より刺激的な環境を求めて、チャレンジングな道を選ぶ

▲野村證券時代の写真(一番左が水田)

これまでのキャリアを振り返ると、私の性格もあるのでしょうが、その時々に「そうだ」と感じたものに一直線にチャレンジしてきた人生だったと思います。

法務担当としては意外だと思いますが、大学では理系だったんです。

ただ、いざ就職となったタイミングで注目したのは、直接金融(※)の開始によって大きな変化が起こり始めていた証券会社。当時、理系出身でこの道を目指す人は少数でした。だからこそ、企業側も興味を持ってくれたのでしょう。大学卒業後、野村證券株式会社へと入社し、デリバティブトレーディングを担当するなど、お金や投資に関するさまざまな知識を学びました。

その後、コインチェックの会長である松本大からの紹介で、ゴールドマン・サックス証券会社へと入社。ゴールドマン・サックスは米国欧州ではトップクラスのインベストメントバンクでした。ですが、当時日本国内では、大蔵省の金融業の規制の影響もあり、業界内でもそこまでプレゼンスも高くなく、転職することを伝えると、周囲から心配されたり止められたりしたものです。

キャリアの変遷を客観視して思うのは、私自身には新しいムーブメントを起こすクリエイティビティやパワーはないということ。だからこそ、新しく何かが変わろうとしている場所や、変えていこうとしている人がいる環境を自然と求めているのかもしれません。

ゴールドマン・サックスに数年勤めると、次はドイツ証券に入社。東京での投資銀行の立ち上げに参加しました。しかし“生き馬の目を抜く”外資の世界、仕事自体は興味深く楽しみながらも、働き方や評価方法などで合わないと感じる部分も少なからずあります。

「このまま続けていても人生を無駄遣いしてしまう」と危機感をおぼえ、思い切って会社を辞めることにしました。

当時はバブルのころでしたから、退職金も少し出ましたし、それまでの蓄えもあったので生活自体にすぐには困りませんでした。ただ、40歳手前というタイミングだったので、あらためて転職しようとすれば年齢のハードルもあることから、何か手に職をつけようと資格の取得を考えたんです。

そこで選んだのが、現在の仕事にもつながってくる司法試験でした。

※企業や個人が株式や債券などを通じて直接お金を出資すること。

自らの直感で、コインチェックを選んだ

▲弁護士時代の水田

私が司法試験を志した当時は、試験制度が変わり、これまでに比べて大幅に資格が取りやすくなったと言われていたタイミングでした。「それなら一度やってみるか」という感じで挑戦を決意したんです。ただ、ふたを開けてみると難易度は私にとっては十分高いものでした。正直、人に言うのもはばかられるぐらい何度も試験には落ちました。

ただ、粘り続けて最終的にはなんとか合格し、そこから細々とでしたが、弁護士として法律事務所で働くようになりました。

そうして弁護士として活動を始めてから4年目のころ、業務に慣れてきたこともあって、新しいチャレンジがしたくなっていました。そんなとき、「弁護士なら企業法務の仕事もできるんじゃないか」と再び松本大から声が掛かったんです。これが、入社に至る最初のきっかけですね。

法律関係というベースは同じでも、弁護士の仕事と企業法務の仕事は同じではありませんし、そもそも仮想通貨に関する知識はゼロの状態。加えて、当時は仮想通貨のビジネスに対して世間から良い意味でも悪い意味でも注目が集まっていた時期でもあり、本当に大丈夫なのかと心配する声もあったのは事実です。

しかし、元来のあまのじゃくな私の性格もあり、「人がまだ気付いていないことにこそおもしろいものがある」という直感で、入社を決意しました。

社会の変化は非常に早くなっており、良い意味で1~2年先の未来すら読むことができません。そんな状況だからこそ、あえて人とは違う選択をすることによって得られるチャンスの方がより大きいと感じたんでしょうね。

生まれて間もない業界だからこそ、法務が会社の成長に貢献できる余地も大きい

そうして2019年の9月から、コインチェックの法務担当執行役員として、新たなキャリアをスタートしました。

やってみてわかったことですが、仮想通貨業界での法務の仕事というのは非常に刺激的でおもしろいです。

少し前まで、仮想通貨交換業を行っている企業は一般事業法人という扱いでしたが、今では資金決済法上の登録業者となり、法律関係の規制が最も強い業界へと変化しました。

ただ、だからといって法律でがんじがらめにされているわけではなく、まだまだ実際の運用や解釈には幅があり、固まりきっていない部分もたくさんあります。だからこそ法務として力になれる部分も多く、いかにビジネスを推進していけるかを、当事者として純粋に考えることができるんです。

よく勘違いされがちなのですが、法務は法律や規律でビジネスを止めたりブレーキをかけたりする仕事ではありません。法律に関する知識を用い、守るところはしっかりと守りながら、いかにビジネスを成長させていけるかを考えるのが法務の本来の使命だと思うんですよね。

そういう意味では、生まれて間もないこの仮想通貨業界は、こちらから働きかけていくことで新しいルールをつくっていくことも十分に可能な、チャンスに溢れた業界だと感じます。

もっと身近でフレキシブルな法務でありたい

そう考えると、法務はもっと現場と近い距離にいなければいけません。法務の仕事がどんなものなのか、一体どうやってビジネスに生かしていくのかを知らない人も少なくありません。一方で私たちの立場としても、現場の状況がわからなければ適切なアドバイスや運用をしていくことができないものです。現場と法務がもっと密接につながっていけば、ビジネスチャンスをいくらでも拡大していけると考えています。

「怖い存在」として気を遣われがちな法務ですが、実は現場の方々こそが私たちにとって一番大切なお客様なのです。

もっと気軽に、呼びつけるぐらいの感じで使ってほしいですね。それこそ、プロジェクトの初期から、アイデアベースで話をしている時点から参加させてほしいと思っています。そうした方が、より早く課題やその解決策が見つかるはずですし、結果的に効率も良くなるのではないでしょうか。

私自身、それなりに年を重ねた人間なので、チャットなどのデジタルなコミュニケーションより、Face to Faceのリアルなコミュニケーションの方が好きです。だから「忙しそうだな」「こんなこと聞いてもいいのかな」などと気にせず、どんどん呼びつけてほしいと思います。そうすれば現場のどこにでも駆けつけます。

業界としても、会社としても、大きな変化の中にいる今だからこそ、より大きな成長を目指して、みんなと一緒に新しい未来をつくっていきたいと思います。