シグマックスに入社。決め手は直接世の中のためになるという直感

▲出産休業後担当した最初の製品「ポケットエコーmiruco」のプロモーションの1コマ

大学では人間科学を専攻していて、卒論はメガネメーカーからの受託研究で「男性がかけるメガネの種類によって女性の印象にどのような影響を与えるか?」というテーマでした。ゼミの先生が、産総研デジタルヒューマンラボの研究員の方と交流があったご縁でいただいた研究だったのですが、我ながらマニアックなことをやっていたなと思います。

一方就職はというと氷河期真っ只中でした。就活セミナーでは「最低でも50社には応募して、片っ端から面接を受けなさい」などと言われていたこともあって、かなり広範な業種に応募しましたね。最終的には、20社位に足を運んでそれぞれの会社の説明を聞き、面接を受けました。

そうした中、医療に事業主体を置いているシグマックスは、会社で自分がアウトプットしたことが、そのまま「世の中の役に立った」と直接実感できそうな会社だなと思ったんです。

そんな印象を持ってシグマックスに入社。最初の配属は営業の支援部門で、営業部門に対してデータ分析から各種レポートを供給する業務を担当しました。製品別、地域別、得意先別、ルート別など、さまざまな切り口で数字を見て、見えてくる傾向や課題、示唆をアウトプットする仕事で、この経験が私の中でのベース=当社の事業構造を深く理解することにつながったと思います。

その後、マーケティング部門に移動しました。マーケ部門の業務範囲は決して狭いものではなかったのですが、当時の組織では製品企画と設計開発のプロセスが開発部門に集約されていました。そのためマーケ部門の持ち場としては、設定されたコンセプトでつくられた製品を、いかに効率的・効果的に市場投入し、採用および売り上げにつなげていくか?をプランニングするというのが主な役割でした。

初めての経験ということもあり最初は一心に業務に当たっていました。しかし、少し慣れてきて、実際の販売にあたって市場をよくよく捉え直してみた際に、若干コンセプトが合っていない点や、企画立案時には見えていなかった競合製品とのバランスで調整が必要な点が出てくることも見えてきました。次第に「(市場をもっと的確に捉えた上で)もっと製品企画の上流から関わることはできないか?」という想いを持つようになったんです。

また、いくら練りに練った戦略を編み出しても実行するのは営業部門の方々です。さまざまな事情で戦略通りに進められないことや、他の優先課題に手を取られ、思うように結果が出ないこともたびたび経験しました。当時はそうした歯がゆさみたいなものも正直感じていましたね。

意識したのは、いかにして市場をつくっていくか。そこで得た新たな経験

▲2014年の採用向けパンフレットに先輩社員として紹介

シグマックスはPDCAを重視している会社です。さまざまな事業課題が見いだされたときや、環境や市場に変化が生じたときには、組織体制についても比較的柔軟に変えていく会社だと思います。

実際に2006年の組織変更では開発部門に集約されていた「製品企画」の機能を、より現場に近いマーケティング部門も担うことになりました。これで以前課題と感じていた製品企画の業務に上流から関われるようになったんです。

これまでに私が担当した製品は、静脈瘤用の着圧ストッキング、腱鞘炎などで固定が必要な手首を固定するための支柱つきのサポーター、乳がんで手術をされた方が使用するシリコン製乳房、スポーツ用膝関節サポーターのシリーズ改良などで、自社開発品と海外導入品も含めてかなり幅広くやりました。各製品を担当する中で共通して意識していたのは、どうやって市場をつくっていくか?ということでした。

中でも一番印象深いのは、断裂した膝の靱帯を再建する手術の後に装着する固定製品「ニースプリント 軽度屈曲タイプ」です。この製品は国内だけでなく海外でも著名なドクターの意見・要望を詳細にくみ取り、反映させた製品です。膝の手術では的確な位置や角度、手術後に動かしていい範囲を厳密に管理します。このため固定する製品に対してもドクターは厳密さを求めていました。

こうしたドクターからの要望を設計開発に的確に反映させること、さらにこの製品の画期性・有益性を営業メンバーにきちんと理解してもらい、新しいコンセプトをどうやって市場に浸透させるのか、これまで使っていた製品からスムーズに切り替えていくための手段を綿密に企画して推進しました。そのかいもあって現在、同様の手術を行っている施設では、当社の製品が非常に高い確率で使われるようになっています。

