創業時から在宅調剤に特化

▲創業メンバーのひとりで薬剤師の内ヶ崎敦尚さん

のぞみ薬局は新松戸で在宅専門の薬局を展開しています。自らも在宅薬剤師として活躍する、代表取締役の元井太朗さんが2018年2月に開局しました。

千葉県の後期高齢者人口は、増加傾向にあります。しかしながら、在宅訪問を行っているクリニックは決して多くないのが現状です。そこで元井さんは、薬局勤務時代に出会った社会福祉法人からの後押しもあり、新松戸で在宅専門の薬局を立ち上げようと決意します。

元井さん 「一般的な薬局では外来と在宅を一緒にやることがほとんどです。しかしそれだと、目の前の患者さんを優先して在宅が後回しになり、両立できても薬剤師の力量に依存していてしくみ化に至らず、結果的に失敗するケースが多いんです。のぞみ薬局が初めから在宅調剤に特化できたのは、当社の理念に賛同してくださる多くの支援者がいたおかげであり、とても運に恵まれたと思っています」

のぞみ薬局は2019年現在、個人宅や施設在宅、特別養護老人ホームなどにおいて、0歳の小児から看取りまでを3名の薬剤師が対応しています。薬局が本来持つべき公共性を大事にしたいとの想いから、地域の人々のための多様な在宅ニーズに応えるようにしています。

在宅専門の薬局で働くことが、薬剤師にとっても大きな魅力につながっているようです。元井さんの前職の同僚で、初期メンバーのひとりである薬剤師の内ヶ崎敦尚さんは、のぞみ薬局で働くようになってから、薬剤師としての仕事の幅が広がったといいます。

内ヶ崎さん 「薬剤師は本来、薬の効果が出ているのか、副作用が出ていないか、正しく薬を飲めているかを確認することが仕事のはずです。それなのに、前職時代は薬を出して終わりというケースがほとんどでした。在宅薬剤師として働くようになり、その本来の役割を果たすことができるようになって、仕事にやりがいを感じられるようになりました」

充実感を持って働ける、そんなフィールドを薬局の外に見いだしています。

グッドサイクルシステムの製品・サービスは在宅薬剤師の強力な味方

▲患者さんからの問い合わせにもすぐに対応できる

のぞみ薬局は創業時からグッドサイクルシステム社の電子薬歴である「GooCo」と、レセプトコンピューターの「サキレセ!」を一体運用しています。GooCoを知ったのは、知人の紹介がきっかけでした。

元井さん 「若いメンバーが多くて、すぐにリクエストへ対応してくれる会社があると聞き、気になったのですぐに直接問い合わせ、渋谷の本社で現物を見せてもらいました。
前職時代にレセコンオプションの薬歴システムを少し使っていましたが、薬局内でしか薬歴が使えないことがあり、報告書を出すのも手間でした。
在宅薬剤師は薬局外での仕事が中心ですので、訪問先で薬歴の確認や記載ができる GooCoのシステムはやっぱり便利です。夜間や休日の急な問い合わせにも、 GooCoを持っていればすぐ対応できるので、薬局でしか薬歴を扱えない不便さから解放されました」

GooCoと一体型の「サキレセ!」は、処方入力画面がシンプルで使いやすく、QRコード読み取り機能も備えるレセプトコンピューターです。自動剤まとめや処方日数一括変更機能があり、医療事務の工数軽減に配慮された設計となっています。

元井さん 「大きな問題はなく、現状で十分に満足しています。できれば、処方入力の段階で前回の処方を『サキレセ!』でもより参照できるようになると、さらにいいのかなというぐらいです。一次的なスクリーニングができ、処方の安全性にもつながると思いますので。だからといって、他の製品にしようということはありません」

日々の運用支援体制の充実も、ポイントだといいます。

元井さん 「サポートセンターにはよく電話して困ったことなどを相談します。リモートでシステムを動かしてくれることもあって、非常にありがたいですね。とくに、在宅は外来と異なることもあり、医療事務さんも入職時すぐにはわからなかったりすることもあります。でも、そういったところもサポートいただいて、とても助かっています」

