HRディビジョンはビジネスをドライブさせる付加価値を与える存在であるべき

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ジェイ エイ シー リクルートメントにはさまざまな課題、つまりOpportunity(機会)がありますが、私が第一にHRとしてのミッションを伝えた相手はHRディビジョンのメンバーです。2019年7月に入社して間もなく、外資系企業で培ったスピード感でHRとしてのビジョンとミッションを展開しました。

HRミッションの冒頭には、“Change Agent”を掲げています。HRは人、組織、そして企業カルチャーを変革させる仕掛人の役割を果たし、さらには会社の業績に対しても、直接的な価値をもたらすからです。

日本の多くの企業では、HRはバックオフィス、もしくはコストセンター(直接利益を生み出さない部門)と呼ぶ傾向があるようですが、外資系企業の攻めるHRの志向は真逆で、HRこそプロフィットセンター(直接利益を生むことに影響力を発揮する部門)なのです。

HRが仕掛ける“Change”にはさまざまな形があります。たとえば、水面下で変化を促すような工夫もあれば、HR自身が率先して前面に出ていくときもあります。その変化や成果も、短期的に表れるものから、じわじわと浸透していくものまで多種多様です。いずれにせよ、最終的に企業全体をTransformation(変革)させていくことを、HRディビジョンが自ら起こすというマインドセットを持つことは必須です。

そして、そうした変革をもたらすためには、人、組織、企業カルチャーだけではなく、ビジネスに対しても影響力を持つ必要があります。HRのミッションの2つ目には、“Coach & Influencer”を掲げ、プロフィットセンターとしてビジネス好機とリスク双方に自ら気づき、ビジネスや経営層をナビゲートし、時にはコーチとして影響力を発揮することを意識付けています。

3つ目のHRのミッションである“Role Model”は、そうしたHRディビジョンの姿勢そのものが、企業カルチャーを体現するものであるよう努めることを言葉にしています。

この3点を軸に、HRディビジョンのメンバーには自分の仕事についてあらためてReflection (振り返る)するよう伝えました。HRが組織やビジネスに影響力を与える上で、HR全メンバーが共通のミッションのもと前進していくことが重要で、入社直後の最優先事項として取り組んだことです。

そして、HRビジョン&ミッションが定まった上で、組織内の人材が活躍できる環境をつくるためには、どのような考え方やしくみの浸透が必要かということを考えていきます。

ジェイ エイ シーのコンサルタントがご登録者のキャリアと人生に寄り添えるために

人材紹介業はビジネスモデルがシンプルである反面、コンサルタント自身がキャリアについて考えるとき、悩みに陥りやすい業界でもあります。ご登録者のキャリアや人生に深く関わる存在である以上、自分自身のキャリアはどうなんだろう、と立ち返る機会があるでしょう。

そのような背景から、HRはコンサルタントがキャリアを描きやすい工夫やしくみを考える必要があります。

たとえばHRBP(HRビジネスパートナー)が、担当する部門に対して、CDP(キャリアディベロップメントプラン)作成を推進するアクションや、マネージャーが自身のチームメンバーそれぞれと定期的に1on1フィードバックを実施し、キャリアアスピレーション(ビジョン・目標・ありたい姿)について語る場をつくるしくみが必要です。

そして、こうしたしくみや施策のすべての根底となるのが「マネージャーの共通定義」です。営業色の強い業界や企業では、売上目標を達成している人物からマネージャーに昇進するべきと認識されがちですが、実際はそうとは限りません。

私たちの顧客であるご登録者と企業の双方への思考とサービスのクオリティ、チームに対してどのようなマインドを持つ人材がマネージャーに適しているのかをVisualize(明文化)し、それを組織全体の共通言語として浸透させる必要があります。こうした改革は2020年上期から実施できるよう、すでに着々と準備を進めております。

人材紹介というと「転職の支援をする/企業の採用ニーズを満たす」業務のみが見られがちですが、実際はそれより多くの影響を与える、重要で素晴らしい存在だと私は考えています。

前編でお伝えしたように、私自身の転職の多くのきっかけもヘッドハンターからのお声掛けから始まっています。その人生の節目に寄り添ってくれて、背中を押してくれた信頼できるコンサルタントの存在により、自身のキャリアとなって現在につながっていることを、私自身の体験からもよく理解しています。

だからこそ、コンサルタントはご登録者の人生に影響を与える存在なのだというマインドと、プロフェッショナルな自覚を持つことが大切です。ご登録者の方々と信頼関係を築くことができるコンサルタントは、その方々との対面面談で聞き出せるキャリアや成功体験のストーリーから、複数の企業の情報や内情も自然と得られます。そして、そのコンサルタントと会社の財産として蓄積され、コンサルタント自身の成長にも間違いなくつながるはずです。