また、製品企画から始まる一連のプロセスを担当する上では、社内の複数の部門やメンバーを巻き込みリードする必要があったので、このころはいろいろな知識・スキルを習得しようと、とにかく貪欲に取り組んでいたと思います。結果としてこのときの経験が現在の糧になっていると思いますね。

待ち望んだ復職。結婚・出産を超えて挑む新たなテーマ

▲担当した「ポケットエコーmiruco」では「医療の質・安全学会」の奨励賞を受賞

プライベートでは2008年に結婚、2015年の出産をはさんで約1年の産前産後休暇を取得しました。子どもが生まれた当時は正直大変なこともありましたが、気持ちの中では早く仕事をしたいと思っていましたね。子どもを育てていくことはもちろん大切ですが、仕事をすることも私にとっては欠かせない部分でした。

シグマックスは産前産後の休暇や育児にともなう就業関連の制度も一通り整っていたので、職場復帰はスムーズでしたね(私以外にも子育て中のママさん社員が多数います)。私の場合、好条件の保育施設をとてもタイミング良く利用できたので、かなり恵まれていたと思います。

(待ち望んだ)職場復帰を果たすと、早速新しいテーマを担当しました。当社では超音波で体内を観察するエコー(超音波画像診断)装置を長年販売してきたのですが、そのエコー装置をポータブルにした「ポケットエコーmiruco(ミルコ)」という製品の事業化です。

私自身エコー装置について多少の知識はあったのですが、miruco(ミルコ)は当社初の自社開発品で、これまで扱ってきたどの製品とも異なるコンセプト。おまけに販売先も新しい領域へのアプローチという、初物づくしのテーマだったんです。販売はWebを主体として営業スタッフを置かない体制でスタートしました。なので私自身も展示会やセミナーといったプロモーションから実際の販売のところまで、かなり直接的に関わることになりました。

ポケットエコーというコンセプトは、これまでの病院設備としてのエコー購入から、よりパーソナルな使い方への啓発という側面もあったんですね。mirucoはまさに“市場開発型の製品”で、販売の方も正直スロースタートでした。

そんな中でも、2018年には工業系の新聞に記事にしていただいたんです。さらに「医療の質・安全学会」では奨励賞を受賞するといった経験もでき、達成感も味わえました(さらなる普及にはまだまだ課題がありますが……)。

新規事業の創出が目下の課題。「健康寿命の延伸」に向けて

▲社会人となって、「スポーツ習慣をどうすれば再獲得できるか?」を実際に体験するため、職場の仲間とマラソン大会に参加

「健康寿命」という言葉がありますね。これは人が介助や医療の手を借りることなく、健康的に日常生活を送ることができる期間のことです。

今、日本ではこの健康寿命と平均寿命との差が男性では8年10カ月、女性では12年4カ月あるといわれています(2016年厚生労働省調べ)。つまり男性は約9年、女性は約12年、寝たきりや認知症などで誰かの介助を受けながら人生を過ごしていることになるんです。

国としてはこの健康寿命を延ばして平均寿命との差を縮めることで、生活の質の低下を防ぐとともに、医療費や介護費などの社会保障負担を軽減することを重要課題としています。

「身体活動支援業」を社業として掲げている私たちも、この「健康寿命の延伸」につながる新たな事業を現在模索しているところです。

そのひとつとして「スポーツ習慣の再獲得」というプロジェクトを試験的に行っています。学生時代にスポーツ活動をしていたが、社会人になってから忙しくなり、結婚や育児などのライフイベントも重なって、現在スポーツから遠ざかっている人はたくさんいらっしゃると思うんですね。そこでこうした方々にきっかけを与え、スポーツ習慣をあらためて取り戻していただくお手伝いをするというプロジェクトなんです。

そうはいってもこの取り組みはまだまだ緒に就いたばかりなので、正直手探りな部分が多いというのが現状です。ただ、プロジェクトを進める中で私たち自身もあらためてスポーツに触れて、お客様の感覚を実体験するとともにスポーツの楽しさを再発見しています。

私の経験としても、ゼロから新しい事業を生み出すという経験は初めてなので、いくつか超えないといけないハードルはありますが、それに負けないくらいやる気と期待が大きいです。おそらくこれから試行錯誤が何度もあるのでしょうが、失敗を糧にして何年後かには“当たり前にあるサービス”になっているような、新しいビジネスを生み出したいと思っています。