思いやりに支えられて、仕事と子育てを両立

▲土屋鞄製造所 自由が丘店スタッフの徳満真登香

現在私は、自由が丘店で、大人向けの革製品の販売を担当しています。社員は店長と私の2名体制。一緒に働くアルバイトスタッフの教育や製品の配送、陳列作業、お客様情報の入力、店舗清掃など、幅広い業務を行っています。

最初は、2013年に京都にある土屋鞄のランドセル専門店に、アルバイトスタッフとして入社しました。面接時から社員希望の旨を伝えていたので、半年後には社員になり、いくつかの店舗での勤務を経て、2016年12月に今の自由が丘店に異動。その後、産休と育休を取得したのち復帰して、今は時短勤務で働いています。他のスタッフと同じ朝10時に出勤し、17時に退勤して保育園にお迎えに行く毎日です。

接客が大好きで、ずっと仕事はしていたいと思っていたのでもともと職場復帰を考えていました。店長に妊娠の報告をしたときは、「よかったね、おめでとう」という言葉と共に、「販売業務は立ち仕事なので、しんどかったら遠慮なく言ってね」と言ってもらい、安心したのを覚えています。そうした支えもあり、1カ月半ほどつわりでお休みしたのですが、産休に入るまで働いていました。

産後、職場復帰してからの働き方については、出産前に話し合っていました。別の店舗に、私と同じように産後復帰された先輩がいたので、スムーズに調整できましたね。私が産休に入ることを知ったその先輩は、「これをやっておくといいよ」と教えてくれて、心強かったです。店舗で働くママ社員は私で4人目。女性スタッフが多いので、今後さらに増えていくと思います。

“自分が役に立っているという感覚”で自信が持てる

▲毎朝行っている朝礼の様子

育休中は、「仕事から家に帰って、育児や家事をこなせるのかな……」と、正直不安でした。でも、実際に復帰してみると、仕事があった方が、家庭とのバランスを取りやすいと感じたのです。

店舗の中で店長を支えたり、アルバイトスタッフに指導したり。母親業以外で、“自分が役に立っているという感覚”があると、気持ちの面で自信が持てる。だから、仕事は仕事、育児は育児で、両方楽しもう!と、思えているんですよね。培ってきたキャリアを途切らせないでいられることも、嬉しいことです。

仕事と育児の両立は、もちろん大変なこともあります。復帰した最初のころは、赤ちゃんではなく大人の方と話すのが久しぶりで、ちゃんとした言葉で接客することが難しかったです(笑)。忘れてしまっていた業務もあったのですが、ちょっとしたミスを笑ってくれた周りのスタッフたちにも支えられました。

最近では、息子が風邪を引いて、3日間ほど急なお休みをいただいてしまって……。他の店舗からヘルプに来ていただくことになったので、心苦しさを感じました。ただ、自由が丘店には店長をはじめ、子どもがいるスタッフがいるので、「子どもが小さいときはそういうもの。お互いに支えあって乗り越えていくのだから、気兼ねなく休んでくれて大丈夫」と、温かい言葉に助けられました。

自由が丘店にはベテランのスタッフが多いので、「これやっておきましたよ」と、率先して業務に取り組んでくれます。時短勤務の制度だけでなく、一緒に働く人々との関係が、両立の支えになっていると感じますね。ねぎらいの言葉やアットホームな雰囲気が、この職場の良いところだと思います。

また会社としては、社内に「つちやこども部」というコミュニティがあります。子育て中のママ、パパが、アルバイトスタッフを含め合計80名ほど在籍しています。日頃の働き方や子育てでの悩みについて意見交換をしたり、子ども向けのイベントやおでかけスポット、おすすめのおもちゃを共有したりする人もいますね。

あたたかさを育む「接客スタイル」と「距離感」

▲その場しのぎではなく、心を込めて接客に向き合うことを意識している徳満

土屋鞄のアットホームな社風が育まれているのは、接客スタイルに少なからず影響があるのかなと思います。

一般的な販売業では、個人にノルマを課されることがほとんどですが、土屋鞄はそうした販売ノルマがありません。まずは心のこもった接客をして、本当に良いと思っていただいた上で、ご購入いただくことを徹底している。会社がそのような姿勢なので、販売を担う私たちも接客に集中できるのです。また、こうしたお客様を大切にした接客スタイルに共感する方が入社されているので、社内には思いやりのある方が多いと思います。

