大企業からベンチャーへ半年間の移籍。決め手は、ユーザーに寄り添う姿勢

▲カラダノートではアプリの企画運営を行うコネクトプランニング部に所属している(写真左)

大企業とベンチャー企業では、社内のカルチャーや雰囲気、仕事の進めかたなど、さまざまな面で違いがあります。

カラダノートでは、そんな企業間の違いを経験し、人材育成や事業成長のきっかけとする企業間レンタル移籍サービス「ローンディール」を導入しました。大企業からの人材を受け入れ、社内に足りなかったリソースを補ったり、組織内に新鮮な風を吹かせたりすることが目的です。

今回レンタル移籍をしてきたのは、大手メーカーの研究職に就いて約10年の安藤正登。2019年9月から2020年2月までの半年間、カラダノートの一員として業務にあたっています。

ローンディールの導入は、カラダノートにとっても、安藤の所属企業にとっても初めてのこと。彼は、ローンディールを利用したレンタル移籍者第1号として、社内公募に手を挙げました。

安藤 「会社の収益がOA機器に頼りきりなので、事業転換も見据えなければならない時期にきていて、会社として人材育成は急務になっています。
自分自身も10年会社に勤めて、マネージャーとプレイヤーの境目の層に入ってきたので、働きかたも変えていきたいなと思っていたところで、公募があったので応募しました」

そして、4万人もの従業員数を誇る大企業から、30人程度のカラダノートに半年間移籍することを決めました。

安藤 「元の企業にいて、研究所がお客さんからすごく遠いところにあると感じていました。研究して開発して、それを事業部に渡して、営業が売って、というふうに何部署も通らなければならないからです。
実際に使うお客さんにリーチしにくい状況で、技術だけを突きつめていていいのかなという思いもありました。
そこで、レンタル移籍にあたり、技術を推し進める企業よりは、UIやUXにこだわっている会社にしようと思っていました。カラダノートは、とにかく『ママに寄り添う』という思いが伝わってきて、学べるものが多いだろうと感じ、ここに決めました」

また、その直前には安藤の第一子が誕生。私生活とのタイミングも合致し、ユーザー体験にフォーカスしている当社に移籍したのです。

少人数でも事業は進められる。そのコツは、地道な積み上げだと気付いた

▲自身でも家族が増えたことがカラダノートへのレンタル移籍への後押しになった

9月に移籍した安藤の所属はコネクトプランニング部。主にアプリや広告などのデータ解析を担当しています。データをもとにメンバーの業務計画を立て、進捗を確認しながら、その都度新しいデータも踏まえてフィードバック。市場の動向も随時チェックしながら、アプリや広告の担当者をアシストしています。

安藤 「元の会社でも、市場に何万台とあるOA機器から、日々データを吸い上げています。そのデータをもとにメンテナンス時期を推測したり、お客さんへのアプローチのタイミングを考えたりすることはあったので、その経験は生きていると思いますね」

また、OA機器というハードウェアを扱っているメーカーと、アプリなどのソフトウェアを扱うITベンチャーでは、仕事の進めかたが異なります。しかし、安藤はそのなかでも生かせるところを見つけて実践していきました。

安藤 「ハードウェアだと、市場に出してから不具合が見つかったら、全部を回収しなければならない。なので、エラーがないように事前に着実に進めていかないといけません。
一方でアプリは、リリースしながら改善できるという良さがあります。ただそれでも、社内のリソースは限られているので、できるだけ後戻りはしたくないですよね。そういう意味では、自分が身につけてきた着実な進めかたも、ある面で有効だったなと感じています」

従業員規模では100分の1以下の企業に移籍し、安藤が最も実感したのが「2~30人規模でも事業はできるのだ」というところ。大企業であれば、一部門の一機能を担うグループほどの単位で、会社機能をすべて包含できるということに驚いたのです。

安藤 「来る前は、ベンチャーに対して漠然と怖さを感じていて。飛び道具や魔法を持っている人たちばかりなんじゃないか、と思っていました(笑)。
また、自分にはOA機器の研究という特化された能力しかないのではないかという不安はありました。ですが入ってみたら、意外と自分にもいろいろなことができると気付きました。あとはもちろん、魔法なんてなくて、地道に一から積みあげるしかないということも改めてわかりましたね」

