思います」

自分が決めた道を突き進む人をサポートしたい。個人の本気度を支援したい。そう考えた仁科は、次の転職先を探し始めました。GAFAをはじめとする世界の時価総額ランクトップ企業からも複数のオファーがありましたが、仁科が最終的に選んだのはPR Tableでした。

本気で話し合える役員たちとともに、新たな道をのぞきこむ

大堀兄弟、菅原とともに新たな戦略構想を打ち立てるなど、すでにPR Tableの事業成長に対するインパクトを与えている仁科。PR Tableへの入社を決めたのは、当たり前に思っていることを疑い、見えないものを見ようとする挑戦の姿勢に惹かれたからでした。

仁科 「まず前提として、自分が考えている方向性や思考軸とフィットする人とともに、経営側として働きたいと思っていました。そして代表の大堀航は、業界を再定義したい、PRを新しい投資領域にしたいと話しています。この見えないものを見にいく挑戦的なスタンスが、僕の感覚にすごく近くて惹かれましたね」

多くの会社からオファーをいただくのも嬉しいと感じたものの、そこで経験できる仕事は今まで取り組んできた“マーケティング×データ”というテーマの業務内容がメインだったため、仁科があえてこのタイミングで挑戦したいことではありませんでした。

企業の規模で判断せず、今まで見たことがない景色を見にいけるところでコミットしたい。PR Tableへの参画は、そんな想いの表れでした。

さらに仁科は役員たちと膝を突き合わせ、本音で話し合えることを魅力のひとつとして挙げます。

仁科 「転職先を選ぶとき、ロジックだけでなく、経営陣と手を握りながらダイブできる環境かどうかも重視していました。単に数字を積み上げるのは難しくありませんが、そこに至るまでのコミュニケーションが最もややこしいんです。

だから、特に経営陣は無駄なことを考えないほうが良いんですよね。とにかく本気で話し合いながら、どうやって企業価値を上げて自分たちが目指す世界をつくるかを考える。ただ、それだけなんです。経営陣と本音で話し合えることは、素直に素敵な環境だと思いました」

PR Tableの新たな執行役員は、見えないモノを見ようとして新たな道を覗き込みました。

太陽に近づくにつれ輝きを増すほうき星のように、自分の理想に近づくため進みながら輝きを増す。そんなメンバーを、全力でサポートしていきたい。新たな使命を担ぎ、仁科はまた観測を続けます。