自らのコンサルタントとしてのキャリアにプロフェッショナルとしての自覚と自信を持ち、情熱を持ってご登録者と関われるコンサルタントやチームを育める環境づくりを進めるため、私はこのような考え方を形にし、自身の体験や世界観をストーリーとして全社に伝えるよう努めています。

自発的な企業カルチャー醸成とエンゲージメント戦略としてのPeople Experience

企業カルチャーのキーワードとなるのがPsychological Safety(心理的安全性)という考え方です。つまり、結果としての失敗のみを叱責しないこと、チャレンジを推奨すること、プロセスや行動を称賛すること、成功を分かち合うことなどのExperience(体験)を通じて、自分の強みを発揮しながらこの企業にコミットすること。さらには、私たちの顧客に影響力を発揮し貢献していることを実感することで得られる喜びや、充実感を生み出すことが重要です。

数字として見える結果を出すことや、それを評価することは大切ですが、その結果だけに焦点を絞り評価する組織はPsychological Safetyを確保できません。そこに至るまでの、あるいは至らなかったことも含めてタイムリーにフィードバックし、1on1フィードバックを重ねて双方向に透明性を持って話し合い、自発的に成長していけることが大切です。

これは、Diversity & Inclusion(多様性と包括)にもつながる考え方です。働き方やスピード感、価値観は人によってDifferent(異なる)です。一個人の中でも、ライフステージに応じてDifferentな状態になることもあります。

多様性を認知しなければ、包括もできません。それぞれの強み、個性というものを認めていくことは、企業カルチャーとして浸透させていくべきひとつのベースとなる考え方でしょう。

また、私がもうひとつ重視したいのはEX(Employee Experience / 従業員体験)です。入社から退職までの従業員としての体験やストーリーを指した言葉ですが、この定義について、私はもう少し広義で捉える必要があると思っています。

というのも、HRは、今後共に働く可能性のある社外の方々に与える体験についても考えなければなりません。CX(Candidate Experience / 候補者体験)という言葉が示すように、将来的な対外的ポテンシャル人材も含めた個々の体験も念頭に置くべきなのです。

私は、PX(People Experience / 人財体験)という言葉でこれらを包括して発信しております。
“EX × CX=PX”という相乗の方程式をもとに、ひとつの道筋として戦略を社内外双方に構築していきたいと考えています。

ただし、これらの定義は、個々の従業員が自発的であることを前提にしています。会社やマネージャーが一方的にシナリオを与えるのではなく、一人ひとりが自発的に考え、意見を述べていくための土台としてこういった考え方を取り入れたいのです。

自分は何ができるのか、どう顧客に貢献していけるのかを伝える意見や行動を、よりAgility(俊敏さ)とFlexibility(柔軟性)を持って出せるような環境をつくるために、Psychological SafetyやPeople Experienceの重要性を説いていければと思います。

メンタリティの強い企業を育て、オンリーワンとナンバーワンを目指す

従業員が仕事を通じて体験するストーリーを、よりインパクトのあるものにしていくこと。そして、一人ひとりの社員がそうした体験をもとに自ら課題に気付き、行動を導き出すこと。

そうした個々の社員の気づきや成長が、私たちの顧客であるご登録者と企業に与える影響を大きくし、さらには、その方々の人生の充実や企業の発展の大きな貢献へとつながります。そのインパクトを担っているというプロフェッショナリズムが個々のコンサルタントのやりがいとなり、コミットメントとサステイナブル(持続可能)なエンゲージメントを醸成すると私は信じています。

理想と現実との乖離や課題というものは、決して後ろ向きな要素ではありません。グローバル環境では、それらすべてが「Opportunity(機会)」です。だからこそ、私たちのプロフェッショナルとしての存在意義があり、People Experienceの道筋を描けるのです。

ご登録者が抱える将来像や不安に寄り添い、クライアント企業が抱える将来像や課題に自発的に提案をし、自分のストーリーが私たちの双方の顧客に影響力を発揮し、長期的な視点まで見据えた上で気づける“オンリーワン”として一番に顧客から選ばれる存在になることが、多くの解決の糸口となるでしょう。

それは、テクニックやスキルもそうですが、それ以上にメンタリティやマインドセットに分類されることです。そのメンタリティによって、強い企業へとTransformation(変革)する近い将来、ジェイ エイ シー グループが描く“ナンバーワン”に近づけるのではないでしょうか。

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