前職のアパレル業界は、とにかく流行を追い続けるので、最新のものを売りさばくために「今年はこれを着ないといけないですよ」という売り方をすることもありました。私はその場しのぎではなく、長く愛着を持って使っていただける製品を、自信を持って販売したくて、土屋鞄に転職したんです。

購入を迷われているお客様を前にしたとき、前職であれば、「絶対に買った方がいいですよ」と無理強いしていたかもしれません。でも今は、製品番号と品名を紙に書いてお渡しして、「ご自宅でゆっくり検討してみてくださいね」とお伝えできます。心を込めて接客に向かえる雰囲気なので、とても気持ちが良いですね。

たとえそのときは売れなかったとしても、心を込めて接客すると、お客様は数日後に戻ってきてくださいます。スタッフ同士、それに気が付いたら、「この間、見に来てくれていたお客様、再来店して購入されましたよ」と伝え合って、一緒に喜びます。競い合いがない環境ですね。

また、おもしろいのは「スタッフ名鑑」。店舗ごとに、在籍スタッフの顔写真と簡単なプロフィールをエクセルにまとめ、新しいスタッフが入ると追加していくんです。他店のスタッフだと、電話のやり取りだけで、会ったことのない人もいるのですが、スタッフ名鑑を見れば、人となりがよくわかる。「好きなものが一緒だ」とか「誕生日近っ!」とか(笑)。そうした親近感を生む仕掛けもアットホームさにつながっているかもしれませんね。

社風という意味では、自社で製品の企画からデザイン、製造、修理、WEBサイトの運営まで、一貫して取り組んでいることも大きいかもしれません。製品に関わっている人たちの顔が見えるので、販売するときにも気持ちが入ります。他社だと、遠い国の見知らぬ人がつくっていて、つくり手の顔が見えないなんてこともありますから。

復帰して訪れた成長。ものづくりの終着点を担う“やりがい”

▲自由が丘店の店舗外観

産後復帰してから、仕事面での変化や成長の機会もたくさんありました。

たとえば接客では、独身のときにはわからなかった“子連れでお買い物に行く大変さ”に、共感できるようになりました。

お子様が店内で走り回ると、お母様は申し訳なさそうな顔をされるので、「わかります。私も同じくらいの年の男の子がいるので」と伝えると、とても安心してくださって。当事者として寄り添える人の幅が広がったことが、とても嬉しいです。

アルバイトスタッフは、私より年上の主婦の方、学生の方などさまざまです。以前は、働き方が違う中で、全員の熱意や士気をそろえる難しさを感じていたのですが、産後はチームワークが強くなったように感じます。主婦の方の気持ちがわかるようになりましたし、仕事の話だけでなくプライベートの話もするようになりました。

業務も以前よりもテキパキと動くようにもなりましたね。限られた時間でしか働けないからこそ、頭の中で優先順位を整理するし、先手を読んで指示出しできることが増えました。久しぶりに会った方には、「すごく手際良く動くようになったね!」と言われますね(笑)。

今は、人に会えるおもしろさにやりがいを一番感じています。

お客様にお声掛けしたときに、最初は無口で、「見ているだけなので大丈夫です」と言っていた方が、少しずつ心を開いてくれたときはとても嬉しいです。帰り際に、「あなたの接客がうまいから、つい買っちゃったよ!」と、冗談のように言われることもあって、やりがいを感じますね。

接客は、職人がつくるものづくりの終着点。つくるだけでは人のもとには渡らないので、お店での接客は非常に重要な仕事です。ものづくりの終着点を担っていることは、責任感を感じるところであり、楽しいところでもあります。

もちろん、お客様になかなか心を開いてもらえないときは悩みます。なん人ものお客様と、話はしたものの、まったく販売につながらないときは悔しいです。もっと製品について知識を深めて、良さを伝えられるようにしなくては、と思います。自由が丘店には、年齢層の高いお客様も来られるので、ニーズの把握も欠かせません。

きっと人が好き、接客が好きな方には、やりがいのある職場だと思います。今後は、新しく入社したスタッフの指導にも力を入れて、すてきなスタッフをより増やしていきながら、「時短だけど何かと頼りになる」と言われるようなママ社員でいたいと思います。