グッドサイクルシステムは、システム導入〜運用支援まで、一気通貫で薬局業務をサポートしています。

在宅往診だからこそ知れる服薬の実情

▲実際の訪問先での業務の様子

高齢化が進み残薬が社会問題になる中、投薬後のフォローは重要性がある──。

元井さん、内ヶ崎さんは、実際の現場を見て、そのことを痛感しています。

内ヶ崎さん 「処方される薬の数が多いのに、錠剤のままで渡されてることもあって。自分が渡されても飲めないと思うのに、ましてや年配の方はと思いますよね。だから、薬が飲めていないとわかったら、その原因を探るようにしています。
便秘薬を出しているのに、改善しない、お通じが出ないと訴える患者さんがいたのですが、その患者さんは勘違いで薬を飲めていないとわかったことがあって。もちろん、最初にもお通じの薬だと説明しているのですが、再度そのことをしっかりと患者さんに伝えて、納得して飲んでいただけるようになったケースもありました。こうした投薬後のフォローは外来では難しいのかなと感じます」

さらに、患者さんの薬のマネジメントも必要だと元井さんはいいます。

元井さん 「日本の医療の特性上、個別の診療科に分かれての診察・処方なので、複数の科にかかることで、副作用が出る薬が同時に処方されてしまうこともあります。健康に関心があり、多くの科を受診している人ほど、逆に薬がきちんと飲めずに不健康になってしまう事例は多いです。そうしたとき、薬剤師は科をまたがって、総合して見ることができるポジションなのかなと。
在宅はさらに複雑なことが多いです。院内処方の薬はお薬手帳に記載されないこともあるので、まず、どれぐらいの薬を飲んでいるのかの確認から、その先の治療や処方の方針を医療チームの皆さまと相談しながら、日々対応しています」

日本が抱える医療・介護の問題を解決するヒントが、在宅薬剤師の働き方にあるような気がします。一方で、在宅に対応できる薬局・薬剤師はまだまだ多くありません。

元井さん 「実際、在宅に対応できるクリニックも薬局も少ないですし、在宅をやろうと思っても知識やノウハウの共有がないので、困ることもあると思うんですね。そういったとき、在宅での業務を想定してつくられている GooCoは非常に有用です」

薬局と手を取り合いながら、グッドサイクルシステムも在宅診療の担い手として貢献したいと考えています。

仲間を増やして横展開にチャレンジ!

▲薬局内でもiPadを持ち歩いています

最近、のぞみ薬局は会社理念を制定しました。

理念は3つの要素から成り立っています。1つ目は「動かなければ始まらないため、汗をかいた仕事をすること」、2つ目は「患者様、クリニック、施設をうまく連携できるように調整できる存在であること」、そして3つ目は「患者様の命を預かることを常に念頭に置き、会社の中で培ったモラル感を共有・実践できること」。

のぞみ薬局では現在、新松戸でやっている在宅薬局のモデルを他の地域で横展開できるようにするため、これからもっと仲間を増やす予定です。これは、在宅医療を通じて薬局という存在を、どこまで拡張できるのかという挑戦でもあります。

僕は、父が新潟で調剤薬局をいくつか経営している薬剤師一家の生まれです。それでも、父の跡は申し訳ないが継げませんでした。このまま父と同じようにうまく経営できる自信がなかったからです。かつては、薬局という箱に薬剤師を押し込むことが収益確保になり、薬剤師も安定した働き方ができるという時代がありました。医薬分業の恩恵を受けることができた世代です。

それから時代は変わったけれど、多くの薬局は今もその時代のやり方に縛られているのではないか──そう元井さんは現状を分析します。

元井さん 「とくに、若い世代は薬剤師という仕事に希望を持てず閉塞感を抱えています。もちろん病院薬剤師として高度医療に携わるという選択肢はありますが、パイは限られます。在宅薬剤師というのは、薬剤師の職能を発揮するのにとてもいい働き方だと思います」

在宅薬剤師の働き方について内ヶ崎さんは次のように語ります。

内ヶ崎さん 「調剤薬局で働く多くの薬剤師は、薬を出せば終わり。その後、患者さんとやりとりする機会というのはなかなか持てません。しかし、在宅薬剤師の場合はドクターの診察に立ち会うこともあり、患者さんと定期的にコミュニケーションを取ることができます。だからその薬がなぜ必要なのかよりわかるし、自分が薬剤師として何をすべきか、何が必要なのかがクリアになりました」

元井さんは現状の働き方に満足できていない薬剤師にこそ、在宅薬剤師という選択肢を持ってほしいと考えています。仲間と共に事業を拡大し、不足する医療ニーズに応えようと、常に前を見据えて進む姿がまぶしく写りました。