環境、CSRからサステナビリティへ

▲コーセー企業情報サイト。創業以来、人と地球に美で貢献している

大手化粧品会社コーセーは、2019年にサステナビリティ戦略課を新設しました。外丸(とまる)純子さんは、これまで、広報担当部署に所属しながら、ここにいたるまでのCSR(※1)・サステナビリティ活動の社内展開、そして企業としてのコーセーの発信に取り組んできました。

外丸さん 「もともとは研究職で、入社以来、メイク、スキンケア・ヘアケアと、化粧品全般の製品の処方・工程開発に長らく携わりました。究極に心地良いモノ、感動を生み出す新しいモノをつくるチャレンジの醍醐味を味わってました。
入社したころから製品開発担当は男性ばかりでしたが気にせず突き進み、たまたま初めての女性管理職になりましたが、数年で転職レベルの境遇変化に遭遇することに」

研究職としてキャリアを積んだ外丸さんでしたが、2010年、広報部広報課に異動になります。

外丸さん 「まったく未知なる別世界に飛び込むことになりました」

広報に異動して、チャレンジしたことはWebサイトの充実でした。そこには、外丸さんのある気づきがありました。

外丸さん 「広報の担う幅広いジャンルの中でも、今でいう『オウンドメディア』を編成し直して、ブランドのPRだけでなく、企業としてのコーセーの姿をもっときちんと広く伝えたい、と強く感じたんです。
そこで、私自身にも初めての経験ながら、まずは古巣への恩返しを兼ねて『コーセーの強みである研究開発や、新技術へのチャレンジの歴史を伝えるサイト』をつくり、発信しました。

以来、企業としてのコーセーの姿をもっと広く、ちゃんと伝えたい、という想いがいつしか自分のミッションになっていきました。
その後、東日本大震災の影響もあって、CSR※1がクローズアップされてきました。そうした発信に向けたパートナーを探す中、YUIDEA(当時はシータス&ゼネラルプレス)さんに出会ったんです。
Webとレポートの両方の制作に向けて、YUIDEAさんは大変丁寧に寄り添って最新動向や知識を伝授くださり、これまでの『環境』に加えて『社会』の側面を充実させたWebサイトとレポートの発信にこぎ着けることができました」

その後まもなく、さらに大きなミッションを負うことになります。

外丸さん 「当時、商品デザイン部門が主管の『地球環境委員会』がエコ活動やサステナビリティレポートの発行を担当していました。
ただ、環境への取り組みはもちろん重要であれど、社会からの期待や要請にもっと幅広く応えていける、社内の連携体制が必要だと、委員会メンバーとよく話し合っていました。そうした中で、CSR委員会の立ち上げを検討するように、との命を受けました。広報が経営企画部の一組織となった後のことです」
※1 CSR:Corporate Social Responsibilityの略で「企業の社会的責任」の意味。企業が事業活動において利益を優先するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任を持ち、企業が自主的にステークホルダー(顧客、株主、従業員、取引先、地域社会等)との関係を重視しつつ果たす社会的責任のこと。

被災地復興支援から始まったCSR推進活動

▲株式会社コーセー 経営企画部コーポレートコミュニケーション室サステナビリティ戦略課 主任 外丸純子さん

こうしてまた新たなミッションを得た外丸さんは、広報の仲間と共に新しい枠組みを検討します。書店に通い詰めて関連書籍を読み漁ったり、各部門長にヒアリングとご協力のお願いをし、CSR委員会の立ち上げに奔走しました。そして2013年、経営承認を得てCSR委員会が発足します。

「東日本大震災の爪痕がまだ癒えないころだったので、まずは被災地支援として、福島発のさくらを全国に広げるプロジェクトからスタートしました。そして、もっと社会を明るくしていくためのさまざまな取り組みへ向けた委員会ができました」と外丸さんは当時を振り返ります。

