社員の“街づくりへの想い”が詰まった「広域渋谷圏構想」

▲都市事業ユニット 渋谷プロジェクト推進本部 グループリーダーの小澤 広倫

「渋谷再開発」と聞くと、渋谷駅周辺のみを連想される人も多いのではないでしょうか。しかし、私たち東急不動産は、青山、表参道、原宿、恵比寿、代官山などを含む「広域渋谷圏」を重点エリアとして定め、広がりのある街づくりを目指してきました。

2013年より渋谷再開発プロジェクトに取り組む小澤 広倫は、このような開発構想がつくられた背景についてこう語ります。

小澤 「東急グループはこれまで、商業施設やオフィスビルなど、渋谷における都市開発を多数手掛けてきましたが、統一性やメッセージ性を持たせるような意識的な取り組みまでは行えていませんでした。
『このままでは、私たちの街づくりに対する想いは、誰にも伝わらないのではないか』という声が、社員間で挙がり始めたのは、数年前のことです。その後、本格的な議論へと発展し、社員一人ひとりの意識下にあった『理想とする街づくり』をわかりやすくアウトプットしたのが『広域渋谷圏構想』です。渋谷を点ではなく、面として捉える。具体的には隣接する街と街を有機的につなぎ、そこに根付く文化を循環させながら発展させていく、という考え方ですね」

小澤は、20年以上にわたり、数多くの商業施設・リゾート・オフィスの開発運営などに携わってきたベテラン社員。現在は、渋谷駅よりおよそ1キロの距離にある「神宮前六丁目プロジェクト」のグループリーダーとして、2022年の商業施設完成に向けマネジメントを行っています。

小澤 「これまでさまざまな都市開発に関わってきましたが、今回のような商業施設の場合、とくに意識しなければならないのが『初期の段階からしっかりと完成形のイメージを持つ』ことです。そうしないと、地権者の方々や行政機関との交渉時、建物の設計など、すべてのプロセスにおいて齟齬が生じてしまう。常にゴールを見据えながら、一気通貫で業務を推進することが求められます」

この神宮前六丁目プロジェクトには2年前、新卒で入社した大西 諒もメンバーとして加わりました。配属された彼がまず驚いたのが、当社の開発における少人数体制でした。

大西 「私たちのグループは、リーダーの小澤を含めてわずか 5名。こんなに大きな案件を少人数で行っていたのは想定外でした。早々に、『不動産会社へのイメージ』とのギャップを感じた瞬間でしたね」

権限委譲カルチャーと社外とのリレーション構築の積み重ねが強みとなる

▲現場を最優先に考えるボトムアップ型のカルチャーが浸透している

なぜ、東急不動産は少人数体制で開発に臨むのか。その理由について、小澤はこう話します。

小澤 「少人数体制ではすべての業務に携わることは難しく、自然と社外へと協力を求めるようになりますよね。各方面にリレーションを築かざるを得ない。実はこれは昔からの社風なんです。東急不動産はもともと自社で土地を保有していなかったので、さまざまな方の土地や建物をお借りするなどして事業を発展させてきました。
ですから、地権者や町会・商店街など、社外の方々との信頼関係が何よりも宝ですし、協力者なしに事業は成り立たないという考えが無意識に根付いている。そうして培ったリレーションの力こそが現在の当社の強みとなっているのです」

すべての事業は関わる人みんなの力でつくり上げてきたもの。そのため「東急のプロジェクトは壮大だね、すごいね」という言葉よりも、「渋谷の街って最近すごく楽しいよね」と、街そのものを褒めてもらう方がすごく嬉しい、と小澤は話します。

当社には、この少人数体制によって生まれたカルチャーがもうひとつあります。それは、現場を最優先に考えるボトムアップ型の組織であり、権限移譲が進んでいること。入社2年目の大西も、行政機関への許認可申請やテナント企画など幅広い業務を任され、実践から多くを学び取っています。

大西 「許認可申請の業務を経験してみてわかったのは、『都市開発にはさまざまな立場の人がそれぞれの想いで関わっている』ということでした。たとえば、行政機関の担当者は『どうしたら区のためになるか』『どうしたら国を良くしていけるのか』という視点で、私たちの話に耳を傾ける。
そこで『うちの会社はこうしたいんです』という話をしても到底聞き入れてもらえない。こうした交渉が経験の浅い私にはとくに難しく、何度も小澤に相談しました」

すべての関係者がウィンウィンとなるように。そのことを念頭に置きながら、都市再開発法という法律に沿って、一つひとつマイルストーンを踏んでいく──慎重さと謙虚さ、柔軟性が求められる開発の業務。大西が上司・小澤から学んでいるのは、経験で身に付けたスキルやノウハウだけではありません。

