現場を経てスタッフ部門へ。現在にいたるそれぞれのストーリー

▲人事育成担当 中嶋 靖子 、総務担当 関口 健司

法人・ソリューション分野(通称「法ソリ」)は、NTTデータにおいて法人向けのビジネスを展開する事業部の総称です。2019年現在、約3,000名の社員を抱える「法ソリ」分野のスタッフとして働く、総務担当の関口 健司と、人事育成担当の中嶋 靖子。ふたりは、分野としての共通施策を推進するというミッションを持っています。

現在総務担当の関口ですが、以前は金融系のシステム開発に携わっていました。総務に異動した経緯は──。

関口 「社内の公募に手を挙げました。金融系の開発プロジェクトを 10数年経験して、そろそろ何か新しいことにチャレンジしたいと考えていたことと、自分自身の『働き方』について思うところがあり、公募要項に記載されていた『働き方改革』というフレーズを見てこれだ! と」

働き方について思うところ。それは、育児との両立でした。

関口 「担当していた案件では、休日や夜間の対応に加え、出張が頻繁にあったので、共働きにも関わらず子育てに関して私はほぼ戦力外。子育てがしたいのにできない、というジレンマを抱えていました」

周囲にはテレワーク制度を利用していた女性社員もいましたが、関口はそれをあまり利用できなかったのだと言います。

関口 「自分も活用できれば子どものお迎えに行けるのに……と思いながらも、なかなか言い出すことができませんでした。テレワークを行える環境は整っていたものの、月に 1~ 2回できるかどうかという状況でしたね。
現場には、男性社員がそういった希望を言い出しにくい雰囲気がまだ少なからずあると感じます。誰が悪いわけでもない、そういった “風土 ”の改善を目指して、社員の『働き方』に関わるさまざまな施策の導入を進めているんですよね」

一方、人事育成担当である中嶋も、別の部署から現在の部署へ異動してきました。

以前携わっていたのは、衛星通信や地上波放送のデジタル化に関するプロジェクト。産休から復帰するタイミングで今の担当に異動になったのです。関口とは違い、自ら志願したわけではない異動でしたが、中嶋に戸惑いはなかったと言います。

中嶋 「もともとそこまで技術職にこだわりがあるタイプではなかったこと、当時人事育成担当には子育てしながら働くロールモデルとなる先輩社員がいたこともあり、私の場合は異動への不満や戸惑いはありませんでした。
人事育成担当としてのメインの仕事は、さまざまな階層の社員を対象にした育成施策の導入・推進です。組織としての方針に根ざした人財の育成を行うことが、人事育成担当としての役割になります」

それぞれの想いを胸に。ふたりは違った角度から組織の改善に取り組み始めたのです。

“しくみ”と“人財”──それぞれの切り口から組織の目標達成にアプローチ

現場を経てスタッフ部門へ異動、という共通項はありながらも、異なるバックグラウンドを持つ両者。それぞれ違った視点から組織を見ていますが、それぞれの思い定める「ゴール」は一体なんなのでしょうか。

関口は、社員が働きやすい組織風土に改善するため、3つの観点から組織を見ています。

ひとつは、家庭を持つ男性社員の家事・育児への “参画”を後押しすること。

関口 「当社に限った話ではなく、子どもが生まれたら『女性は子育て(と仕事)を頑張る。
男性は仕事をよりいっそう頑張る』という価値観が日本全体でまだまだ根強いからこそ、これまで見落とされがちだった男性社員の働き方に目を向ける必要があると思っています。また、そういった日本ならではの価値観を変えていくことがダイバーシティにもつながるのかな、と」

ふたつめは、本当の意味での『ワークライフバランス』を実現すること。

関口 「今は、『ワーク “ライフ ”バランス』と言いつつ、実際のところ取り沙汰されているのは『ワーク “ファミリー ”バランス』だと思うんです。つまり、想定されているのは仕事と家庭の両立。でも、当然ながら単身者にも “ライフ ”はあります。
すべての社員を念頭に置いたワークライフバランスを考えていきたいと思ってるんです。また、社員がライフにも時間を使えるようになった結果、新たな情報や人脈などのインプットのチャンスが増えるのであれば、それは会社にもメリットになることだとも思いますね」