外丸さん 「弊社ならではの形として、広報がすべての陣頭指揮を執るのではなくて、さまざまな部門の主体的な取り組みや、横串としてつくったワーキンググループを、事務局としてサポートしていくことにしました。
事務局である広報は『戦略立案』と『社内外のコミュニケーション』、各部門には推進委員会のメンバーを選出してもらい実際の推進を担う役割分担を図り、積極的に社内を巻き込んでいったのです。
定期的に推進委員会を開催し、勉強会も実施しました。『CSRとは?』といった基本的なことから始め、当初は自分たちの取り組みとCSRの関わりについてイメージがもてなかった社員にも、徐々にCSR活動が浸透するきっかけになりました」

そしてCSR委員会を発足した同2013年、コーセー初となる「CSRレポート」(※2)を発行します。常々、CSRは情報発信が重要だと言い続けてきた広報や各部門の担当者にとって、レポートを発行できたことはひとつの節目として感慨深いできごとだったそうです。

そのとき、コーセーのパートナーとして、「CSRレポート」発行のお手伝いをしたのもYUIDEAでした。

外丸さん 「私たちはCSRレポートの制作も初体験で、右も左もわからない状態でした。どんな取り組みをどのように報告すれば良いのか? 環境報告書とはどう違うの? そもそもCSRレポートのつくり方って? などなど。そんな私たちを支えてくれて、CSRの『イロハ』を教えてくれたのがYUIDEAさんでした。
YUIDEAさんには、単なるレポートのつくり方だけではなく、CSRの最新動向や他社状況、業界特有の事情など、さまざまな知見をもとにアドバイスをしてもらいました。
私たちにとって、CSRの専門家として頼りになる存在でしたね。社内浸透にも協力いただき『コーセーのCSRとは?』という社員向けの勉強会も開催してもらいました」

こうして広報が中心となり、委員会の発足にレポートの発行と、本格的にCSR活動を推進していく環境が整ったのです。

※2 CSRレポート:企業の社会的責任(CSR)の考え方に基づいて、その社会的な取り組みを掲載した報告書。 近年では、サステナビリティ(持続可能性)報告書とも呼ばれる。

環境、労働、安全衛生、社会貢献などに関する情報や、事業活動にともなう環境負荷などを幅広く公開する。

企業価値を伝える情報発信のありかたとは?

▲2016年にリニューアルしたグローバルサイト

外丸さんは、広報に異動した当初から、CSRも含めた「企業情報」の発信の重要性を認識し、その強化に取り組んできました。

そして着手したのが企業情報サイトの全面リニューアルです。

そのころは、宣伝部が担当するお客様ページ、広報が担当する企業情報ページ、それ以外にもIR情報や採用情報、研究所関連などがバラバラできちんと統合されていなかったのです。

外丸さん 「それまでも商品プロモーションなどブランディングには力を入れていましたが、企業として『コーセー』の情報発信を強化したい、しなくてはならないという想いがありました。そこで発信場所のひとつであるWebサイトに手を入れることにしたのです。
すでにCSRサイトの制作で協力してもらって信頼していた YUIDEAさんにお願いし、企業情報サイト全体のリニューアルも一緒に進めていきました」

外丸さんは同時に海外戦略への注力も見越して、グローバルサイトについても英語・中国語版を新たに構築し充実化を図ります。そして2015年当時の海外売上比率は16%ほどだったところから4年経った2020年現在では、約3割まで高まっています。

さらに、そのころの課題をこう振り返ります。

外丸さん 「『コーセー』という企業名をつけていない商品ブランドも多数抱えているのですが、実際にはそうしたコーセーの多様性をうまくアピールできていませんでした。
お客様や学生にコーセーの企業価値が正しく伝わっていなかった可能性があります」

そこで、YUIDEAがWebへの掲載を提案したのがIRレポートに載っていたブランドマップです。そしてそれは、現在もコーセーを紹介するさまざまな場面で活用しているそうです

