守りから攻めへ──より早い意思決定とビジネス拡大のための役員体制変更

私たちコインチェックは経営体制を大きく見直し、新しい組織としてその一歩を踏み出しました。

2019年9月に法務担当役員として水田 昇を迎え入れ、11月には蓮尾 聡が新社長に就任。そして、執行役員数を7名から5名体制にするという最も大きな変更を2020年1月1日にしました。この一連の経営体制変更の流れは、「新生コインチェック」となるための大きな一手です。

執行役員の削減の狙いは、急速に変化する市場にキャッチアップするための体制の再構築です。仮想通貨業界はかつて大きく盛り上がっていた時期もありましたが、ここ数年は新しいビジネスであるがゆえに慎重な動きが求められてきました。その中でコインチェックもコンプライアンス態勢の整備やAML/CFT(※)など、業界を発展させていくために「やらなければいけないこと」を徹底してやるというフェーズであり、いわば守りを固める時期でした。

しかし、そこで整えてきた態勢などを足場に、これからは再び攻めの姿勢が求められるフェーズになってきています。個人的には、今まで以上にスピーディーにビジネスをつくり上げていかなければ、生き残っていけない状況なんじゃないかなと考えています。

執行役員の人数を減らし、組織を身軽にして指示系統をまとめることで、社員一人ひとりが経営にも近い位置で仕事をすることにより、これまで以上に速く新しいアイデアを生み出し、より迅速に意思決定をしていくための変革なのです。

※マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策

「現場の社員が次のビジネスをつくる」組織の活性化を促す意識改革

加えてもうひとつの狙いは、社員がより上の立場を目指して働ける環境の構築です。現在はマネックスグループや外部から役員を招くことが多いですが、将来的には今現場を支える社員から役員への登用も出てくるようになればと考えています。

会社の成熟につれて、そこで働く社員たちも自然と歳を重ねていき、特に上層部をはじめとしたポストは固まりやすくなってしまうということをよく聞きます。私自身は、そうした会社の状況はあまり健全な状態ではないのではないかなと。

というのも、いつの時代も、新しいビジネスをつくり出していくのは現場に近い人たちであり、仮想通貨業界のように変化の早い業界なら尚更だと思っています。なので、より感度の高い社員がもっと大きく活躍できるような、新陳代謝の良い組織を目指していきたいです。

これまでの仮想通貨業界は、世の中の潮流にいかに動きを合わせられるかが中心となっていた部分があります。コインチェックもその流れに乗ることだけで、ビジネスを大きく拡大することもできました。しかし、今後求められるのは、流れに乗るのではなく、自ら流れをつくっていく力にほかなりません。現場にいるからこそ見えてくるさまざまな課題やチャンスに対し、社員一人ひとりが成果を広げていくことをボトムアップで提案し、ビジネスをより加速させていく。そうすることによって、コインチェックはよりいっそう成長できるのです。

ここ数年の我々の業界は、業界全体でルールの整備などを行っており、トップダウンで物事を進めなければならないシーンも少なくありませんでした。現在は、そうしたルール整備の時期が落ち着き、これから業界を活性化していくための各企業が積極的な動きを展開していく必要があると思います。

上を目指せるではなく、上を目指したいと思える組織づくり

今回の役員体制の変更に伴い、私自身は商品開発やマーケティングをメインに統括する形になりましたが、加えてこれまであまり関与することのなかった人事制度や組織改革にも力を注ぐようになりました。とくに注力しているのが、社員のモチベーションをいかに上げていけるかです。

先ほども述べましたが、今後のコインチェックの成長は現場の社員がいかに自発的に動いていけるかがキーになってきます。最近は、働き方改革など世の中全体の流れもあって、社員一人ひとりの仕事への向き合い方も非常に多様になり「自由度が増したと」と言われていますが、見方を変えれば「個々人の努力の差が明確に出るようになった」とも捉えられます。努力を重ねられる人はより大きく活躍の機会を広げ、逆に努力を怠ってしまった人はどんどん選択肢が狭められていく世の中になるでしょう。

このような社会的背景の中で、私たち経営陣がやらなければならないのはすべての社員が自発的に取り組んで成長できる環境、成長したいと思える環境をつくることです。そのためにコインチェックでは、日々の業務で磨き上げられるリアルな視点やアイデアの種を吸い上げられるように、役員とのグループランチを実施したり、ざっくばらんに話ができるオープンドアを開催したり、経営陣と事業戦略やミッションについて議論する会を開催したりと、トライアンドエラーを繰り返しながら組織づくりに着手しています。

私はこれまで経営者でもありエンジニアでもあったので、自分自身でプロダクトをつくることで会社を率いていてきました。しかし、これからは組織をつくり上げることを通して、プロダクト開発を加速させて会社に貢献していくフェーズなのだと考えています。

社員の成長が会社と仮想通貨業界の未来をつくる

現在のコインチェックは、社内で自らのスキルを磨いている人材が豊富なことに加え、外部からも新たな人がどんどんと入ってきており、非常に多様性があり魅力的な会社に成長していると思っています。私自身、その知識やスキルの高さに驚かされることも少なくありません。だからこそ、当社の社員には「自分は何をするか」だけでなく「会社として今どうするべきか」「会社の未来のために何をすべきか」という経営陣と同じ視点を持ってほしいと思っています。

今回行った役員体制の変更や制度の整備・変更は、あくまでもそのための布石でしかありません。これらを利用して、自分の仕事をどれだけおもしろいものにしてやろうかという社員一人一人のモチベーションによってこそ、会社は次のステップへと上がることができ、さらなる成長を実現することができます。

自分自身、会社、そして仮想通貨業界。それぞれが視座を高めて議論を重ねながら一緒に成長できる組織を目指したいです。それが、コインチェックの未来を創っていくことに繋がると考えています。