かつて味わった“群衆による熱狂”を、このプロジェクトで再現したい

▲都市事業ユニット 渋谷プロジェクト推進本部の大西 諒

新しいものを受け入れ、若者のカルチャーを軽んじないリーダー・小澤のスタンス。それがプロジェクトそのものの追い風になっていると大西は感じています。

大西 「小澤は、私も知らないような若者向けのメディアや SNS上の話題を常にキャッチアップしていたり、チャットアプリをいち早くチーム内に導入できるよう働きかけてくれたりと、非常にフットワークが軽いんです。リーダーのそうした柔軟性やスピード感が、チーム内のコミュニケーション量を爆発的に増やしていると思います」

対して小澤は「この再開発事業を担当しなければ、現在のようなワークスタイルには行き着かなかった」と断言します。

小澤 「数多くの IT大手企業やベンチャー企業が渋谷に拠点を移してくださいました。そういった企業の方々と会話を重ねる中で、『旧来のスピード感や考え方では、最先端と言われる企業のニーズにしっかりと応えられない』ことに気づいたんです。そうした気づきを案件ごとに重ねていきながら、自らをブラッシュアップさせていった感じですね」

しかしワークスタイルは変えられても、今の若者の感性にまでは近づけない。小澤は「神宮六丁目プロジェクト」のターゲット層に最も近く、ニーズをうまく捉えられるであろう大西にテナント企画を任せました。小澤はあくまでもリスク管理などのサポート役。事前調査やテストマーケティングといった業務もすべて大西に一任しています。

大西 「たとえば、グループインタビューを企画したら、インタビュイーの性別、年齢、職業、居住地など詳細について設定します。設問内容や人数、時間もすべて精査し、実施日には責任者として立ち会います。入社 2年目でここまで裁量権を持たせてもらえるとは、正直思っていなかったですね」

大学時代まで、プロダンサーとしてテーマパークの舞台に立っていたという大西。そのときの原体験が、長きにわたる開発業務の大きなモチベーションになっていると話します。

大西 「まったく別の地域からやってきた老若男女が、それぞれの想いを抱えながら一時的に、そして偶発的に、ひとつの場所へと集まり、共にこの瞬間を楽しんでいる。あのステージで体感した、 『群衆による熱狂』 が忘れられなくて。
それって、テーマパークや商業施設のような『目に見える、実在するもの』があるからこそ、起こる現象なんじゃないかと。そんな賑わいを生み出す大きな建物をつくりたい。これが、私がこの会社に入りたかった一番の動機でした。だからこのプロジェクトに配属されて、本当に幸運でしたし、最高の機会を与えられたと感じています」

小さな視点を大切に、一人ひとりの笑顔につながる街づくりへ

▲『広域渋谷圏構想』では、住む・働く・遊ぶといった複合的な体験ができる“MIXシティ”を目指している

約3年後という、少し先の未来を見据えた商業施設の開発。これが初仕事となる大西はこのプロジェクトをどのように捉え、日々取り組んでいるのでしょうか。

大西 「入社してからの 2年間、常に頭の中は担当する商業施設のことでいっぱいで、 “街づくり ”という次元にまで思考が行き着かないというのが、正直なところなんですが。
『ベビーカーを押しているママが来るなら、通路は広いほうが良いよね』とか『学生が友達同士で来るとしたら、低価格帯のカフェがあると良いかな』とか、ひとりの人単位でまず考えて、想像を膨らませていきながら、具体的なアイデアに落とす、という作業を毎日繰り返しています。それと並行して、グループインタビューやテストマーケティングを行い、実際のニーズに近づけていく感じでしょうか。
私たちがつくろうとしているのは、非常に大きい建物であることは確かなんですが、まずは小さな視点を大切にしたほうが、ひとりよがりにならず、一人ひとりの笑顔につながる空間ができるかな、と」

一方、この再開発に関わって7年目となる小澤にとって、“街づくり”は「ひとつの学問にしたいぐらい、幅の広さと奥深さのある仕事」だと言います。

小澤 「たとえば、この『広域渋谷圏構想』では、さまざまな層の人がそれぞれに、住む・働く・遊ぶといった複合的な体験ができる “MIXシティ ”を目指しています。いわば、にぎわいという “動 ”、快適な住環境のための “静 ”を同時につくり出そうとしている。
こうした相反したものを全体として上手に融合させるためには、多岐にわたる知識や視点、感性、実行力を集結させることが不可欠です。その総合力を身に付けるべく、案件ごとに違った角度から勉強し、街づくりを研究させてもらっている。そんな気持ちで一つひとつのプロジェクトと向き合っています」

多くの企業・人の協力を得ながら、さまざまな力を集結させ、2027年までに開業する渋谷駅周辺の再開発プロジェクト。「点」から「面」での街づくりへ。魅力的なコンテンツで新たなにぎわいを創出し、世界中の誰もが訪れたくなる街を目指します。