文書がない、計画もない。ベンチャーの風土に戸惑った1カ月

▲ローンディール社の担当者とのやりとりの一部。所属会社や担当者からのコメントが励みになったことも多かったという

移籍後まず安藤が感じたギャップは、仕事の進捗やこれまでの流れを記録しまとめた文書や資料がほとんどなかったことです。アプリを扱うチームでは、アプリごとにスプレッドシートに上書きしていくスタイルをとっていました。彼がそれを理解し、そのスタイルになじむまでに、最も時間を要しました。

安藤 「自分の会社だと、誰が何をしたということが全部レポートになっています。カラダノートは、スピードを重視しているので、そのレポートをつくる時間も省いているのだと思います。
だから現状を理解するのにすごく時間がかかりました。あと、計画が個々に任されていて、理解しづらかったですね。
市場のスピードに合わせるためにそうしているのかもしれないのですが、他のメンバーがこのあとどう動くのかが見えづらかったので、自分の動きも決めづらいなと感じていました」

ハードウェアをつくる企業では、3カ年程度の計画があり、そのロードマップに沿って業務を進めていくのがスタンダードです。ベンチャーとの違いを理解したうえで、安藤は2カ月目に、その先3カ月分の計画を立てることにしました。

安藤 「計画を立てていいものなのかも、最初はすごく悩みましたね。それって本当にベンチャーに合っているのか。せっかくベンチャーに来ているのに、大企業のやりかたで仕事をしてしまったら学ぶものはないんじゃないか、と。なので、最初はここのやりかたに染まってみようと思っていました。
ですが、1カ月以上過ごしてみて、やっぱりある程度の計画はあったほうがいいと感じて。ただ、年単位では長すぎるので、3カ月のスパンでつくって、毎週更新するような形で進めていこうと提案しました

そして、メンバーとともに、部門全体の活動計画を作成。現在は微調整を加えながら、基本的には計画に沿って順調に進められています。

安藤自身にとっても、計画を立てたことによって、業務内容が積みあがるイメージができ、安心して自分の仕事を進められるようになりました。

安藤 「みんなの業務が見える化できたのは大きかったです。あと、自分の会社には週報を書いて送っているのですが、普段厳しい上司から励ましをもらったり、メンターとしてついてくださっているローンディールの方から、毎週コメントをいただいたり、そういう部分にも支えられました」

元の会社に戻ってから、チームづくりに経験を生かすために「実績」を残す

▲所属している部署の同期。安藤の前例のない挑戦を応援してくれた

安藤は2月末までカラダノートに在籍し、元の会社に戻る予定です。レンタル移籍のきっかけとなった当社のユーザーファーストの姿勢を、彼は着実に吸収しています。

安藤 「アプリのレビューに一つひとつ返信しているし、SNSでのつぶやきにも対応してパッとトラブルを解決している。すごくユーザーを大切にしているなと思います。
そういうきめ細やかさがあるからこそ、データが溜まってきて、データの解析もやりやすくなる。その循環がうまく回っています。自分の会社も、今後AIやIoTなどのソフトウェア分野も強化していくので、そのあたりの姿勢は非常に勉強になりました」

そして、残りの期間もカラダノートでやりきり、気付きや学びを持ち帰ろうと考えています。

安藤 「計画を立ててから、プロセス的にはうまく回っているのですが、やっぱり数字を残して帰りたいですね。数字にこだわる経験を通して、自分自身の気付きもまだまだ増えると思いますし、元の会社に戻ったときに、『ベンチャーでこれだけ数字を残した』という実績は、今後の仕事を進めるうえで説得力にもなると思います」

大企業とベンチャーで違うのは、開発からリリースまでのスピード感だと改めて感じた安藤。大企業に戻ったのちには、チームづくりや仕事の進めかたを変えたいという展望も抱いています。

安藤 「大企業では、自分の考えを練って、誰にでも説明できるようになってから資料にまとめて提案するというやりかたでした。でもカラダノートだと、『自分は今こう思っている』という発想の段階から発信できて、そこから考えをまとめあげるのは、みんなで行う。それがスピードを上げるポイントではないかと感じました。
大企業だと情報漏洩などさまざまなリスク管理の仕組みがあって障壁もあると思いますが、元の会社に戻って自分がチームづくりに携われるようになったら、ここでの経験を生かして、ベンチャーと同じスピードで研究所からサービスをリリースできる環境をつくっていきたいですね」

カラダノートとしても、より事業を推進できる仕事のやりかたを学べたり、今まで手が付けられていなかったデータ解析という部分を進められたり、安藤がいたからこそ得られた刺激がたくさんあります。それらを無駄にせず、さらに成長を続けられるよう、事業にまい進していきます。