生涯現役を支える「ありがとう」の言葉

▲「グラナダスィート 福岡」ウェディングプランナーの福田啓見

ホテルやレストラン、ウェディング事業の企画・運営、コンサルティングを事業展開しているポジティブドリームパーソンズ(以下、PDP)。そんなPDPで入社から8年間ウェディングプランナーを勤め、今ではプランニングの巧者として会場メンバーの育成も担っている福田。しかし、入社時の希望職種はなんと営業管理であった。

福田 「東京で3年くらい、洋服の販売などをしていました。その後地元福岡に帰ってくることになり、次は絶対接客はしたくないと思い、事務を探しました。そんな中で PDPが福岡エリアでの施設展開をしていたので、応募してみたんですけど……『申しわけないけど営業管理は決まっているから』と。

『面接で断られるの初めてだなー』と思っていたら、『ウェディングプランナーやりませんか」と言われて(笑)。『何も知識がないのですができますかね?』とお伝えしたら『イチから教えるから大丈夫』だと言われまして。これが、私のウェディングプランナーとしての始まりです」

こうして不思議な縁から2012年1月、PDPに入社しウェディング業界へ足を踏み入れた福田。5月からはウェディングプランナーとして担当を持つことに。ただ、担当当初はお客様に厳しいお言葉をいただいてしまうこともしばしば。

福田 「でもこれまでで一番ご迷惑をおかけしてしまったお客様のご披露宴当日に、本当につらくてどうしようと思いながら出社したときがあったんですよね。それで、福岡 中洲川端にある橋を渡って、自社の会場のチャペルが外から見えまして。そのとき、一瞬ですけどワクワクしたんですよね。今日はどんな披露宴かなって。

あぁ、自分ばかだなって思いました(笑)。それでも、ご披露宴は、皆様のお陰でとてもすてきな式になりました。そして、そのとき、新郎新婦から謝辞の時にお礼のお言葉をいただけたのです。『福田さんにすごいわがまま言って迷惑かけたんですけど感謝してます』と言っていただいて。

びっくりしたのと嬉しすぎて過呼吸になるくらい泣きました(笑)。正直当時はつらいのが8割だったんですが、その一瞬があったから、大変なことがあっても今まで辞めずにいられるんだと思っています」

“一児の母”がもたらしたものと、チームで取り組む「感動タイム」

▲「感動タイム」では、ひとつの施工に対して全員が自分の担当だ、という想いで臨む

「お客様からの感謝のことば」をモチベーションに、ウェディングプランナーとして経験を重ねてきた福田。彼女は2016年に女性としての大きな転機を経験する。大きな転機──それは結婚と出産。それにともない同年に出産のため、育児休業を取得する。

その後福田は2017年4月に復帰したのだが、結婚と出産の経験は復帰してからの福田の施策は「深い」と 周りのメンバーは言う。それに対して、福田も自覚的だ。

福田 「私も結婚し、自身も新婦としての経験をしたこと。そして子どもを生んで親になったことは大きかったと思います。今まで提供していた『結婚』の当事者になれたことでお客様の視点に立てたのはもちろん、子どもを育てる中で、あらゆる価値観に触れ、いろんな人の気持ちに立とうと思えるようになったんです。

今回のGWAでのエントリー作品も母娘の心理的な確執をつなぐことにチャレンジしました。そのときは、これを実現する当日までの道のりには困難なことが多々あり、何度も心が折れかけたことも……。

ですが、私が母親として、わが娘への不変の愛情を抱いているという事実が、自身の「あきらめたくない」という気持ちを持ち続けていく原動力にもなっていました。あと、自分だけの変化ではなくて、『感動タイム』を通じてチームでひとつの施策をつくっていける、という意識が高まっていたというのも大きいと思います」

ひとつの結婚式を担当プランナーだけでなく、チームで分析し、良い結婚式づくりを探る時間が 「感動タイム」だ。

PDPの全国の会場で統一したアジェンダで実行されており、新郎新婦に記入いただいたヒアリングシートをもとに、どのポイントを、誰の心に響くように、どのように働きかけると感動いただける施策になるのかを探る。そして、どのような手法・手段で進行へ反映していくのかをチームでディスカッションしてひとつの結婚式をつくり上げていく。

