子どもたちにものづくりの楽しさを伝えたい

▲ウイングアーク1st株式会社 技術本部 MotionBoard開発部 製品開発グループ アーキテクト 小山 淳

ウイングアーク1st株式会社は、東京六本木に本社を構えるデータ活用のテクノロジー企業だ。ここで、2019年11月、子供向けIT教育「LITE1(ライトワン)」の第3回目が開催された。

小山 「 LITE1は、弊社代表が子どもたちにプログラミングやものづくりの楽しさを伝えるために立ち上げた取り組みです。労働人口が減っていく中でも、とくに IT人材の不足が予想されます。
そんな中で、テクノロジーを生み出す将来のエンジニアを育てたい、そのために、子どもたちにプログラミングやエンジニアリングに触れてもらいたい、という想いがありました」

企画運営に携わるのはウイングアーク1stの社員たち。小山をはじめ、スタッフは全員自ら志願してこの企画に携わっている。社長である田中 潤が校長、CTOの島澤 甲が教頭。エンジニアかどうかにかかわらず、スタッフ全員が受講者の講師役を担う。

小山 「簡単に言えばものづくりの楽しさを伝えるためのイベントです。いわゆるプログラミング教室では、プログラムができるようになることが目的ですが、 LITE1ではものづくりの過程における手段としてプログラムがあるという感じです」

小学校でプログラミング教育が始まるにあたり、子ども向けプログラミング教室が増えている。そのような教室では、本格的にプログラミング言語を用いたプログラムを、1年単位のカリキュラムで教えるところが多い。いわば、学習塾のプログラム版だ。

しかしLITE1はそれらとは違うもの。プログラミングという体験を通して、ものづくりの楽しさやおもしろさに触れてもらうというのが主旨のイベントなのだ。

エンジニアをはじめとしたメンバーが子どもたちにプログラミングを手ほどき

▲LITE1授業風景

1回目は社員の子どもたち、2回目は取引先企業などの子どもたちを対象に開催。そして3回目は、関係者以外の一般の子どもたちを迎えて開催された。いわば1回目2回目はテスト段階。今回は実質的なスタートと言ってもいいだろう。前2回の内容をブラッシュアップし、2日のカリキュラムを1日に凝縮。教材も変えて行われた。

プログラミング教材には、「Ozobot Evo」という小さなロボットを採用している。ブロックを並べていくだけでプログラミングができるので、初めての子どもでも簡単に扱える。使用する機材はタブレットだ。パソコンのキーボードで難しい言語を入力するというイメージとは大きく異なる。

子どもたちは4、5人が1グループとなりテーブルに座っている。そこに担任の先生(もちろんウイングアーク1stの社員)が3人ほどついていて、わからないことがあればその場で質問している。

朝から夕方まで、お昼ご飯を挟み授業は進む。午前中は「Ozobot Evo」の使い方の解説。午後は実際にプログラミングを行う。プログラミングの授業では、ロールプレイングゲームのストーリーに沿ってお題をプログラミングしていったり、BMXフリースタイル(自転車競技の一種)の動きを例にするなど、子どもが興味を持ちそうな趣向が凝らされている。

また、休憩時間にはタブレットから操作できるロボットを操作してラグビーを楽しんだり、3Dプリンターでロボットに取りつけるパーツを出力したり、ドローンの操縦体験なども楽しめるようになっている。

子どもたちは、楽しそうに、そして真剣に、出された課題に取り組んでいた。長時間の授業だと、子どもたちはどうしても集中力が途切れてしまいがちだが、学校の授業のように適度に休憩を挟んだり、飲食を自由にしたり、課題を子どもが興味を持つ題材にするなど工夫を盛り込んでいる。

授業の最後には、教頭から認定証の授与。この認定証はレーザープリンターを使ってつくったもの。認定証を嬉しそうに手にする子ども達の姿が印象的だった。

未来のエンジニア育成だけではなく社員教育の側面も

▲3Dプリンターでロボットに取り付けるパーツを出力する様子を見ている子どもたち

小山は、LITE1開催中は一担任として子どもたちへのアドバイスなどを行っていた。しかし、小山はもちろん、このイベントに参加している社員たちは、教師経験などは皆無。やはり当初は慣れないことだらけで苦労したという。

小山 「普段はエンジニアとして働いているので、部下に教えることはあっても、子どもたちに教えるという経験がありませんでした。やはり、子どもたちは話を聞いていなくて、途中で投げ出してしまう子もいるんですよ。そういう子どもたちへの接し方など悩みました」

また、授業で使う教材選び、そして資料作りが一番難しいという。

小山 「プログラミングは専門用語が多い。それを子どもたちにわかりやすく説明するための資料づくりにはかなり試行錯誤しました。 LITE1のスタッフは技術者以外の社員も多数参加しているので、資料を見てもらい、わかりづらいところをアドバイスしてもらいましたね」

現在、LITE1に携わるスタッフは20人ほど。1回目に比べてかなり人数が増えたという。1回目が終わった後、スタッフの数が足りないと思いメンバーを募集したところ、多くの希望者が集まった。

小山 「違う部署のメンバーが集まって、ひとつの企画をつくり上げていくというのは、とても勉強になります。実は LITE1は、子どもたち向け IT教育の場という側面と、われわれ社員の成長を促す機会という側面があります。
社長は、エンジニアという職種の人間が、よりものづくりの楽しさを伝えられるようにならなければいけないと考えています。子どもたちがエンジニアという職業に興味を持ってもらうだけでなく、われわれがもっと発信できるようになることも重要なんです」

エンジニアを目指す子どもたちをひとりでも多く生み出していきたい

▲LITE1を終え笑顔いっぱいの子どもたち

LITE1は、今後も継続して行う予定となっている。将来的には、このプログラムをパッケージ化して、地方開催も視野に入れている。

小山 「われわれとしては、 LITE1のしくみをマテリアル化し、誰でも開催できるパッケージにして、興味のある企業や団体、自治体などと協働していきたいと考えています。
弊社社長は、この取り組みを日本の未来のための投資だと捉えています。プロ野球選手やサッカー選手に憧れる子どもがいるように、エンジニアという職業に興味を持ってくれる子どもを増やしていくことが、 LITE1の大きな意義です」

LITE1を受講したことでプログラミングやものづくりの楽しさに目覚め、将来エンジニアになりたいという子どもたちに、大きなきっかけを用意している。

小山 「授業の最後に子どもたち一人ひとりに渡す認定証。これはただの記念品ではありません。将来、 LITE1に参加した子どもたちがエンジニアになりたい、ウイングアーク 1stに入社したいと思ったとき、この認定証を持っていると書類審査が免除になりますよ、というメッセージも込められています」

この話だけでも、ウイングアーク1stがどれだけLITE1に真剣に取り組んでいるかわかるだろう。このイベントが、東京だけではなく地方でも定期的に行われるようになれば、将来のエンジニアの卵たちが数多く生まれてくるはずだ。

小山 「われわれは、エンジニアを目指す子どもたちをひとりでも多く生み出していきたいと思っています。そのための活動のひとつが LITE1です。将来、 LITE1をきっかけにウイングアーク 1stで働きたいという人がやってきたら、そのときあらためて成長を実感できる瞬間になるのではないでしょうか」