そして、最後のひとつは、近い将来に訪れる問題に備えておくこと。

関口 「プロジェクトの中心として活躍している 40代社員の多くは、ご両親が第一次ベビーブームに生まれた団塊世代で、 70代に突入しています。今はお元気であっても、徐々に介護が必要になる方も確実に増えてきます。
このとき、親の介護を理由に働き盛りの 40代社員が離職してしまうというのは社員にも会社にも不幸なことです。そうならないためにも、今から『ワークライフバランス』を実現しやすい環境を整えておくことが必要だと思っていますね」

優秀な人財を育てることを目標とする中嶋も、ふたつのことを意識していると言います。

中嶋 「 1点目は『稼げる組織』づくりに貢献すること。もうずいぶん前になりますが、当社にとって競合にあたる企業の OBを招いて講演をお願いしたことがあるんです。
そのときに、『コンペの競合が NTTデータだと安堵する。 NTTデータは提案が非常にしっかりしているけど、お客様にお待ちくださいと言われると大人しく待っている。うちはその間にあらゆる手を尽くしますから』と言われたんですよね。
それを聞いて、『勝ち』に対する貪欲さ、競争力を持った人財を増やさなければ、と。
そして 2点目が、なんとなく活躍できずにいる社員に、前向きな変化のきっかけを提供すること。
私自身も、開発にいた若手のころはいまいち活躍できないタイプだったので、今一歩枠を超えられずに悩んでいる若手に何か気づきを提供できれば、という想いが強いです」

このように、別の視点から組織に貢献しようと意気込むふたりですが、その“ゴール”は共通していました。

中嶋 「人事育成担当としてのベースは『組織として掲げている目標に近づくための人財育成』です。ゴールはあくまでも、組織が目指す成果を挙げられるようにすることなので、組織が掲げている方針をそしゃくし、業務で実践できる人財の育成を常に念頭においています」
関口 「それは総務も同じです。異動のきっかけこそ、自分自身の働き方への問題意識に端を発していますが、その先には常に『会社の成長を実現するためには?』という大目標を見据えています。
やはり、少子高齢化やグローバル化、 AI台頭などの時代の変化を考えると、社員一人ひとりのクリエイティビティや生産性の向上が会社にとっても不可欠であり、そのために働き方の改革が必要だと思ってるんです」

環境づくりと、社員のマインドセット。両輪で「仕事をつくる」をサポート

組織の成長という大目標を達成するためには、はたして何をするべきなのか。ふたりは、現在の環境は「答えがないことに取り組む力」が求められるフェーズなのだと分析しています。

中嶋 「案件のほとんどが受注型の SIだったかつては、守るべき標準や手順があって、それに準拠していれば十分に価値を生むことができました。でも今は、定まった “答え ”のない課題にいかに応えるかを問われる仕事が増えています。枠組みが定まったスキルや知識を教えるのは簡単ですが、今求められているのはそうではない。育成も難しくなっています。
また、アジャイルで行う開発も少しずつ増えてきていて、一つひとつの案件規模も小さくなってきており、多くの人に『仕事をつくる』力が求められるようになっているんです」
関口 「私も同じような認識を持っています。労働時間の中のムダを削減して、良いモノを生み出してもらうために、社員のモチベーションをアップし、クリエイティブな仕事がしやすい環境を整えていくことが私の仕事だと考えていますね」