福田 「ひとつの施策を、ひとりではなくみんなで考えるようになってから、『みんなだったらこう考えるんだ』『自分の担当している新郎新婦様へはこうしたら良いかも』と引き出しが増えたのも大きいと思っています
あとは、「グラナダスィート 福岡」の組織は本当に他セクションの協力体制ができています。何より、ウェディング以外のメンバーも結婚式のプランニングということに興味も持ち、実際に進行表が手にわたったときにも、何故ここでこの演出をやるんだっけ?という質問や、こうしようという提案ももらえることもあり、メンバーが一丸となっている環境が施工品質へ良い影響を及ぼしているなと思っています」

GWAを通して、より深く「結婚式」と向き合えた

▲リクルートブライダル総研が主催する「GOOD WEDDING AWARD 2019」最終選考会で、会場メンバーと(前列中央が福田)

PDPのウェディング事業は、運営する全国の施設で2014年度より「いい結婚式のプランニングコンテスト」であるGWAへのエントリーを続けてきた。2016年から3回連続ベスト50に入賞してきたが、ファイナリスト選出は初めて。悲願の達成で、その盛り上がりは最終選考会当日に約100名のメンバーが福田の応援にかけつけていたことからも読み取れた。

そんな熱量にあと押しされて参加したGWAの中で、福田は大きな気付きを得たのだと言う。

福田 「残念ながら、GWAでは受賞できなかったのですが、その日の交流会で、『福田さんの作品が一番良かったです』と言ってくださった方がいて、とても嬉しかったし救われた気持ちになりました。誰かひとりにでも想いが伝わっているということは自分の中でも自信になったんです」

また、他のファイナリストのプレゼンテーションを見ることで、結婚式の見方が変わったのだと福田は言う。

福田 「同じ進行の中でも人によって感動することがそれぞれ違っていて。私はこれまで『今日は挙式退場したおふたりの顔良いなー』とか「今日は中座しているお母さんの涙いいなー』とか、メインのキャストにばかり注目していました。

しかし、他のファイナリストのプレゼンを聞いて視点が変わりました。メインのキャストだけではなく周りの顔とかご友人の顔とかが気になりはじめたんです。表立って主役になる人だけではなく周りの気持ちって大事だなって。お客様だけではなく、メンバーとか内側の人間の顔も気になるし、これからはもっと、いろいろなことに目がいきそうです」

娘の結婚式のときまで長く活躍できるウェディングプランナーに

▲お客様に、唯一無二の結婚式を提供するために──福田は、今日も走り続ける

また、PDPは社外コンテストへのエントリーだけではなく、社内でのコンテストの開催も積極的に行っている。年に一度、ウェディング事業だけでなくホテルやレストラン、他にもバンケットやフラワー、そしてキッチンに従事するメンバーすべてがエントリーする「感動コンテスト」を開催しているのだ。

2020年1月23日に開催された「感動コンテスト」へは約400件のエントリーがあり、書類選考と3回のトーナメント戦を経て、各部門でのグランプリが決定した。PDPはお互いのメンバーが競い合い、高め合いながら、サービスメソッドの強化やノウハウの共有の場を持つことを大事にしている。

そんな環境で成長を続けてきた福田。入社前ではまったくウェディングへの知識がなかった彼女だが、ここまで走り続けて見えたのは、結婚式の持つ不思議な力と自分の可能性だと語る。

福田 「結婚式には大切な想いを運ぶ力があると信じています。そしてその力を引き出せられるのがウェディングプランナーです。GWAのファイナリストの方々との交流を経て一番感じたのは『自分はまだまだだ』ということ。 これからもどんな困難な状況でも、私にできることを諦めずに探し続けたい。

そしてできれば今4歳の娘の結婚式を担当したいです。20年後くらいなので、定年間際ですが(笑)。今回のコンテストでファイナリストに選ばれたとき、私を採用してくださった人には『ウェディングプランナーで良かっただろ』って言われました(笑)。私の返事はもちろん『はい!』です。 それだけ、この先も長く、このすてきな結婚式づくりに携わっていきたいです」

福田の座右の名は「公平無私」。始まりはたとえ自分の想像のほかであっても、「ありがとう」の言葉を「あきらめない」想いにつなげ、継続しつづける。 これが、コンテストファイナリストの日常の姿だ。

お客様に、唯一無二の結婚式を提供するために──福田は、今日も走り続ける。