採用に不利。子育て世代にも敬遠される全国への出張営業

▲人事開発部の山田 昌弘

インターゾーンは自動車整備工場などのお客様に向けた、クラウド型顧客管理システム「gNOTE」を主力サービスに展開する群馬のベンチャー企業です。

創業は19年前の2000年。

メールやWebを使ったマーケティングを全国の自動車整備工場やガソリンスタンドに提供してきた中で、とりわけ車検ユーザーをネットで集客・受注する事業においては先駆者的な立場だったことから、現在のサービスにつながっています。

潮目が変わったのは4年ほど前の2015年ごろ。人手不足の売り手市場により、新卒がまったく応募してくれない状況に。地方の中小企業は採用難の際に、最も煽りを受けてしまうのです。

そこで、人事開発部の山田 昌弘は「Uターン採用」に活路を見いだしました。

山田 「子どもを田舎で育てたい方への中途採用に力を入れることで成功したんです。群馬にも東京のベンチャー企業のようにチャレンジングで柔軟な職場があるのだと、喜んでもらえましたね」

ところが、それでも解決されない問題が……。それは、自動車整備工場の業界でした。

2012年に産声を上げたgNOTEは、自動車整備業界の慢性的な人手不足を補うサービスとして、顧客対応を代行するコールセンター業務とともに立ち上げました。しかし現場の管理方法は紙がまだまだ主流で、IT化の遅れている業界だったのです。

山田 「ある大手の整備工場に訪問したとき、事務員さんが車検の案内はがきを、会議室の床にズラッと並べて宛名印刷をしていました。時間も人手もかかるアナログな方法になんの疑問も感じていないのが業界全体の空気だったんです。
当社の gNOTEを軌道に乗せるには、直接お会いして顧客の経営課題を明確にし、どうあるべきかビジョンを共有して、そして当社の ITサービスがどのように解決できるかという話をしていく必要がありました」

実際に訪問して膝を詰めて話す必要のある商材でしたから、どれほど遠方であっても出張しなければなりません。充実した子育てをしたいとUターン転職してきた中途組を、全国を宿泊しながら飛び回って1週間も本社に戻ってこないフィールドセールスに配置することはできず、採用はままならない状況が続きました。

この困難な状況を打破するには、逆転の発想が必要だったのです。

Web会議でのフォローから受注まで持っていく“ツワモノ”が現れる

▲インサイドセールスの山洞 隆弥

Uターン採用組は主にインサイドセールスを担当してもらいました。当時のインサイドセールスは、Webの運用案件にともなう保守や顧客フォローを行う役目。今でいうカスタマーサクセスの原型です。

その業務のほか、しばらくご無沙汰してしまっていた既存顧客に全員で電話をかけ、フィールドセールスを補完するべく、関係性を再構築するための施策を始めていました。

しかし当初はうまくいきませんでした……。

けれども、数カ月の試行錯誤を繰り返す中で、受注の知らせが社内に響きます。インサイドセールス・新卒7年目(2019年現在)の山洞 隆弥が、数年ぶりにコンタクトを取った顧客からオンラインだけで受注を決めたのです。

山田 「社内中がざわめきました。『いったいどうやったんだ?』って……」

山洞には野心がありました。

電話でお客様と関係性を再構築するだけでなく、オンラインだけで受注までつなげる方法を密かに試行錯誤……。自分が事業を変革して引っ張る、という意識を持って取り組んだ成果が実を結んだのです。

山田 「社内中にこの手法を広めるべく、山洞から他のメンバーへ伝授していきました」
山洞 「いきなり商談に入るのではなく、 Web会議の設定をする場をまずは提案。スムーズに進むようにマニュアルをつくり、一緒に行いました。
有意義だと思ってもらえる時間を過ごすことがコツで、対話する姿勢を信頼してもらえたんだと思います」

さらに山洞は、オンラインで「顔を見ながら」商談できる環境を築いた後に、お客様がすでに導入済みだったサービスのアップセルをご提案し、見事に受注。

これが成功事例となり、先方のITリテラシーが高くない状態からでも十分に受注できることが証明されました。

3カ月後にはセールスのあり方を変える組織変革に着手

インサイドセールスでも受注できるとわかったメンバーたち。オンラインで販売することに懐疑的だった社員も前向きにチャレンジするようになりました。

日々の成功事例は社内SNSを使って常に共有。メンバーのモチベーションがさらに上がっていき、山洞の成功の3カ月後には社内体制を抜本的に見直し組織を変革するに至りました。

山田 「具体的には、これまでエリアごとに分けていた社内の営業組織を、セールスとカスタマーサクセスという機能別の組織に変えたんです」

役割分担を深化させることで、インサイドセールスはより案件の見込み度を上げ、フィールドセールスは「ほぼサインをいただくだけ」の状態にまで持っていくことができました。

山田 「もちろんフィールドセールスの役割は依然大きく、たとえば保険会社から紹介されたお客様の新規開拓や整備工場向けの経営改善のセミナー開催など、顧客との関係構築には欠かせません。
それでも、以前に比べてより少数精鋭で済むようになりました」

当社のお客様は全国に満遍なくいらっしゃるため「ご訪問したのに成果に結びつかない」ことがなくなっただけでも、稼働時間の面で大きな変化でした。これまでは、全国に営業網を構築して人の足で営業するのが常識でしたし、先行の同業他社のベンダーは現在もその手法で営業しています。

山田 「採用難を逆手に取って効果的な体制を築くことができた今では、家族のいる社員も働きやすくなったことを実感してくれています」

1対1型から1対100型への転換がカルチャーや働き方も変えた

▲社員の集合写真

Webによるインサイドセールスからのアプローチで商談を8割程度まで持っていく方針に切り替えて以降、これまで1日の訪問が2社程度だったところ、Webでは6社ほど接点を持つことができるようになりました。

フィールドセールスは新規開拓に特化し、事務やフォロー活動などは群馬本社のメンバーに任せることで、フィールドセールスも家族との時間を持ちやすくなりました。

山田 「まさにビジネスモデルを変革していくタイミングだったこともあり、後発ベンチャーこその視点で変えられたため、イノベーティブな施策を打つことができたと思っています。
これまでマンパワーに頼っていた 1対 1型の営業手法から、 1対 100型のビジネスモデルへの転換を目指しています。マンパワーに頼らず、人材の採用が制約条件にならないような事業モデルに切り替えが進み始めたことは、大きな収穫だったと自負しています」

反面、柔軟ではありながらも変化の大きい会社。時には反発の声が上がる性急な改革もあります。それでも変わり続けるというのが、私たちの明確なメッセージです。新しい時代の新しい働き方へ進む流れは変えない。この認識と現状のとらえ方があるからこそ、セールスのあり方を根本的に変えることができました。そして、テクノロジーと社員みんなの知恵を活用することが、制約をプラスに変えていく発想に変わったのです。

これからも、社員が新しい働き方や時代の流れを前向きにとらえ、地方であることもプラスに変え、進化し続けていきます。