反面、トラディショナルな領域もなくなるわけではありません。

中嶋 「いわゆる AIやビッグデータのような最先端領域だけではなく、トラディショナルな領域でも、仕事をつくり出すことはできます。若手社員の方であっても『自分がおもしろいと思える仕事を自分でつくること』を考えてほしい。 NTTデータには、それができる環境がありますし、お客様もそのような提案を期待していると思います。
“答え ”がないということは、こちらの発想次第でどんどん新しいことに挑戦するチャンスでもあるということですよね。型にはまらず、あの手この手を繰り出す楽しさを知ってもらえたらと思っています」

環境変化の波を乗り越え、創業31年目のその先へと進むために

クリエイティブなものを創出できる人財育成という難しいテーマに対して、人材育成担当である中嶋は、2018年度にある施策を導入したと言います。

中嶋 「中堅社員向けに新しい研修を導入しました。一番のポイントは『じっくり考えられる』設計にしたこと。 8カ月に及ぶ研修期間で受講者が集まるのは 2回だけ。しかも 1回 3時間以下の短時間にとどめる代わりに、受講者向けのサイトを立ち上げました。そこで事前情報のインプットや受講後のアウトプットをしてもらうしくみを取り入れたんです。
研修で学びや気づきはあるものの、それをなかなか普段の業務に生かせない……という “その場限り ”の研修のあり方を変えたかったんです。日々の仕事をしながらも、研修の内容が常に頭の片隅に置かれることで、おのおのがじっくりと考え続けられるようにできれば、と考えましたね」

実施した結果、今後への課題点も浮き彫りになりました。

中嶋 「サイト上での個人ワークからスタートするのですが、『じっくり考えられて良かった』という期待通りのリアクションをくれた方もいますし、 Webサイト構成が複雑だったりして『わかりにくい』という意見もありました。改善点もまだまだありますが、何よりも、検討する中でたどりついた新しい育成施策のあり方を形にできたことを嬉しく思っています。
また、ひとりでは思い付くのが難しいアイデアを生み出すために、チーム内でディスカッションも頻繁に実施しました。ディスカッションを繰り返すことで、やっとあの手この手を繰り出せるようになってきたかな、と。チームと自分自身の成長を感じることができました」

また、総務では、自身の異動のきっかけとなった「働き方改革」に対する熱心な取り組みが行われています。

関口 「今までは組織単位の平均値でしかウォッチしていなかった労働時間を、個人レベルで追いかけるようにしました。あまりにも極端な働き方をしている人がいれば、上長に対する指導を行ったり、会社として実施できる対策がないかを議論したりしています。『働きやすさ』とか『働きがい』の前に『心身のトラブルなく就業できること』が第一ですから。あらゆる施策の土台となる『社員の安全』を確保するための取り組みです。
加えて、これまでは『分野全体として』行っていた取り組みを各組織レベルに落とし込むために、各部門の部長を対象に、取り組みの背景となる各種調査結果の見方をレクチャーしたり、取り組みの進め方を伝える機会を設けたりするようにしました。これを機に、分野レベルからはどうしても見えてこない、各組織固有の課題へのアプローチを進展させたいと考えています」

そんな中で関口が感じているのは、大きな手応えです。

関口 「思った以上に他の分野やグループ会社の総務担当と意見交換する機会が多く、法ソリ分野の社員 3,000名のみならず、累計 10万人を超える NTTグループ全従業員の『働く』に、プラスの影響を与えうる可能性がある業務に携われているんだな、という感覚があります。その分やりがいも大きいです」

しかし、ふたりとも、施策はまだまだ道の途中だと口をそろえます。

関口 「情報産業は今、大きな変革期にあると思っていますね。社員と会社がこの荒波を乗り越えていけるよう、総務の立場からエンパワメントしていきたいです」
中嶋 「私自身も、考えることを楽しみながら、今後もあの手この手で分野の方針を具現化する人財育成に取り組んでいきたいと思います」

社員一人ひとりのより良い働き方のため、ひいては、会社の持続的な成長のために。同じゴールを目指し、それぞれのアプローチで奮闘するスタッフ社員の想いが、これからも現場の「働く」を支えていきます。