ボトムアップで会社を変えていこう。社員たちの決意

▲LCAサポーターズと社内デザイナーとのコラボレーションで生まれたLCAキャラクター。ぬいぐるみは有志が作成

2017年から、本格的に日本で始まった働き方改革。株式会社リコーも流れに乗り、「社員主体の働きがい改革」を進めていきました。

「どのような姿を目指すかを考えてほしい」という部長の掛け声で、開発部門でも管理職・若手を交えたワーキンググループが結成されます。

開発部門は1,000名の大所帯。ミーティングでは現状の職場環境に関して、若手メンバーからの不満が続出しました。

内田 「コミュニケーションが取りづらい、チャレンジがしにくい、実験室の開発環境が悪いなどの課題が見えてきました。当初、上層部に改善提案する流れでしたが、話すうちに、まかせきりではいけない、私たちから会社を変えたいという想いに変わっていきました」

この想いに共感したメンバーが集まり、2018年4月、9名でLCA(Lively Challenge Activity=イキイキチャレンジ活動)を立ち上げます。開発本部長からの了承も得て、最初の2カ月は活動のしくみづくりを重視していきました。

内田 「みんなと話し合い、まず 3つのサイクルで進めることを考えました。 1つ目は改善アイデアの提案を部門全体から募集する。 2つ目にメンバーを募り、チームで改善活動をスタート。そして 3つ目は半期に一度、活動の共有会を実施していくというものです」

まずは部門全員に対して、アイデアを募集していきました。その後、集まったアイデアに対してアクションを起こしたい第一期メンバーを募集。PR活動も兼ねて説明会を計6回実施し、合計で45名の参加がありました。

入社2年目〜ベテランまで、部署をまたいでメンバーを組み合わせチームを結成していきました。

点から線へ。認知度向上に向け、他部署とのコラボでキャラクターも誕生

▲<活動共有会> 社内ホールで各チームのポスターセッション。来場者からの応援メッセージに勇気づけられた

「個人・チームの成長を促す」「会社への貢献意欲を高める」などさまざまな目的を持った13チームが誕生。しかし第一期では、具体的な活動に落とし込むところで時間がかかってしまいました。

たとえば地元の花火大会にあわせて企画したチームは、会社としての取り組みにするため総務部に協力を依頼。しかしまだまだ検討が不十分で、LCAの認知度の低さもあり、準備や運営に関して建設的な議論ができないまま企画は頓挫してしまいました。

しかしLCAでは、短期的な成果は求めないことを重視していました。焦る必要はなく、今、自分たちがやりたいことをできているかが大切です。

内田 「半期に一度の活動共有会では、各チームの途中経過を発表することにしました。社内のホールを使って開催し、ポスターを作成してセッションを実施。その場で活動内容を共有したので来場者とコミュニケーションが取れて、『詳しい人を紹介できるよ』『良い活動だと思うから頑張ってね』といったメッセージをいただき、続ける上でのモチベーションが上がりました」

2018年の後半に、第二期がスタート。人数は54名から85名へと増加し、各チームは引き続き活動していきました。

少しずつメンバーも増えていきましたが、まだ認知度は高くありませんでした。そこでLCAが大切にする価値観を「主体性」「チャレンジ」「コラボレーション」と明確にして図式化し、パンフレットを作成。並行して、LCAのマスコットキャラクターも作成しようと考えます。

内田 「社内のデザイナーに活動の内容を話して直談判し、共感いただいたので作成をお願いしました。デザイン部署でコンペを開いてくれて、結果的に 10以上のアイデアが集まったことには驚きましたね。最後はサポーターたちの投票で決定。活動の当初に決めた、大切にしたい 3つのサイクルにちなんだキャラクターが選ばれました」

活動を通して、社員がイキイキと働ける土壌をLCAがつくっていきたい。そんな想いが込められた、アイデア担当(①アイデア提案)の『ばくてりん』、実践担当(②チーム活動)の『どじょっこ』、いいね担当(③活動共有会)の『ふぁーむおじさん』が誕生しました。

キャラクターは好評いただき、ステッカー、Tシャツなどのグッズになったほか、社員の好意でぬいぐるみも作成されました。

線から面へ。他企業とのつながりで生まれた化学反応

▲<他社事例勉強会> 部門や会社を超えたメンバーでイノベーションについて熱く議論。多くの気づきを得た

第二期ではチームで少しずつ、成果が生まれていきました。

あるチームは社内で社会貢献活動を担当している部署とコラボして、社員の子どもたちを招待して科学教室を実施。ランチ会を主催するチームはテニス、プログラミング、写真、音楽などをテーマにランチを開催し、出席者は100名を超えました。趣味に関する人脈が広がり、あるメンバーはバンドを結成、社内パーティーでライブを企画しています。

さらにLCAの活動を社内報で取り上げてもらい、認知度が向上。期末の共有会ではLCAを取材したいなど、社外の方から相談いただくようになりました。

内田 「他部署への広がりもさらに加速していきました。たとえば AIを業務に生かす活動をしているチームは、研究開発部門のメンバーに月に一度、技術を教えてもらっています。毎月出される宿題に取り組み、それをもとにまた講義を受けるというサイクルができています」

2019年前半にスタートした第三期では、他企業も巻き込んでいきました。

他社の事例勉強会と称したイベントを開催して他社の方に登壇いただき、働き方改革に関する講演をしていただきました。その後はワークショップも実施し、他社の社員のみなさんとつながるきっかけが生まれます。

内田 「共有会に複数の企業を招待したこともあり、交流が広がっていきました。実験室の改善チームは他社の実験室を見学したり、ランチ会を開催するチームは同じような取り組みをする会社に訪問し話を聞くなど、他社からヒントを得られる機会が増えていきました」

第三期ではLCAの活動に共感した社内の品質技術部門でもLCAの運営を参考に2019年秋から姉妹活動がスタートし、LCAとの交流が始まっています。

一人ひとりのアクションでLCAマインドを広げ、豊かな土壌を耕したい

▲第四期(2019年下期)メンバー キックオフ

第三期が終了し、社外の方からはさまざまな評判をいただくようになりました。

内田 「社外の方は同じような課題を持っているけれど、上司の協力が得られず会社でボトムアップの活動がしにくいようです。『上司の理解があるんですね、羨ましい』と言っていただくことが増えました。また共有会でけっこうリアルな現状も話しているので、刺激を受けるいい機会にしてくださっているようです」

第三期の時点でメンバー数は94名、チーム数は20になりました。満足度は84%にのぼり、「人のつながりやアイデアを業務に生かしている」「同じ志を持ったメンバーと関われている」などの感想があがっています。

しかし開発部門の中でのLCAの認知度はまだまだ。活動の良さをうまく伝えきれておらず、「活動の内容がよくわからない」という感想を持たれていることも事実です。

内田 「今後は各チームの具体的な活動内容を知っていただくとともに、より良い活動にしていきたいと思っています。そして LCAのマインドが他部署にも広がるといいなと。これからは、活動共有会に来られない方たちにも内容を伝える機会を設けていきたいですね」

「仕事のしやすさ向上」「個人・チームの成長」「信頼・協力、貢献意欲UP」……たくさんの目標達成に向け、今はLCAの各チームが中心となって土壌を耕している最中です。

このLCAを通して、部署と会社を超えて「主体性」「チャレンジ」「コラボレーション」マインドの浸透や会社全体の成長につながっていくといいと思っています。会社を変えるのは、一人ひとりのアクション。LCAの勢いはこれからも加速し続けていきます。