外丸さん 「何しろ、サイトの導線をイチから見直すところからのスタートでした。そこからさらに、企業サイトとしての適切な情報発信やブランディングまで考慮したリニューアルが実現できました。
この企業情報サイトを通じて、コーセーグループとしての姿を見せることができるようになったと感じています。
Webはもちろん、コミュニケーションのプロフェッショナルであるYUIDEAさんに協力してもらえたことは心強かったです」

サステナビリティ戦略課として、コーセーの価値創造を伝えていく

▲「これからは後輩の育成にも力を入れたい」と外丸さん

2015年の企業情報サイトのリニューアル完了後、「企業情報サイトを見れば基本的な情報がわかる」という安心感を社内に広めることができました。

しかし、化粧品会社に求められる視点は多様化しています。たとえば、製品に絶対的に求められる「安心・安全」や「品質の保証」、さらにグローバル企業としてのモノづくりやお客様づくりにおける、LGBTQや宗教など。多様性への理解とともに、ボーダーレスかつパーソナルな視点が必要となってきているのです。これによって、経営の意思決定に直結した経営企画部の中でも、広報の役割はさらに広がっていくことになります。

外丸さん 「これまでは社会からの差し迫った重要課題への対応や、毎年の情報開示に対し、重点を置いて取り組んできました。
しかし、今後はサステナビリティのリーダーシップを執る多くのグローバル企業と肩を並べるコーセーとして、そして化粧品という生活者の身近な商品を扱う存在として、世界での存在感を高められる企業になるための取り組みを進めていかねばなりません。こうした背景こそが、サステナビリティ戦略課の新設につながったのだと思います」

2019年4月、広報からサステナビリティの名前のついた組織が分離・新設され、経営層からサステナビリティへ本気で取り組むという宣言がなされたことで、社内の空気が確実に変わった、と外丸さんは感じています。会社としてより本気で取り組むという姿勢が、社員一人ひとりの見る目を変えたのではないかと。

ちょうど月刊誌『FRaU(フラウ)』の2019年1月号特集「SDGs(※3) 世界を変える、はじめかた。」に賛同し、また中期経営計画「VISION2026」“モノづくり2026”に「サステナビリティ(持続可能性)」が掲げられているなど、社内外にコーセーのサステナビリティを発信しようとする気運が高まった時期でした。

現在コーセーでは、サステナブルな事業活動の一環として、雪肌精の「SAVE the BLUE」プロジェクトのほか、人々のQOL向上に役立つ「スポーツ」の振興支援や、加えて難病患者のためのファンデーションの提供など、さまざまな取り組みに加えて、気候変動対策やプラスチック問題への対応など、最近の社会要請に応える取り組みを新たに進めています。

外丸さん 「こうした取り組みはまだまだ黎明期だと感じていますが、コーセーは CSRやサステナビリティに『新たに』取り組むわけでは決してありません。
創業者である故・小林 孝三郎の座右の銘であり、弊社の行動憲章でもある『正しきことに従う心』の通り、コーセー創業以来の企業精神の根幹として位置づけられ続けてきたのですから…….。でも、これからも、社会の要請に敏感に応える取り組みのあり方はどんどん変化していくると思います」

サステナビリティ戦略課としての活動はスタートしたばかり。これからコーセーの長期計画策定や社内外への発信などを進めていく予定です。YUIDEAは今後もパートナーとして専門知識を生かしながら、お客様の企業価値を伝える最適なコミュニケーションを提案していきます。

<参考>
●コーセー企業情報サイト:https://www.kose.co.jp/company/ja/
●コーセーグローバルサイト:https://www.kose.co.jp/global/en/
●雪肌精「SAVE the BLUE」:http://www.savetheblue.sekkisei.com/ 

※3 SDGs(エスディジーズ):持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)。2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標のこと。

持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓う。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本も積極的に取り組んでいる。